2015-10-01から1ヶ月間の記事一覧

密画

蓼食う虫 著 谷崎潤一郎昭和3年 富士の下には広重風の町の景色の密画があって、横に「沼津」と記してある 【密画】みつが 細かいところまで綿密に描いた絵。細密画

俗才

思ひ出の記 著 小泉節子大正3年 勘定なども下手でした。そのような俗才は持ちませんでした。ただ子供ができたり 【俗才】ぞくさい 俗事に長じた才能。世才

延引

思ひ出の記 著 小泉節子大正3年 親に頼みましたが、宿の主人は唯ハイハイとばかり云って延引していましたので 【延引】えんいん 物事を先に延ばすこと。遅らせること

湖水

思ひ出の記 著 小泉節子大正3年 西の方は湖水と天とびつたり溶けあふて、静かな波の上に白帆が往来して居ます 【湖水】こすい 湖。湖の水

口跡

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 七ツ年上の私より、諸事はっきりしていた。第一に、口跡がよかった 【口跡】こうせき 言葉遣い。話し振り。特に歌舞伎俳優の台詞の言い方、声色 「―が悪いから何を言ってるのか判らない(4ページミス…

盛会

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 先生と交遊あった人々、また文壇の人々など大勢集まった盛会であった 【盛会】せいかい 盛大でにぎやかな会合。「会は―のうちに終わった」 「会は非常な―で、中には伯爵家の令嬢なども(牛肉と馬鈴薯…

押っ取り刀

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 悲鳴に似たその声に、私は、おっとり刀という気持ちで裏へ飛び出した 【押っ取り刀】おっとり刀 急な出来事で刀を腰にさす暇なく、手に持ったままであること。急いで駆けつける形容に用いる

揚言

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 片手で何かにぶら下がれるうちは木登りが出来る、などと揚言し 【揚言】ようげん 声を大に言うこと。公然と言いふらすこと。またその言葉+

亡失

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 祖父の時代の火事や、関東大震災での亡失からまぬがれた古い書附類の中に 【亡失】ぼうしつ 失いなくすこと。またうせてなくなること○

良否

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 その質と形で石の良否は決るのだろうが、私はそういうことには不案内で 【良否】りょうひ よいことと、よくないこと。良し悪し

没義道

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 文壇に於ける左翼派の没義道なふるまいなども鬱屈の種であった 【没義道】もぎどう 人の道にはずれてむごいこと。非道なこと、またさま。不人情

内意

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 そういう山口先生の内意を、級友の一人が郷里までつたえに来てくれた 【内意】ないい 心の中で思っていること。また公表してない考え。内々の意向

大息

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 「へーえ」と大観堂が大息した。私は驚ろきや悲しみではなく、ひどい失望のような 【大息】たいそく 大きなため息をつくこと。嘆くこと

親疎

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 友人知己、分に応じ親疎にしたがって、借りられるところは大抵借りているから 【親疎】しんそ 親しいことと疎遠なこと。親しい人と親しくない人。「―の隔てなく挨拶する」

引かれ者の小唄

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 あれを、したり顔に、滑稽だ、などと見るのは、引かれ者の小唄かも知れない 【引かれ者の小唄】ひかれもののこうた (引かれ者が平気を装い小唄をうたう意から)負け惜しみで強がりを言うこと

分明

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 つまるところ、彼らが、緒方を是非とも必要としていることは、分明なのだ 【分明】ぶんめい ・他との区別がはっきりしていること。あきらかなこと、またそのさま。「―な事実」 ・明らかになること。…

鵜の真似をする烏

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 真理に気づいた。鵜の真似をする烏水に溺る、というのだった。あひると白鳥は別物だということ 【鵜の真似をする烏】うのまねをするからす みだりに人まねをしても必ず失敗するというたとえ。烏が鵜…

袂別

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 故郷と袂別し家庭を打こわして宿無し同様の緒方が、そこへ時々やって来た 【袂別】べいべつ たもとをわかつこと。別れること

酒友

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 酒は、酒友中、第一級の飲み手だった。飲んでよく喧嘩をしたが、知人とは決して 【酒友】しゅゆう 飲み友達。飲み仲間

参酌

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 あれこれ思案し、はたの意向も参酌するが、決定したとなると、もう動かぬのだ 【参酌】さんしゃく 他の物を参考にして長所を取り入れること。斟酌。「意見を―して適切に処置する」

時々刻々

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 この世で、死ぬまで毎日、時々刻々生れ変るという寸法なんだが、それがどうも 【時々刻々】じじこっこく/じじこくこく その時その時。物事が引き続いて起こることにいう。時を追って。次第次第に 「…

席次

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 われわれの宇宙席次というべきものは、いったいどこにあるのか 【席次】せきじ ・会合などでの席順 ・成績、地位などの順位