2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧

きりもみ

七夜物語 著 川上弘美 朝日新聞出版 2012/5/30 発行 マンタ・レイが急旋回し、きりもみ状態になって下降しはじめたのだ。 【錐揉み】きりもみ ・穴をあけるために、錐を両手で挟んで強く回すこと ・飛行物が失速したあと、螺旋を描きながらほぼ垂直に降下す…

気ぶっせい

七夜物語 著 川上弘美 朝日新聞出版 2012/5/30 発行 父のことを「家の中のえらい人」などという気ぶっせいなものだと思ったことなど 【気ぶっせい】きぶっせい 気詰まりなさま 「手を動かすのも―で困っちまう(冥途・旅順入城式)」 「ふたりうつむいて、―な…

しのつく

七夜物語 著 川上弘美 朝日新聞出版 2012/5/30 発行 その日も朝から、しのつく雨が降っていた。 【篠突く】しのつく 篠竹を束ねたものが落ちてくるように、細いものが密に激しく飛んでくる。激しく雨が降るさまをいう 「光がとだえて、―雨が降り出した(うつ…

うまずたゆまず

七夜物語 著 川上弘美 朝日新聞出版 2012/5/30 発行 四時間めも五時間めも、うまずたゆまず、先生に隠れてこそこそと『七夜物語り』を読みつづけ 【倦まず撓まず】うまずたゆまず 飽きたり怠けたりせずに 「それでも―つづけるうちある日(銀の匙)」

まろぶ

七夜物語 著 川上弘美 朝日新聞出版 2012/5/30 発行 二階にあるグリクレルの台所へまろび入っていった。 【転ぶ】まろぶ ・ころがる。「動物のように―びながら」 「唇のおくからぴやぴやした声が―でる(銀の匙)」 「草の中をこけつ―びつして行きました(押…

ウンカ

七夜物語 著 川上弘美 朝日新聞出版 2012/5/30 発行 けさは、少しむし暑い。まだ五月はじめなのに、小さなウンカが群れ飛んでいる。 【浮塵子】ウンカ イネの害虫となる5mm程度の昆虫。(季)秋

からげる

七夜物語 著 川上弘美 朝日新聞出版 2012/5/30 発行 すぐにさよはスカートのすそをからげ、でっぱりに足をかけ 【絡げる】からげる ・紐などで縛る。「新聞紙を紐で―げる」 「衣類を詰めた行李をからげていた(こころ)」 ・衣服の裾やたもとをまくりあげて…

唾棄

七夜物語 著 川上弘美 朝日新聞出版 2012/5/30 発行 わたしはね、唾棄すべき習慣だと思っているの、ものを食べながらテレビを見るのって 【唾棄】だき 唾をはきすてること。転じて、けがらわしいと嫌い軽蔑すること。「―すべき発言」 「華やかな客間を、心の…

悖る

雪と珊瑚と 著 梨木香歩 角川書店 2012/4/30 発行 でなければ人道に悖る、畜生にも劣る、っていう刷り込みみたいなものがあるからかも 【悖る】もとる ・道理にそむく、反する。「人の道に―る」 ・ねじる曲がる。ゆがむ、ゆがめる

法悦

雪と珊瑚と 著 梨木香歩 角川書店 2012/4/30 発行 それは、修道士として、法悦の極致ではなかったかと 【法悦】ほうえつ ・仏の教えを聞き、信じることによってわいてくる喜び。法喜 ・うっとりするような喜び。エクスタシー。「―にひたる」

賛嘆

雪と珊瑚と 著 梨木香歩 角川書店 2012/4/30 発行 すごい、と珊瑚は心から讃嘆する。それを見てくららは嬉しそうに微笑み、 【賛嘆】さんたん 深く感心して褒めること。「料理の出来に―する」 「私はそれらの―にかかわらず(或る少女の死まで 他二篇)」 「…

おとがい

雪と珊瑚と 著 梨木香歩 角川書店 2012/4/30 発行 珊瑚は一瞬口ごもったが、おとがいを上げるようにして 【おとがい】 下あご、あご

情動

雪と珊瑚と 著 梨木香歩 角川書店 2012/4/30 発行 それを見た瞬間、理屈を越えたところから押し寄せてくる情動で、思わず屈んで抱きしめそうになった。 【情動】じょうどう 急激にわき起こった一時的な感情。情緒 「胸の内にはどんな―が渦巻いて(花や咲く咲…

汚穢

屍の王 著:牧野修 ぶんか社(角川ホラー文庫) 1998/12 発行 したがって死者の国で禊をするということは、汚穢の中で身を清めることと同じになる。 【汚穢】おわい ・けがれていること、よごれているもの。おあい ・糞尿。おあい 「―をまぶしたのを焼いたよ…

扁平

屍の王 著:牧野修 ぶんか社(角川ホラー文庫) 1998/12 発行 黒光りする棘だらけの肢が出てきた。最後に扁平な胴体が現れた。 【扁平】へんぺい 凹凸が少なく、平べったいこと、さま

同心円

屍の王 著:牧野修 ぶんか社(角川ホラー文庫) 1998/12 発行 船底を模したその建物の端に、あの同心円を描いた絵があった。 【同心円】どうしんえん 中心を共有し、半径が異なる円 (参考:http://hooktail.org/computer/index.php?%C6%B1%BF%B4%B1%DF%A4%F…

忌避

屍の王 著:牧野修 ぶんか社(角川ホラー文庫) 1998/12 発行 死を前にし最も恐れ忌避すべきもの 【忌避】きひ 嫌って避けること 「イヨイヨ彼女ノ―ニ触レル(鍵・瘋癲老人日記)」

眷属

屍の王 著:牧野修 ぶんか社(角川ホラー文庫) 1998/12 発行 掘り返された穴の底に、積み上げた瓦礫の影に、そこかしこに闇の眷属がはべっている。 【眷属】けんぞく ・血のつながっている者。身内の者。親族 「妻子―に取巻かれて(ドグラ・マグラ)」 「こ…

不惑

屍の王 著:牧野修 ぶんか社(角川ホラー文庫) 1998/12 発行 不惑をとうに過ぎた今でも走ることなら誰にも負けない。 【不惑】ふわく ・考え方などに迷いがないこと ・40歳のこと

土俗

屍の王 著:牧野修 ぶんか社(角川ホラー文庫) 1998/12 発行 なあ、そうだろ、と同意を求める酔った男のような街。良輔はそれを土俗的だと感じる。 【土俗】どぞく その地の住民、風俗 「この辺の―の唄と踊りなのである(蔵の中・子を貸し屋)」

長虫

屍の王 著:牧野修 ぶんか社(角川ホラー文庫) 1998/12 発行 長虫のようにゆらゆら揺れながら現れたそれは、細くしなやかな女の指だ。 【長虫】ながむし 蛇の異称

寡作

屍の王 著:牧野修 ぶんか社(角川ホラー文庫) 1998/12 発行 …それから五年の間に三冊の本を出した」 「寡作ですね」 【寡作】かさく 芸術家などが作品を少数しか作らないこと。「―な作家」 「元々―な人でもあるから(コッペリア)」

温気

屍の王 著:牧野修 ぶんか社(角川ホラー文庫) 1998/12 発行 雑巾のようなにおいがした。むっと温気が押し寄せる。 【温気】うんき/おんき 暑さ、特に蒸し暑さ。暖気「―に蒸される」

標榜

屍の王 著:牧野修 ぶんか社(角川ホラー文庫) 1998/12 発行 何しろ最低の人間であることを標榜するために風俗ライターを続けているのだ。 【標榜】ひょうぼう ・善行を記した札を立てて、世に示すこと、またその札 ・主義主張をはっきり掲げ示すこと

コーンロウ

かわいそうだね? 著 綿矢りさ 文芸春秋 2011/10/30 発行 成人式の日にはさぞかし派手な袴を着て、髪の毛はコーンロウにしたんだろうなあと想像のつく人 【コーンロウ】 髪型の一種。念の入った三つ編み↓ (参考:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3…

針路

山椒魚 著 井伏鱒二 1923年〜 縹渺と上空に消えるように見せながら針路を笹子の方角に向けた 【針路】しんろ ・船舶や航空機などが進む方向。コース ・目指す方向。進路

遠音

山椒魚 著 井伏鱒二 1923年〜 よほど注意しなければ聞くことができないほど、そんなにかすかながんの遠音です。 【遠音】とおね 遠くから、また、遠くまで聞こえる音

醺然

山椒魚 著 井伏鱒二 1923年〜 しかし決して彼は、安酒に醺然としている私を嘲笑っているのではないことが明瞭であったので 【醺然】くんぜん 酒に酔って心地よいさまBBB

此処を先途と

山椒魚 著 井伏鱒二 1923年〜 彼は最も拾得先生に似たポーズと表情とをつくり、ここを先途とげらげらげらと喚きたてたのである 【此処を先途と】ここをせんどと 勝敗などが決する大事な場面がここだと定め、一生懸命になる様子 「戸外では―嵐が荒れまくって…

枯淡

山椒魚 著 井伏鱒二 1923年〜 もすこし風韻と枯淡味とが出なくては駄目だ 【枯淡】こたん ・人柄などがあっさりしていてしつこくないこと。さっぱりしていること、さま ・書画などから俗っぽさがぬけ、あっさりとした趣があること、さま