2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

議論百出

うつろ舟 著 渋澤龍彦1986年 発行 一座はにわかに活気づいて、たちまち意見百出、蜂の巣をつついたような 【議論百出】ぎろんひゃくしゅつ さまざまな意見が出され、活発に議論されること、さま 「会議は―し、もめにもめた(鏡陥穽)」

便々

うつろ舟 著 渋澤龍彦1986年 発行 いつまでも草ぶかい下総に便々としているのもおもしろくないので 【便々】べんべん ・何もせずに時を過ごすさま ・だらだらとやたら長いさま ・太って腹が出ているさま。太鼓腹 ・弁舌のすぐれているさまSSS

烏有に帰す

うつろ舟 著 渋澤龍彦1986年 発行 屋敷は留守中に火事をおこし、烏有に帰してしまったという 【烏有に帰す】うゆうにきす すっかりなくなる。特に、火災で焼けることをいう 「―した協会は駐車場に変わり(夜の淵をひと廻り)」

鍾愛

うつろ舟 著 渋澤龍彦1986年 発行 おれの鍾愛のさかずきから、酒がのめぬという法があるものか 【鍾愛】しょうあい とても好むこと。大切にしてかわいがること

長ける/闌ける

うつろ舟 著 渋澤龍彦1986年 発行 同月同日、すなわち春もようやく闌けた日ぐれどき 【長ける/闌ける】たける ・盛りの時期・状態になる。たけなわになる ・盛りの時期・状態が過ぎる。「年―けた人」 ・ある方面に優れている。長じる。塾達している○

聞こし召す

うつろ舟 著 渋澤龍彦1986年 発行 女もだいぶ聞こめしていたから、玉山はまさに崩れんばかりであった 【聞こし召す】きこしめす ・酒を飲むことを戯れていう。「だいぶ―して赤い顔をしている」 「少々―している場合が多い(沙羅は和子の名を呼ぶ)」 ・「飲…

寵遇

うつろ舟 著 渋澤龍彦1986年 発行 さる勢家の寵遇をえて、この山房に住むようになりましたが 【寵遇】ちょうぐう 目をかけて特別に扱うこと、その待遇

尤物

うつろ舟 著 渋澤龍彦1986年 発行 おれの女はこのあたりで名だたる尤物だよ 【尤物】ゆうぶつ ・同類の中で特に優れたもの ・美しい女性。美女。美人

浅春

うつろ舟 著 渋澤龍彦1986年 発行 いまから二年ほど前、季節は浅春に属していたが 【浅春】せんしゅん 春の初め。早春。(季)春

和朝

うつろ舟 著 渋澤龍彦1986年 発行 和朝においても、かくは王公貴人の珍重するところとなっているのでして 【和朝/倭朝】わちょう ・日本の朝廷 ・我が国。日本。本朝。和国

旗を巻く

うつろ舟 著 渋澤龍彦1986年 発行 いくさに厭きて旗を巻いたために、瀬戸内の海の往来がふたたび 【旗を巻く】はたをまく 旗を下ろして巻き収める。降参する。また、事を中止したり、手を引いたりする

要諦

うつろ舟 著 渋澤龍彦1986年 発行 いわばヘルスペルに勝つための要諦とされた 【要諦】ようてい/ようたい ある物ごとの最も大切なところ。肝心かなめの点。「処世の―」

薄志弱行

うつろ舟 著 渋澤龍彦1986年 発行 ここの家はまさに、おのれの薄志弱行を一時的に忘れさせてくれる 【薄志弱行】はくしじゃっこう 意志が弱く、実行力に乏しいこと

而立

うつろ舟 著 渋澤龍彦1986年 発行 侮りがたきを知って、而立をすぎるころ、矢も楯もたまらず 【而立】じりつ 30歳のこと

久闊を叙する

うつろ舟 著 渋澤龍彦1986年 発行 それでも五年ぶりの久闊を叙したふたりであっただけに 【久闊を叙する】きゅうかつをじょする 無沙汰を詫びる。久しぶりに友情を温める。「互いに―する」【久闊】きゅうかつ 久しく会わないこと。無沙汰。「―をわびる」

殺生は八分の損、見るは十分の損

うつろ舟 著 渋澤龍彦1986年 発行 狂いまいらせるわけですから、殺生は八分の損、見るは十分の損と申しますが 【殺生は八分の損、見るは十分の損】せっしょうははちぶのそん、みるはじゅうぶのそん 殺生をする者に良いことはないが、それを見て喜ぶ者には一…

逸民/佚民

うつろ舟 著 渋澤龍彦1986年 発行 太平の逸民にふさわしいゲームといえば聞こえはいいが 【逸民】いつみん ・俗世間をのがれ、隠れ住んでいる人 ・官に仕えず気楽な生活を楽しむ人。「太平の―」

眷恋

うつろ舟 著 渋澤龍彦1986年 発行 彦七はかねて眷恋の娘を手に入れたわけだし 【眷恋】けんれん ・恋い焦がれること ・思い切れないさま

因由

この女 著 森絵都2011年 発行 これも頭頂葉に因由する症候のひとつで 【因由】いんゆう/いんゆ 物事の起こりとなること、その事柄。原因。由来○

人面獣心

この女 著 森絵都2011年 発行 食いものにしていた人面獣心の面影は見られない 【人面獣心】にんめんじゅうしん 顔は人間だが、心はけだものに等しいこと。恩義や人情を知らぬ者、冷酷非情な者のたとえ。ひとでなし

玉響

この女 著 森絵都2011年 発行 紙のようなものであり、その表面に描かれた万事はたまゆらの下書きにすぎない 【玉響】たまゆら 少しの間。ほんのしばらく 「明け方ほんの―見た記憶の再現(抒情的恐怖群)」

一頭地を抜く

この女 著 森絵都2011年 発行 存在感がほかの女友達よりも一頭地を抜いているのを自覚していった 【一頭地を抜く】いっとうちをぬく 他の人よりひときわ優れている。一頭地を出(い)だす

瞼の母

この女 著 森絵都2011年 発行 瞼の母と子の再開。さぞ複雑な空気だろうと想像していた僕には 【瞼の母】まぶたのはは 記憶に残っている母のおもかげ

盤根錯節

この女 著 森絵都2011年 発行 盤根錯節を断じて人生の逆転に成功し、金色のジャガーに乗って迎えにくる 【盤根錯節】ばんこんさくせつ ・曲がりくねった根と、入り組んだ節 ・複雑で、解決困難な事柄。「派閥間の―を処断する」

落胤

この女 著 森絵都2011年 発行 彼女はその落胤として生を受けたのである 【落胤】らくいん 身分の高い男が正妻以外の身分の低い女に産ませた子。おとしだね。御落胤 「中納言の―という噂があった(ねむり姫)」

実践躬行

この女 著 森絵都2011年 発行 身をもって労働を体験せな。実践躬行ちゅうやっちゃ 【実践躬行】じっせんきゅうこう 実際に自分自身で行うこと

激賞

この女 著 森絵都2011年 発行 教授の激賞に浴し、あわよくば 【激賞】げきしょう 大いに褒めること。「―を浴びる」△

伝法

悪女について 著 有吉佐和子1978年 発行 欠点は、あったでしょう。伝法な口の利き方も、母から見ると「悪い言葉」 【伝法】でんぽう ・粗暴で無法な振る舞いをすること、人、さま ・勇み肌であること、人、さま。多く、女性にいう。「意気がって―な口をきく…

紺屋の白袴

悪女について 著 有吉佐和子1978年 発行 レディス・クラブがあるのにね。紺屋の白袴だわ 【紺屋の白袴】こうやのしろばかま 紺屋が自分の袴は染めないで白袴をはいていること。他人のことに忙しく、自分のことには手が回らないたとえ

尾羽うち枯らす

悪女について 著 有吉佐和子1978年 発行 敗戦で尾羽うち枯らしてしまっている。売れるものを何とか家の中で見つけ出し 【尾羽うち枯らす】おはうちからす 落ちぶれて、みすぼらしい姿になる。尾羽うち枯れる