2012-05-01から1ヶ月間の記事一覧

連関

PK 著 伊坂幸太郎 講談社 2012/3/7 発行 東京レッドジンジャーの勝利が、さまざまな連関の末、犯罪情報を導き出す。 【連関】れんかん ・関連 ・連鎖 「本土の軍隊とどういう―があるのか(十蘭レトリカ)」

蒲柳の質

PK 著 伊坂幸太郎 講談社 2012/3/7 発行 眼鏡をかけ、穏やかそうな顔には、蒲柳の質の文学青年たる趣があったが 【蒲柳の質】ほりゅうのしつ 体が弱く、病気によくかかること 「―で子供心に長生きしないんじゃないかと危ぶんで(ゼラニウムの庭)」 「元来…

鉛直

PK 著 伊坂幸太郎 講談社 2012/3/7 発行 鉛直方向下向きの力が、腕にかかった。 【鉛直】えんちょく 重力の方向。水平性に対して垂直であること

叫喚

PK 著 伊坂幸太郎 講談社 2012/3/7 発行 五万人の観客たちの声が、それはすでに声とも言えぬ、無言の叫喚とでも呼ぶべきものだったが 【叫喚】きょうかん ・大声でわめき叫ぶこと ・叫喚地獄の略

研鑽

ナミヤ雑貨店の奇蹟 著 東野圭吾 角川書店 2012/3/30 発行 その日に備え、研鑽を積まれることを祈っております。 【研鑽】けんさん 学問や研究などを深く究めること。「―して習得する」

文色

悦楽園 著 皆川博子 出版芸術社 1994/9/20 発行 たそがれは、ゆらめく水をとおして見るように、ものの文色をゆがませる。 【文色】あいろ 模様。また物の様子。多くはあとに打ち消し語を伴う。文目(あやめ)。「ものの―もわからないほど」 「わずかな外光に…

才槌頭

悦楽園 著 皆川博子 出版芸術社 1994/9/20 発行 小田は、色の白い、やや才槌頭の少年だった。 【才槌頭】さいづちあたま 後頭部と額が突き出ている頭

狂躁

悦楽園 著 皆川博子 出版芸術社 1994/9/20 発行 いっそう神経質にいらいらしはじめる。虚勢をはった狂躁と、沈滞の落差が激しくなる。 【狂躁】きょうそう 狂ったようなさわがしさ。「―の坩堝」「―から逃れる」

黙契

悦楽園 著 皆川博子 出版芸術社 1994/9/20 発行 ときどき黙契を破る奴がいる。 【黙契】もっけい 暗黙のうちに合意が成り立つこと。そうしてできた約束 「二人の間にまるで―でも成り立ったかの(黒死館殺人事件)」 「間に如何な―が出来たのか(みみずのたは…

厨芥

悦楽園 著 皆川博子 出版芸術社 1994/9/20 発行 豚舎の中は、饐えた厨芥のような臭いがこもっていた。 【厨芥】ちゅうかい 台所から出る、食べ物のくず 「団栗より―のほうが美味(少年十字軍)」

間尺に合わない

悦楽園 著 皆川博子 出版芸術社 1994/9/20 発行 実の子同然に育て上げて、それで恨まれたのでは間尺にあやしませんよ。 【間尺に合わない】ましゃくにあわない 割に合わない。損益につりあわない。

影像

悦楽園 著 皆川博子 出版芸術社 1994/9/20 発行 欠落した部分は、徐々に、妖しい影像でみたされはじめた。 【影像】えいぞう 絵画などに表された神仏や人の姿。肖像。「師の―を飾る」 「木村さんの―が今や(鍵・瘋癲老人日記)」

埋み火

悦楽園 著 皆川博子 出版芸術社 1994/9/20 発行 胸に強い痛みを感じた。埋み火が、一挙に燃え上がった。 【埋み火】うずみび 炉や火鉢などの灰の中にうずめた炭火。(季)冬

早暁

悦楽園 著 皆川博子 出版芸術社 1994/9/20 発行 靄で閉ざされた早暁の森は、何か非現実的なもののようにさえ思え 【早暁】そうぎょう 明け方。払暁(ふつぎょう) 「―を期して入江へ突入するつもりらしく(十蘭レトリカ)」 「霧深い―の密林に(本にだって雄…

哀憐

悦楽園 著 皆川博子 出版芸術社 1994/9/20 発行 哀憐ともとれるような、いくらか和んだものになった。 【哀憐】あいれん 悲しみあわれむこと。かわいそうに思うこと。哀憫(あいびん)

譴責

悦楽園 著 皆川博子 出版芸術社 1994/9/20 発行 公になれば、所長が譴責されるからである。 【譴責】けんせき ・不正などを厳しくとがめること 「ぶしつけに垣のそとに立っている私を―する(或る少女の死まで 他二篇)」 ・懲戒処分のうちもっとも軽いもの

ひきすえる

悦楽園 著 皆川博子 出版芸術社 1994/9/20 発行 伯父の前にひきすえられた。 【ひきすえる】 ・つかまえて、その場に座らせる 「最終的に仏前に―られ(凶笑面)」 「そこへお島を―えて(あらくれ)」 ・引いてきて、その場に置く

華美

悦楽園 著 皆川博子 出版芸術社 1994/9/20 発行 花柄の和服をつぶして作ったもんぺを着ていて、それが土地の人の目には、いかにも華美にうつるらしく 【華美】かび 華やかで美しいこと。派手

しんねり

悦楽園 著 皆川博子 出版芸術社 1994/9/20 発行 しんねりした男でね。初ちゃんも、栄さんに似たんだね。口が重くて、子供のくせに、何を考えているんだか 【しんねり】 ・ねちねちして粘り強いさま。「―とした口調で説教する」 ・陰気ではきはきしないさま。…

天恵

悦楽園 著 皆川博子 出版芸術社 1994/9/20 発行 まるで、天からの恵みのようなものです。母は、天恵を受けてはいけないんです 【天恵】てんけい 天からの恵み。天恩。「―をこうむる」 「彼には―が必要だった(ラザロ・ラザロ)」

内攻

悦楽園 著 皆川博子 出版芸術社 1994/9/20 発行 いっさい愚痴は言わなくなったが、内攻した怒りが、全身から発光しているような凄まじい気配をみせた。 【内攻】ないこう ・病気が身体の表面に表れず、内部で広がり悪くなること ・気持ちや考えが外に現れず…

号笛

悦楽園 著 皆川博子 出版芸術社 1994/9/20 発行 彼は時々、口にあてた号笛を鳴らし、そのときだけ、生徒たちの足音に力がこもった。 【号笛】ごうてき 合図のために吹くフエ

懶惰

悦楽園 著 皆川博子 出版芸術社 1994/9/20 発行 女の視線は、彼や、懶惰な若いけものたちの頭の上を通り越してしまっているのだった。 【懶惰】らんだ めんどうがり、怠けること、さま。怠惰。「―な生活」 「牙を持ちながら、―無頼の腐り果て(きりぎりす)」…

腋窩

悦楽園 著 皆川博子 出版芸術社 1994/9/20 発行 生徒たちは、腋窩にたくましい濃い茂りをみせていた。 【腋窩】えきか 脇の下のくぼんだ部分

体技

悦楽園 著 皆川博子 出版芸術社 1994/9/20 発行 金網の堀のむこうから生徒たちの体技を眺めていたからといって、何も奇異なことはなかった。 【体技】たいぎ 一対一で組み合ったり打ち合ったりする、勝負の競技。格技。格闘技III

嵩にかかる

蛇を踏む 著 川上弘美 文芸春秋 1996/8 発行 「なんでもあなたの思うとおりにしなければ気が済まないの」嵩にかかって言っても、少女は黙っている。 【嵩にかかる】かさにかかる 優勢に乗じて、威圧的な態度で攻める 「下手に出るのをわざと―って(黒髪・別…

流星雨

蛇を踏む 著 川上弘美 文芸春秋 1996/8 発行 流星雨のように、夜の塊は降りそそいでくる。 【流星雨】りゅうせいう 流星群よりも流星の出現数が多い現象。星雨(せいう)

陸続

蛇を踏む 著 川上弘美 文芸春秋 1996/8 発行 もぐらは陸続と男の懐からわき出て、地面は折り重なったもぐらでいっぱいになる。 【陸続】りくぞく あとからあとから、重なり続くさま。「支援者が―と集まる」 「紳士淑女が陸続と盛装で会場へ詰めかけて(機械…

珍味佳肴

蛇を踏む 著 川上弘美 文芸春秋 1996/8 発行 このような珍味佳肴を味わえるとは 【珍味佳肴】ちんみかこう めったに食べることのできない、たいそうなごちそう。珍しいおいしい食べ物と肴 「みすみすこの―を徒に打ち守ればとて(八軒長屋)」

遠来

蛇を踏む 著 川上弘美 文芸春秋 1996/8 発行 遠来の客はさすがですな 【遠来】えんらい 遠くから来ること 「―の客を持成顔に(桜の実の熟する時)」 「―の客を迎えつつあるこのまどかさは(蓼食う虫)」 「―の湯治客で賑わった(鹿笛)」