2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧

隠遁

山椒魚 著 井伏鱒二 1923年〜 こんな高い山の上に何のために家を建てたんだろう。あんまり隠遁的だと思わないかね 【隠遁】いんとん 世俗から逃れて、隠れるようにひっそりと住むこと。遁世(とんせい)。「―者」 「世をはかなみ避けようとするような、―的な…

水かがみ

山椒魚 著 井伏鱒二 1923年〜 庭の瓢箪池は水かがみをつくって朝の太陽を反射させ、その光を背中から浴びて彼女は部屋のなかにはいって来た 【水鏡】みずかがみ 水面に姿が映っていること、水面に姿などを映して見ること

耽読

山椒魚 著 井伏鱒二 1923年〜 裁縫の材料をとり散らかしたまま小学校の教科書を耽読している最中であった 【耽読】たんどく 書物を読みふけること。夢中になって読むこと

一隅

山椒魚 著 井伏鱒二 1923年〜 何となれば船の天井の一隅から甲板へもれ出るあかりは、細い一本のあかるみの棍棒となって 【一隅】いちぐう ・かたすみ。一角。「部屋の―」 ・あるひとつの見解。物の一端しか見ない考え方

瀑布

山椒魚 著 井伏鱒二 1923年〜 そうしてこの流れは崖の突端まで来ると、直ちに海へこぼれ落ちる。それは、まことに細長い瀑布である。 【瀑布】ばくふ 高いところから直下する水の流れ。滝。(季)夏

敷衍

山椒魚 著 井伏鱒二 1923年〜 君の言ったことを、も一度敷衍してくれないかね? 【敷衍】ふえん ・おしひろげること 「空想で―した愚痴に過ぎません(蔵の中・子を貸し屋)」 「全宇宙の根源的普遍性にまで―させて(本にだって雄と雌があります)」 ・意味な…

俗謡

山椒魚 著 井伏鱒二 1923年〜 浜で遊んでいる児童たちの俗謡に刺戟されて以来、 【俗謡】ぞくよう 民間で歌われる通俗的な歌。小唄、民謡、流行歌など

貧寒

山椒魚 著 井伏鱒二 1923年〜 みずから貧寒に甘んじ、孤独と純朴とを愛するの人なり。 【貧寒】ひんかん 貧しく、さむざむとしたさま。中身が乏しいこと。「―とした集落・村」

粗笨

山椒魚 著 井伏鱒二 1923年〜 タエトは彼女の祈りかたが粗笨であったのに違いないと告白して 【粗笨】そほん ぞんざいで荒っぽいこと。細部まで行き届いていないこと、さま。粗雑。「―な計画」 「堪え得ざる頭脳の―と(愛と認識との出発)」

空涙

山椒魚 著 井伏鱒二 1923年〜 それから空涙をさえ流してみるべきである…。 【空涙】そらなみだ 悲しそうに見せかけて流す涙。いつわりの涙。「―に騙される」

横車を押す

山椒魚 著 井伏鱒二 1923年〜 自分の名誉にも関することであるから、横ぐるまを押さないで立ち退いてくれと申されました。 【横車を押す】 道理に合わないことを無理に押し通すこと。「あの政党はいつも―す」

少壮

山椒魚 著 井伏鱒二 1923年〜 私は彼の面前ではあくまでも少壮弁護士を装っていなくてはなるまい。 【少壮】しょうそう 若くて元気の良いこと、そのさま。「―の先生」 「二年生は校中切っての―気鋭の群れと評判(花物語)」 「前途の有望な―のお役人様(猫間…

泉水

山椒魚 著 井伏鱒二 1923年〜 それ故、泉水の周囲と木犀の木の下には、雨が降っても消えないくらい轍の跡が残った。 【泉水】せんすい 庭に作った池、いずみ

効験

山椒魚 著 井伏鱒二 1923年〜 悪党の呪い言葉は或る期間だけでも効験がある。蛙は注意深い足どりで凹みにはいった。 【効験】こうけん 効き目。効果、効能。「―あらかたな妙薬」 「シカシ少シモ―ガ現レナイ(鍵・瘋癲老人日記)」 「期待したような―はなにひ…

一叢

山椒魚 著 井伏鱒二 1923年〜 そこで水底に生えた一叢の藻が朗かな発達を遂げて、一本ずつの細い茎でもって水底から水面まで一直線に伸びていた。 【一叢】ひとむら 一箇所に集まってまとまっているもの。ひとかたまり。「―の藪」

枯木

太陽は動かない 著 吉田修一 幻冬舎 2012/4/25 発行 タイヤが嫌な音をたてて枯木を踏みしだいていく。 【枯木】こぼく 枯れた立ち木。枯れ木。(季)冬

放漫

太陽は動かない 著 吉田修一 幻冬舎 2012/4/25 発行 「組織をダメにした放漫経営だ」として島路線を全否定。 【放漫】ほうまん しまりがなく、でたらめでだらしがないこと、さま 放漫経営=会社の運営者が、会社を管理する能力がない、会社を私物化するなど…

女の一念岩をも通す

おいで、一緒に行こう 著 森絵都 文芸春秋 2012/4/20 発行 女の一念岩をも通す。 【女の一念岩をも通す】 女の執念が強いことのたとえ