2013-02-01から1ヶ月間の記事一覧

秋波

彼女がその名を知らない鳥たち 著 沼田まほかる 幻冬舎 2006/10 発行 奇妙な目付きで陣治を眺めていた。秋波などという単純なものでは決してない 【秋波】しゅうは ・美人の涼しげな目もと。また、女性の媚を含んだ目付き。流し目。色目。「男に―を送る」 「…

掻痒感

彼女がその名を知らない鳥たち 著 沼田まほかる 幻冬舎 2006/10 発行 おかしな掻痒感が舌先から全身に緩やかに広がっていく 【掻痒感】そうようかん 体の一部がむずむずとすること、痒いこと

現前

彼女がその名を知らない鳥たち 著 沼田まほかる 幻冬舎 2006/10 発行 薄い唇が、いつにもまして生々しく現前する。 【現前】げんぜん 目の前にあること、現れること。 「無はちっとも―しない(文鳥・夢十夜・永日小品)」

陥穽

彼女がその名を知らない鳥たち 著 沼田まほかる 幻冬舎 2006/10 発行 独りでうずくまっていた光も風も届かない虚ろな陥穽の絶壁を 【陥穽】かんせい ・対動物用に仕掛ける、落とし穴 ・人を陥れるための策略。罠 「悪魔はそのなかに―をつくります(愛と認識…

笑談

喜嶋先生の静かな世界 著 森博嗣 講談社 2010/10/25 発行 みんなが誰かと笑談しているのに、先生は壁際に独りでぽつんと立っていた 【笑談】しょうだん ・なごやかに楽しく語り合うこと。談笑 ・笑い話 「故意に話題を転じ、―に紛らさうと努め出した(猫町 …

枝葉末節

喜嶋先生の静かな世界 著 森博嗣 講談社 2010/10/25 発行 本当に枝葉末節の特殊な解が確認されただけだったからだ 【枝葉末節】しようまっせつ 中心から外れた事柄。本質的でない、取るに足りない事柄。「―にとらわれて大局を見失う」 「いづれも―にすぎなく…

呵々大笑

少女外道 著 皆川博子 文芸春秋 2010/5/30 発行 伯父は呵々大笑し、伯母は涙ぐんだ 【呵々大笑】かかたいしょう 大声でからからと笑うこと

付言

少女外道 著 皆川博子 文芸春秋 2010/5/30 発行 規定量を超えて服用すればひどい副作用を生じると付言した。 【付言】ふげん 述べ終わってから、付け足して言うこと。またその言葉。「あえて―すると」

夜を日に継ぐ

少女外道 著 皆川博子 文芸春秋 2010/5/30 発行 航空機制作関連の工場などは夜を日に継いでの猛烈な忙しさだと 【夜を日に継ぐ】よるをひにつぐ 昼夜の別なく、休まずに続けてある物事をすること。「―いで働いた」 「オートバイを飛ばして、―いで(ドグラ・…

庭訓

少女外道 著 皆川博子 文芸春秋 2010/5/30 発行 目上の者は敬えという庭訓のせいばかりではないようだ 【庭訓】ていきん (論語より)家庭で親が子に教えること。家庭での教育・教訓

華燭

少女外道 著 皆川博子 文芸春秋 2010/5/30 発行 華燭は物々しく、ほとんど乙矢の実家の意向に沿って進められた 【華燭】かしょく ・華やかなともし火 ・結婚の席にともすともし火。また、婚礼 「花嫁となって、―の典を挙げるばかり」 「―の典の時のスナップ…

長幼の序

少女外道 著 皆川博子 文芸春秋 2010/5/30 発行 克子は儀式に際しては、長幼の序を重んじるたちらしい 【長幼の序】ちょうようのじょ 年長者と年少者の間にある秩序。子供は大人を敬い、大人は子供をいつくしむというあり方。(「孟子」滕文公上より)

小体

少女外道 著 皆川博子 文芸春秋 2010/5/30 発行 絵を十数点飾っただけでいっぱいの、小体な画廊であった。 【小体】こてい こぢんまりとしていること。つましいこと。質素なこと、さま。「―な暮らし」

才媛

少女外道 著 皆川博子 文芸春秋 2010/5/30 発行 それが、あの人の気位のよりどころだったんでしょうね。才媛だったそうよ。 【才媛】さいえん 教養や才能豊かな女性。才女 「愛くるしい面ざしを持った―(烏に単は似合わない)」

にわたずみ

少女外道 著 皆川博子 文芸春秋 2010/5/30 発行 池を造ろう、と、不意に思った。葉次に頼もう。庭たずみほどのささやかな池。 【潦】にわたずみ ・雨が降って、地上にたまり流れる水 ・(枕詞)地上にたまった水が流れる様子から、「流れる」「すまぬ」「行…

狂死

少女外道 著 皆川博子 文芸春秋 2010/5/30 発行 自分を狂死にまで追い詰めた。狂うことが死よりも恐ろしくて、久緒は、普通に生きようとつとめた。 【狂死】きょうし 気がくるって死ぬこと。狂い死に

荷葉

少女外道 著 皆川博子 文芸春秋 2010/5/30 発行 花の時期はとうに終わり、鈍色の水面に、すがれた荷葉がただよっていた 【荷葉】かよう ・ハスの葉 ・夏に用いる薫物(たきもの)の名。ハスのにおいに似せてある

なぞえ

少女外道 著 皆川博子 文芸春秋 2010/5/30 発行 なぞえの道を土塀に沿って歩いた 【なぞえ】 ・ななめ。はすむかい ・斜面

譚詩

少女外道 著 皆川博子 文芸春秋 2010/5/30 発行 なぜ聞き手に彼が選ばれたのか、譚詩は語っていない 【譚詩】たんし バラード(中世の欧州で盛んに作られた定型詩) 「短い―が添えられていた(影を買う店)」

散華

少女外道 著 皆川博子 文芸春秋 2010/5/30 発行 同年輩の者の多くは予科練に志願入隊し、特攻となって散華した。 【散華】さんげ ・仏を供養するため、花をまき散らすこと ・蓮の花びら型の紙をまき散らす法要 ・死ぬこと。特に、若くして戦死すること。「洋…

旗雲

少女外道 著 皆川博子 文芸春秋 2010/5/30 発行 夕旗雲の切れ目から射す茜色の光が、葉次の影を細く細く地上に描き残していた 【旗雲】はたぐも 旗がたなびいているように見える雲

老残

少女外道 著 皆川博子 文芸春秋 2010/5/30 発行 陽光の下に這い出た時はすでに老残の身である。 【老残】ろうざん 老いぼれむなしく生きながらえていること。「―の身をさらす」

葉隠れ

少女外道 著 皆川博子 文芸春秋 2010/5/30 発行 目につくだけでも十匹の余、葉隠れの梢や幹にしがみついている 【葉隠れ】はがくれ 草木の葉のかげになること

謹厳

桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活 著 奥泉光 2011/5/15 発行 当然のように頷く、それから謹厳な顔で加えた。 【謹厳】きんげん 軽はずみなところのない、真面目でいかめしいこと、さま

蹌踉

桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活 著 奥泉光 2011/5/15 発行 便意は遠のき、蹌踉として便所を出た桑幸が名簿の封筒を抱えて 【蹌踉】そうろう 足取りがしっかりせず、ふらつくさま。「―と立ち上がる」 「イエスは、―と、いずこかへ(少年十字軍)

湖沼

桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活 著 奥泉光 2011/5/15 発行 何のために自分は大学教師になったのだろうかとの疑問が、心の湖沼にぷかり唐突に浮かんだ 【湖沼】こしょう 湖と沼。くぼ地の水塊

語義

桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活 著 奥泉光 2011/5/15 発行 学校の、経営の、戦略の、会議ですよ。語義から考えて。 【語義】ごぎ 言葉の意味。語彙

余得

桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活 著 奥泉光 2011/5/15 発行 このコイン野菜巡りには余得があって、ときに 【余得】よとく 余分の利得、もうけ。「思わぬ―にあずかる」 「貯め込んだ―はもう一万元近くになり(十蘭レトリカ)」

落手

桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活 著 奥泉光 2011/5/15 発行 送っていただいた手紙はたしかに落手いたしました 【落手】らくしゅ ・手紙や品物を受け取ること。手に入れること。落掌。「御書状―いたしました」 「村費にて御送附申上候間、何卒御落手相…

俎上

桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活 著 奥泉光 2011/5/15 発行 猫介の手紙はようやく話題の俎上にあがったのである。 【俎上】そじょう まないたの上 【俎上に載せる】そじょうにのせる ある物事などを問題として取り上げ、論じたり批評したりすること