2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

命冥加

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 妻の説明を、私は、うんうんときき流し、命冥加な奴さ、などとつぶやいた 【命冥加】いのちみょうが 神仏のおかげで命拾いすること。「助かったとは―な人だ」 「やめることにした。―なやつめ(うつろ…

落梅

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 机に頬杖ついていると、そとでぽとりと音がした。落梅なのだ 【落梅】らくばい 散り落ちた梅の花や実

業病

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 そういう父が、祖父の業病、中風をうけついで、みじめな状態に陥ることを考えると 【業病】ごうびょう 前世の悪業の報いでかかるとされた、治りにくい病気。難病

柳は緑花は紅

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 眠っているのかと思うと突然「柳はみどり、花はくれない」といったりした 【柳は緑花は紅】やなぎはみどり はなはくれない 「柳緑花紅真面目」から ・自然のままであること ・春の美しい景色を形容す…

長者の万灯より貧者の一灯

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 家内は横腹を押えて笑っている。「あれを貧者の一燈というのだ。莫迦にするな」 【長者の万灯より貧者の一灯】ちょうじゃのまんとうよりひんじゃのいっとう 金持ちの多くの寄進より、貧しい者の心の…

盲蛇に怖じず

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 「盲者蛇に怖じずてのはあれだね」と球投げの事をいい、何事もあれだとまた思った 【盲蛇に怖じず】めくらへびにおじず 物事を知らない者はその怖ろしさもわからない。無知な者は向こう見ずなことを…

広言

黒髪・別れたる妻に送る手紙 著 近松秋江大正時代 秋江との付き合いによって人間嫌いになってしまったと広言して憚らなかった白鳥だが 【広言】こうげん 無責任に大きなことを言い散らすこと、またその言葉。「―を吐く」

痴愚

黒髪・別れたる妻に送る手紙 著 近松秋江大正時代 かつて痴態、痴愚を繰り返した同一人物とはとても思えない良き家庭人となった 【痴愚】ちぐ 愚かなこと、またその人

泉下

黒髪・別れたる妻に送る手紙 著 近松秋江大正時代 後世に残る作品もままならなかった父は泉下でさぞ苦笑したことだろう 【泉下】せんか 黄泉の下。死後の世界。あの世

高言

黒髪・別れたる妻に送る手紙 著 近松秋江大正時代 雪岡さんに代わって私が十分に成敗する。」と高言を吐いたじゃないか 【高言】こうげん 偉そうに大きなことを言うこと、その言葉。「―を吐く」

拝伏

黒髪・別れたる妻に送る手紙 著 近松秋江大正時代 そのまま其処に拝伏して、神というものがあるなら、神を拝みたいような気に成った 【拝伏】はいふく ひれ伏すこと。伏し拝むこと

草を分けて探す

黒髪・別れたる妻に送る手紙 著 近松秋江大正時代 それでも私は「草を分けても探し出さずには置くものか。」と、矢来の婆さんの所で何度も 【草を分けて探す】くさをわけてさがす あらゆる手段を尽くして隅々まで探す。草の根を分けて探す

嵐気

黒髪・別れたる妻に送る手紙 著 近松秋江大正時代 病み上がりのようになっている体が、深山の嵐気に襲われて、ぞくぞくと 【嵐気】らんき 湿り気を含んだ山の空気。山気TTT

後朝の別れ

黒髪・別れたる妻に送る手紙 著 近松秋江大正時代 きぬぎぬの別れ、という言葉は、想い出されないほど前から聞いて知ってはいたが 【後朝の別れ】きぬぎぬのわかれ 一夜をともにした男女の翌朝の別れ