2015-02-01から1ヶ月間の記事一覧

酷薄 / 刻薄

合本 三太郎の日記 著 阿部次郎1914年・1915年発行 トルストイは富裕なるイギリス人の刻薄を憤って、彼らによって何の酬いられるところも 【酷薄 / 刻薄】こくはく 残酷で薄情なこと、さま

粗慢 / 疎慢

合本 三太郎の日記 著 阿部次郎1914年・1915年発行 彼らの頭の、蜂の巣のように穴だらけな事を憐み、彼らの人格の疎漫で無責任なことを憎んだ 【粗慢 / 疎慢】そまん 考え方ややり方が大雑把でいい加減なこと、さま

底止

合本 三太郎の日記 著 阿部次郎1914年・1915年発行 ああこの底止するところなきEntweder-oderを何としよう 【底止】ていし 行きつくところまで行って止まること●

狭隘

合本 三太郎の日記 著 阿部次郎1914年・1915年発行 狭隘なる自分の興味を標準としてこれと等しいものを他人の文章から拾い出そうとする者 【狭隘】きょうあい ・面積などが狭くゆとりがないこと、さま ・心が狭いこと。度量が小さいこと、さま

俗耳

合本 三太郎の日記 著 阿部次郎1914年・1915年発行 それは僕の理想だからだ。もっと俗耳に入りやすい言葉を用いれば 【俗耳】ぞくじ 世間の人々の耳。俗人の耳【俗耳に入り易い】 世間一般の人々にわかりやすいBBB

秘奥

合本 三太郎の日記 著 阿部次郎1914年・1915年発行 天才の本質を能力の強さと大いさとに置かずに、人生の秘奥に貫徹する力の深さに置くとき 【秘奥】ひおう 物事の奥底。特に学問や技芸など、たやすく到達できない奥深いところ

鉄案

合本 三太郎の日記 著 阿部次郎1914年・1915年発行 この問題に鉄案を下して、反対者を強いるの権利なきはいうまでもない 【鉄案】てつあん 動かしがたい決定案。確固とした意見。断案

内柔外剛

合本 三太郎の日記 著 阿部次郎1914年・1915年発行 余は無内容なる自覚者の外剛内柔なる態度を見るとき、まず微笑し苦笑する 【内柔外剛】ないじゅうがいごう 内心は気が弱いが、外見は強く見えること

哀泣

合本 三太郎の日記 著 阿部次郎1914年・1915年発行 いっさいのセンチメンタルなる哀泣と嘆願とを避けて、ただ汝と一つにならむことを 【哀泣】あいきゅう 悲しんで泣くこと

雄偉

合本 三太郎の日記 著 阿部次郎1914年・1915年発行 その威力と融合しえたる雄偉なる先人の魂を 【雄偉】ゆうい たくましく優れていること、さま。「体格の―な男」

都門

合本 三太郎の日記 著 阿部次郎1914年・1915年発行 一度家庭と朋友との団欒を離れ、一歩を都門の外に踏み出せば 【都門】ともん 都の入り口。また、都の中。都。都会

豪爽

合本 三太郎の日記 著 阿部次郎1914年・1915年発行 驟雨や強雨は障子をあけて眺めている間こそ豪爽であるが 【豪爽】ごうそう 豪快で気持ちよく感じられるさま

味解

合本 三太郎の日記 著 阿部次郎1914年・1915年発行 たとい真正に愛してくれる人があっても、僕にはその愛を甘受し、味解する資格がない 【味解】みかい じっくり趣を味わい、理解すること

秋毫

合本 三太郎の日記 著 阿部次郎1914年・1915年発行 ただ最も安全にして秋毫の申し分なき省略法は名前によって読まないということである 【秋毫】しゅうごう (秋に抜け替わった獣の細い毛から)極めて小さいこと。微細なこと。わずかなこと。いささか。「―も…

蚕食

合本 三太郎の日記 著 阿部次郎1914年・1915年発行 同時に更に更に有意義なる生活と修養とに費すべき時間が非常なる蚕食を受ける 【蚕食】さんしょく 蚕が桑の葉を食むように、他の領域を片端からだんだん侵していくこと 「心身を―する飢餓(本にだって雄と…

冷灰

合本 三太郎の日記 著 阿部次郎1914年・1915年発行 結論は形骸を頭の中にとどめても新生の熱は冷灰となってしまう 【冷灰】れいかい 火の気がなくなり冷たくなった灰 「この男の―ぶりにはいつもついイライラさせられて(十蘭レトリカ)」

豺狼

合本 三太郎の日記 著 阿部次郎1914年・1915年発行 赤子を豺狼の群に投ずるは愚人のことである 【豺狼】さいろう ・山犬とオオカミ ・残酷で欲深い人。むごたらしいことをする人

群羊

合本 三太郎の日記 著 阿部次郎1914年・1915年発行 羊の皮を着て群羊の甘心を買ふの奸物ではない。余は独自の思想を有する事を標榜して 【群羊】ぐんよう ・多くのヒツジ ・多くの弱者

争心

合本 三太郎の日記 著 阿部次郎1914年・1915年発行 幼き日は全心にしみ渡る恐怖と悲哀と寂寞と、歓喜と争心と親愛との間に過ぎた 【争心】そうしん 人と争う心

訛伝

合本 三太郎の日記 著 阿部次郎1914年・1915年発行 日記帳の上に捏造して、暗中に模索する自己を訛伝する、後日の証拠を残すような 【訛伝】かでん 誤って伝えること。間違った言い伝え。誤伝

平俗

合本 三太郎の日記 著 阿部次郎1914年・1915年発行 文章のほとんどすべては最も平俗な意味におけるなんらかの社会的動機に動かされて書いた 【平俗】へいぞく ・ありふれていて俗っぽいこと、さま 「―にして活発な早朝の営み(十蘭レトリカ)」 ・表現がくだ…

断簡零墨

合本 三太郎の日記 著 阿部次郎1914年・1915年発行 ほとんど断簡零墨のみであるが、如何なる断簡零墨もその時々の内生の思い出を伴って 【断簡零墨】だんかんれいぼく ちょっとした書き物や切れ切れになった書き物。文書の断片

墓誌

合本 三太郎の日記 著 阿部次郎1914年・1915年発行 心から愛しかつ心から憎んでいる過去のために墓誌を書いてやりたい心持で一杯に 【墓誌】ぼし 金石に死者の事跡などを記して墓中に納めたもの。また、墓石に死者の事跡などを記した文 (参考:http://www.g…

劫初

地上―地に潜むもの 著 島田清次郎1919年発行 それは堪えられない淋しさだった。人類生誕の劫初より縹渺と湧いて来るような淋しさだった 【劫初】ごうしょ 仏語。この世のはじめ

擯斥

地上―地に潜むもの 著 島田清次郎1919年発行 不安の絶えないこと、社会的に常にある迫害と擯斥が絶えないことを話した 【擯斥】ひんせき しりぞけること。除け者にすること。排斥 「訳したため―されたのは一往当然(蓼食う虫)」

変移

地上―地に潜むもの 著 島田清次郎1919年発行 一年半といえば随分短いようで、しかも平一郎母子には長い、変移の多い時日である 【変移】へんい 移り変わること。変遷

乱酔

地上―地に潜むもの 著 島田清次郎1919年発行 それを尾沢達が喜ばない。のみならず、あの乱酔をはじめようとしている 【乱酔】らんすい 正体がなくなるほど酒に酔うこと。泥酔TTT

仰望

地上―地に潜むもの 著 島田清次郎1919年発行 平一郎の未知の世界を仰望するような情熱を帯びた眼付をちらちらと横目で見た 【仰望】ぎょうぼう あおぎ望むこと。また敬い慕うこと

秋光

地上―地に潜むもの 著 島田清次郎1919年発行 体操の教師と、沈黙している校長と国語の教師とに朝の秋光が薄らに射していた 【秋光】しゅうこう 秋の景色。秋の日ざし。秋色。(季)秋

知慮 / 智慮

地上―地に潜むもの 著 島田清次郎1919年発行 彼にも分った。しかし自分で制する智慮はまだなかった 【知慮/智慮】ちりょ 賢い考え。物事について深く考える能力