2016-02-01から1ヶ月間の記事一覧

堆積

森は知っている 著 吉田修一2015/4/22 発行 濡れた木の葉が堆積している 【堆積】たいせき 幾重にも高く積み重なること。積み重ねること。そのもの。「土砂が―する」 「なにせ屍体は上に―するからな(蘆屋家の崩壊)」

雷名

にぎやかな落葉たち 著 辻真先2015/2/18 発行 署の中では、彼の雷名は今も現役なみらしい 【雷名】らいめい 知れ渡っている名声。また、相手の名声を敬っていう。「―をとどろかす」

半可通

にぎやかな落葉たち 著 辻真先2015/2/18 発行 将棋に半可通の綾乃が、引導を渡すほどだから投了寸前の気配である 【半可通】はんかつう いい加減な知識しかないのに通人ぶること、人、さま。「―な(の)知識をふりまわす」 「―の検視官を立てる義理などない…

月明

にぎやかな落葉たち 著 辻真先2015/2/18 発行 月明の路傍に、ぽつねんと残っているのは、四角いビニール包みであった 【月明】げつめい 月の明るいこと。明るい月の光。月明かり。(季)秋

遊弋

にぎやかな落葉たち 著 辻真先2015/2/18 発行 スカイブルーをバックに、遊弋する白い綿毛のような群れ 【遊弋】ゆうよく ・戦艦が水上をあちこち動き回って敵に備えること ・あちこち動き回ること

にぎやかな落葉たち 著 辻真先2015/2/18 発行 大戦後はアメリカに範をとって、経済的あるいは文化的成長をとげたこの国 【範】はん 手本。模範。「―を後世に残す」「先進国に―をとる」

露頭

にぎやかな落葉たち 著 辻真先2015/2/18 発行 全体が土に沈んで、今では岩の一部が寥の胸のあたりまで露頭するだけだ 【露頭】ろとう ・かぶりものをつけず、頭をむき出しにしていること、その頭 ・岩石や地層などが地表に露出している部分

山容

にぎやかな落葉たち 著 辻真先2015/2/18 発行 山そのものは熊がうずくまったように鈍重な山容で、 【山容】さんよう 山の形

八万奈落

押絵の奇蹟 著 夢野久作 八万奈落の涯をさまよいつつ浮ぼうとして浮び得ぬ幽鬼の声・・・ 【八万奈落】はちまんならく 仏語。煩悩のために受ける数多くの苦しみ。八万地獄

奇利

押絵の奇蹟 著 夢野久作 斑馬と交尾して一匹の混血児を生み、飼主をして奇利を博せしめし事あり 【奇利】きり 思いがけない利益。「―を博する」

間がな隙がな

押絵の奇蹟 著 夢野久作 トッテモむずかいいことをいって、間がなスキがなお説教をしていたんだから 【間がな隙がな】まがなすきがな 暇さえあればいつでも。しょっちゅう。ひっきりなしに 「―、尺八を手にして(牛肉と馬鈴薯)」

お先棒

押絵の奇蹟 著 夢野久作 十梨がそのお先棒になっている証拠は、あれだけの事実で 【お先棒】おさきぼう 人の手先になって行動すること、する人。先棒

水際立つ

押絵の奇蹟 著 夢野久作 それにふさわしい水ぎわだった女将の魅力に、隙間もなく封じこめられていた 【水際立つ】みずぎわだつ ひときわ目立つ。あざやかに際立つ。「―った演出」 「はるかに凌駕した、―ったものだった(ニシノユキヒコの恋と冒険)」 「ひと…

眼目

押絵の奇蹟 著 夢野久作 しかし、それを書くのがこの遺書の眼目なのだからしかたがない 【眼目】がんもく ・目 ・ある物ごとの最も重要な点。要点。「会議の―」 「人間を支配する点にこそ―があり(クチュクチュバーン)」 「それこそが、このからくりの―よ(…

千軍万馬

押絵の奇蹟 著 夢野久作 そこは千軍万馬の陰謀政治家だけあって、グングンと二人に逆襲し始めた 【千軍万軍】せんぐんばんば ・多くの軍兵と軍馬 ・戦闘の経験が豊富であること。転じて、社会経験などを多くつんでいること。「―の猛者」□

復命

押絵の奇蹟 著 夢野久作 急伝令の復命によって司令部が引き上げたのと同時刻の、二時 【復命】ふくめい 命令を受けた者がその経過や結果を報告すること。復申

遠大

押絵の奇蹟 著 夢野久作 その逃亡計画はかなり遠大なものと見なければならない、サテ 【遠大】えんだい (計画の規模や志が)将来まで見通して大きいさま。「―な計画」

横溢

押絵の奇蹟 著 夢野久作 並んだ楡や白楊の上にはモウ内地の晩秋じみた光が横溢していた 【横溢】おういつ 水や気力などがみなぎり、あふれるほど盛んなこと

屠所の羊

押絵の奇蹟 著 夢野久作 イヤに長い午後の時間を考えながら、屠所の羊よりもモット情けない恰好で 【屠所の羊】としょのひつじ 屠所に引かれていく羊。刻々と死に近づいているたとえ。また、不幸にあって気力をなくしていることのたとえ 「僕は浮かれるどこ…

疾風迅雷

押絵の奇蹟 著 夢野久作 処刑するまでの馬力がトテモ猛烈で、疾風迅雷式をきわめているからであった 【疾風迅雷】しっぷうじんらい 激しい風と雷。事態の変化が急なこと、行動が迅速なことなどをたとえる。「―の攻撃」

欠礼

押絵の奇蹟 著 夢野久作 戦時にはあまりやかましくいわれない欠礼を、この男は発見しだいに怒鳴りつけたので 【欠礼】けつれい 礼儀を欠くこと。挨拶をしないこと。失礼。「喪中につき年賀―いたします」

無窮

押絵の奇蹟 著 夢野久作 僕はいつも僕自身を包んでいる無限の空間と、無窮の時間を発見しないわけにはいかなかった 【無窮】むきゅう 果てしないこと、さま。無限。永遠 「苦悶のあとの―の快楽(妖都)」

落魄

押絵の奇蹟 著 夢野久作 ニーナは十四の年に落魄した両親に売り飛ばされて、ネルチンスクから上海へ 【落魄】らくはく/らくばく 衰えて惨めになること。落ちぶれること。零落 「名家の二番手ながら―したわが家(にぎやかな落葉たち)」 「―したものと―の未来…

招宴

押絵の奇蹟 著 夢野久作 彼が銀月という料理屋で開く招宴には、日本軍の司令官新納中将閣下も出席 【招宴】しょうえん 宴会に招くこと。また人を招待して催す宴会。「―にあずかる」

盲従

押絵の奇蹟 著 夢野久作 虚無主義者だった。黙々としてコンナ運命に盲従しつつ落ち込んで行った 【盲従】もうじゅう 分別なくひたすら人の言うままになること。「権威に―する」

卒寿

東京近江寮食堂 著 渡辺淳子 2015年3月 発行 年のころは八〇代後半、いや卒寿を迎えているのかもしれない 【卒寿】そつじゅ 90歳のこと、またその祝い

凡百

感染広告 著 三浦明博2012年2月 発行 だから凡百のグループと違って、手放したがらない人たちも多いと思うよ 【凡百】ぼんぴゃく いろいろのもの。かずかず。もろもろ。「―の役者をしのぐ才能」