暮らし

鶴首

本にだって雄と雌があります 著 小田雅久仁2012年10月発行 新鮮な気風を持った若い方の御来訪を鶴首してお待ちしております 【鶴首】かくしゅ 今か今かと待ちわびること。「―して報を待つ」

真筆

本にだって雄と雌があります 著 小田雅久仁2012年10月発行 健在ぶりを如実にうかがわせ、紛う方なき真筆と思われた 【真筆】しんぴつ その人が本当に書いた筆跡。真跡

領する

本にだって雄と雌があります 著 小田雅久仁2012年10月発行 辺りを領していたその夜は夜のようではなかった 【領する】りょうする ・領地として所有する ・受け取る。また承知する。了承する ・魔物などがとりつく

濁世

本にだって雄と雌があります 著 小田雅久仁2012年10月発行 残り物の山からどんな福を拾いあげて濁世に這い出てきたかと言うと 【濁世】じょくせ/だくせ/だくせい ・仏教で、濁り汚れた世の中。末世(まっせ) ・政治や道徳の乱れた世界。だくせい+

爛熟

本にだって雄と雌があります 著 小田雅久仁2012年10月発行 爛熟して腐れ落ちた科学文明が脚を生やして 【爛熟】らんじゅく ・果実がくずれそうなほど熟しきっていること ・物事が発達しきって、衰えの兆しさえ含んでいる状態。「―期」

富農

本にだって雄と雌があります 著 小田雅久仁2012年10月発行 荒物屋だのにまで手を広げた、商魂たくましい富農だった 【富農】ふのう 経済的に豊かな農家

宿痾

本にだって雄と雌があります 著 小田雅久仁2012年10月発行 しゃっくりはいよいよ宿痾として確乎たる足場を固めつつあった 【宿痾】しゅくあ 長年治らない病気。持病。痼疾。宿疾(しゅくしつ)。宿病(しゅくびょう)

痼疾

本にだって雄と雌があります 著 小田雅久仁2012年10月発行 謎の痼疾によって陽の当たる表通りより追われた彼は 【痼疾】こしつ 容易に治らないで長い間悩まされている病気。持病

小利

本にだって雄と雌があります 著 小田雅久仁2012年10月発行 小利に聡い豪農の域を一歩も出ない深井家の次男坊と 【小利】しょうり わずかな利益

拙訳

本にだって雄と雌があります 著 小田雅久仁2012年10月発行 拙訳をもってほかの著作の表題を紹介すれば 【拙訳】せつやく へたな翻訳、訳文。また、自分の翻訳をへりくだっていう語

病臥

本にだって雄と雌があります 著 小田雅久仁2012年10月発行 そして青白く病臥したしどけない妻の姿態にいつになく 【病臥】びょうが 病気で床につくこと

房事

本にだって雄と雌があります 著 小田雅久仁2012年10月発行 ページをからめて房事にも励もうし、果ては跡継ぎをもこしらえる 【房事】ぼうじ 閨房での行為。性交

騰貴

華岡青洲の妻 著 有吉佐和子1967年発行 銀一匁で三合半の米しか手に入らないという物価騰貴ばかりが原因ではない 【騰貴】とうき 物価や相場があがること。「円が―する」

薄謝

華岡青洲の妻 著 有吉佐和子1967年発行 連れてくれれば薄謝を出すがのう 【薄謝】はくしゃ わずかばかりの謝礼。また、人に対する謝礼をへりくだっていう。寸志。薄志

送辞

華岡青洲の妻 著 有吉佐和子1967年発行 あの有名な儒学者の送辞やないか 【送辞】そうじ 送別の言葉。卒業式などで在校生が卒業生におくる別れの言葉

奇瑞

華岡青洲の妻 著 有吉佐和子1967年発行 先生も日本へ着かれてすぐこの奇瑞に遭われて驚かれたことですやろ 【奇瑞】きずい めでたいことの前兆として起こる不思議な現象。瑞相。吉兆 「これこそ―、この花が咲けば如来が下生すると(ねむり姫)」×

故買

ご近所美術館 著 森福都2012年発行 故買の件かもしれない 【故買】こばい 盗品と知りながら買うこと。窩主 (けいず) 買い

勘所

ご近所美術館 著 森福都2012年発行 それがこのゲームの勘所だったと思うが、どうだい 【勘所】かんどころ ・三味線などで音調を整えるために指で弦を押さえるところ。つぼ ・はずせない大事なところ。肝心なところ。急所。「―を心得た仕事ぶり」

峻別

ご近所美術館 著 森福都2012年発行 この店長こそが「美術館」の客の峻別に一役買っていると思われる節があった 【峻別】しゅんべつ 厳しくはっきり区別すること、またその区別△

佩用

スティル・ライフ 著 池澤夏樹1988年発行 佩用する機会もない勲章と、歴史に残る汚名を期待するのだろう 【佩用】はいよう 体につけて用いること。「勲章を―する」

潤色

クリコフの思い出 陳舜臣 実際におこった出来事を潤色したり、それにヒントをえて書くことが多い 【潤色】じゅんしょく ・色を付け光沢を加えること ・表面をつくろい飾ったり、事実を誇張したりして、面白くすること。「―を加える」 ・天の恵み。幸運

脱俗

クリコフの思い出 陳舜臣 ふしぎに脱俗の趣きがあって、一郎は気に入っていた 【脱俗】だつぞく 世間から離れて俗事に煩わされないこと。俗事に執着せずあっさりしていること。超俗

猥歌

ニシノユキヒコの恋と冒険 著 川上弘美2003年 発行 クラスの男の子たちが猥歌をうたっていた 【猥歌】わいか 卑猥な歌。みだらな歌。艶歌(つやうた)。春歌(しゅんか)

後刻

ニシノユキヒコの恋と冒険 著 川上弘美2003年 発行 ものを言ったりしなかった。後刻喫茶店でコーヒーを飲みながら 【後刻】ごこく しばらくたったのち。のちほど

今昔 著 森田たま昭和26年〜 夜おそく、終バスでかえってくると、その奥さんの訃をきいた 【訃】ふ 死亡の知らせ。訃報。訃音。「師の―に接する」

別辞

今昔 著 森田たま昭和26年〜 去年の春もある雑誌に「着物への別辞」という一文を書いたほどであるのに 【別辞】べつじ 別れの言葉。送別の挨拶

余禄

コッペリア 著 加納朋子2003/7 発行 この買い物には、思いがけない余禄があった 【余禄】よろく 余分の利得。余得。「―の多いバイト」

団居/円居

牛肉と馬鈴薯 著 国木田独歩明治35年ごろ〜 ことに若代が一名加わるとわれらの円居は別様の光を添えてくる 【団居/円居】まどい ・人々がまるく居並ぶこと。車座になること ・一か所に集まり会すること。特に親しい者同士で集まり楽しむこと。団欒

紅塵

牛肉と馬鈴薯 著 国木田独歩明治35年ごろ〜 もし僕の願さえ叶うなら紅塵三千丈の都会に車夫となっていてもよろしい 【紅塵】こうじん ・赤茶けて見える土ぼこり。市街地に立つ土ぼこりなど ・俗人の住む世の中。また俗世のわずらわしさ。俗塵

気保養

瓶詰の地獄 著 夢野久作昭和3年〜 折角ノンビリと気保養している時間を、外から勝手に掻き廻わされるじゃないか 【気保養】きほよう 楽しんだりのんびりしたりして、心を休めること。気晴らしKKK