2014-09-01から1ヶ月間の記事一覧

露命

鍵・瘋癲老人日記 著 谷崎潤一郎 今日モコウヤッテ鍼ナンカシテ貰ッテ、辛ウジテ露命ヲツナイデルノサ 【露命】ろめい 露のようにはかない命。「―を繋ぐ」 「あやうく―をつなぐを得ているという身の上(ヴィヨンの妻)」

枕探し

鍵・瘋癲老人日記 著 谷崎潤一郎 興味ヲ惹カレテ、枕サガシヲ承知ノ上デ関係ヲ結ブ、ソノ誘惑ニ抗シカネルヨウナ気ガスル 【枕探し】 旅客が寝ている間に、枕もとに置いてある金品を盗むこと、その者。邯鄲師

寸毫

鍵・瘋癲老人日記 著 谷崎潤一郎 私はその一事については寸毫も彼を疑っていない 【寸毫】すんごう わずかなこと。ほんの少し

命数

鍵・瘋癲老人日記 著 谷崎潤一郎 人の命数は如何なる名医にも予断出来ないものであるから 【命数】めいすう ・命の長さ。寿命 「何のために比較的かかる動物へ長い―を与えるもンか(八軒長屋)」 ・運命、宿命 ・数学で、ある数に名称を与えること

徒爾

鍵・瘋癲老人日記 著 谷崎潤一郎 もう一度振り返って見て、そのいきさつを追想して見るのも徒爾ではない 【徒爾】とじ 無益であること、さま。無駄

間然する所がない

鍵・瘋癲老人日記 著 谷崎潤一郎 彼女ノ態度、取リ扱イブリ、アシライ方、等々ニ間然スベキトコロハナカッタ 【間然する所がない】 非難すべき点が一つもない 「といったぐあいにいささかも―かった(十蘭レトリカ)」 「なんという美しくも―調度品であろうか…

病勢

鍵・瘋癲老人日記 著 谷崎潤一郎 ブランデーの量を考えると、これで病勢が昂進しなければ奇蹟であると云う外ない 【病勢】びょうせい 病気の勢い、進み具合 「一時は―が非常に衰えたように(小さき者へ 生れ出ずる悩み)」

寒心

鍵・瘋癲老人日記 著 谷崎潤一郎 寒心すべき状態であると云うことを隠さず申し上げておきました 【寒心】かんしん 恐れや不安の念で、ぞっとすること。「―に堪えない」「―すべきは」△

亀鑑

鍵・瘋癲老人日記 著 谷崎潤一郎 「ママは貞女の亀鑑と云う訳ね」と敏子はくやしそうな顔に冷笑を浮かべた 【亀鑑】きかん 行動や判断の基準となるもの。手本。模範

巨細

鍵・瘋癲老人日記 著 谷崎潤一郎 「夫」ハ彼ノ妻ノ肉体ノ形状ニツイテ、恐ラク巨細ニワタッテ 【巨細】こさい/きょさい ・大きなこと、小さなこと ・細かく詳しいこと、さま

凜冽/凜烈

鍵・瘋癲老人日記 著 谷崎潤一郎 外ヲ見タラ美シイ星空デアッタガ寒気ハ凜烈デアッタ 【凜冽/凜烈】りんれつ 寒気の厳しいさま

吉例

鍵・瘋癲老人日記 著 谷崎潤一郎 オーソドックスヲ好ム彼女ハ毎年ノ吉例ニ従イ、必ズソノ行事ヲ厳粛ニ行ワナケレバ 【吉例】きちれい めでたいしきたり。きつれい 「漁夫たちは―のように(小さき者へ 生れ出ずる悩み)」 「賀詞交換は、―に従って初日の出の…

固守

鍵・瘋癲老人日記 著 谷崎潤一郎 彼女ハココデモ「女ラシイ身嗜ミ」ヲ固守シテソレニ反スル行為ヲ嫌ウ 【固守】こしゅ あくまでも守り通すこと

喋々

一の糸 著 有吉佐和子1965年 発行 口に出して喋々することもできなかったのだから 【喋々】ちょうちょう ・しきりに喋ること ・口数の多いさま 「大阪言葉を露骨に、―と雑話に耽ける女(蒲団・重右衛門の最後)」

明鏡止水

一の糸 著 有吉佐和子1965年 発行 彼の芸はいわば明鏡止水の極地にあるというべきであったろう 【明鏡止水】めいきょうしすい 一点の曇りもない鏡のように、邪念なく澄み切った心境

目明き千人盲千人

一の糸 著 有吉佐和子1965年 発行 世の中には盲千人、目明き千人というけれども、耳だって音曲つんぼばかりじゃないんですよ 【目明き千人盲千人】めあきせんにん めくらせんにん 世の中には道理のわかる者もいるが、わからない者もいるということ。盲千人目…

小才

一の糸 著 有吉佐和子1965年 発行 伝統芸術を現代の人間が小才にいじくりまわすほどの愚はないということになり 【小才】こさい その場に合わせ、うまく始末をつける能力。「―が利く」 「あり合せの―をいい事にして(美しき町・西班牙犬の家 他六篇)」 「店…

月旦

一の糸 著 有吉佐和子1965年 発行 そういうときには文楽の誰彼の芸の月旦をすることになっていた。 【月旦】げったん ・月の初めの日。月初 ・月旦評の略。人物について論評すること。品定め

時の氏神

一の糸 著 有吉佐和子1965年 発行 社長は徳兵衛と茜の間を結んだ時の氏神だと自認しているために、 【時の氏神】 ちょうど良い頃合いに出てきて仲裁する人。その時に際してありがたい人

沈潜

一の糸 著 有吉佐和子1965年 発行 文楽だけはもう何十年も華やがずに沈潜して続いてきたものであるだけに 【沈潜】ちんせん ・水底に沈み隠れること 「野武士の霊魂が―していそうに思われるほど(或る少女の死まで 他二篇)」 ・心を落ち着け、深く考えるこ…

徹宵

一の糸 著 有吉佐和子1965年 発行 一室を借りきっていて、徹宵して相談や懇談や鳩首会議を続けているのを 【徹宵】てっしょう 夜どおし起きていること。また、夜どおし、一晩中

面従腹背

一の糸 著 有吉佐和子1965年 発行 人を使うことの面倒さと、面従腹背する人間を発見する辛さとは 【面従腹背】めんじゅうふくはい 表面では服従するように見せかけて、内心で反抗すること×

鶏群の一鶴

一の糸 著 有吉佐和子1965年 発行 その中で菅秀才が鶏群の一鶴のように品のいい面立ちで、暴れン坊をたしなめる場面が 【鶏群の一鶴】けいぐんのいっかく 凡人の中に優れた人物が一人混じっていること

羹に懲りて膾を吹く

一の糸 著 有吉佐和子1965年 発行 羹に懲りて膾を吹くというわけではないけれども、世喜は一時は目の先がまっ暗になって 【羹に懲りて膾を吹く】あつものにこりてなますをふく 失敗に懲りて、必要以上に用心深くなること

娘一人に婿八人

一の糸 著 有吉佐和子1965年 発行 一人娘に婿七人と云うじゃないか。え? 【娘一人に婿八人】 一つの物事に対し、希望者が多くいるたとえ

愁傷

一の糸 著 有吉佐和子1965年 発行 主人を失った妻と娘に対する愁傷の言葉を述べてから、今年は去年より梅雨が長くて 【愁傷】しゅうしょう ・嘆き悲しむこと。またその悲しみ ・相手を気の毒に思うこと