2014-08-01から1ヶ月間の記事一覧

一点一画

一の糸 著 有吉佐和子1965年 発行 だが、文面は例によって一点一画をゆるがせにしない端麗な文字で、 【一点一画】いってんいっかく 漢字の一つの点と一つの画。「―もゆるがせにしない」

目もあや

一の糸 著 有吉佐和子1965年 発行 知っている恋愛というものは芝居や文楽で見る目も綾な、しかも大胆な男女の動きだけで 【目もあや】 ・眩しいほど立派なさま。きらびやかで直視できない様子 ・目をまわすほどひどいさま

老杉

きりぎりす 著 太宰治1974年 発行 料亭と旅館を兼ねた家であって、老杉に囲まれ、古びて堂々たる構えであった 【老杉】ろうさん 長い年月を経た杉の木

泣きの涙

きりぎりす 著 太宰治1974年 発行 十円、二十円を請求する。泣きの涙で手渡してやると、「ダンケ」と言って帰って行く 【泣きの涙】 涙を流して泣くこと。非常に悲しい思いをすること

愛惜

きりぎりす 著 太宰治1974年 発行 着物を、皮膚と同様に愛惜している。 【愛惜】あいせき ・愛し、大切にすること 「日頃―シタ樹木ヤ(小さき者へ 生れ出ずる悩み)」 「母の思い出と作品を―する(ご近所美術館)」 ・名残惜しく思うこと。「過ぎ去った青春…

雄飛

きりぎりす 著 太宰治1974年 発行 人間は自分の最高と信じた路に雄飛しなければ、生きていても屍同然である 【雄飛】ゆうひ 大きな志をいだいて盛んに活動すること。「学者として世界に―する」 「満州とシベリアに―しようとしている(押絵の奇蹟)」

足元から鳥が立つ

きりぎりす 著 太宰治1974年 発行 それこそ、実感として「足もとから鳥が飛び立った」ような、くすぐったい、尻餅をついてみたい程の驚きを感じたのです 【足元から鳥が立つ】 ・身近で意外なことが起こる ・急に思い立って、あわただしく物事を始める

頂門の一針

きりぎりす 著 太宰治1974年 発行 お言葉の全部が、かならずしも私にとって頂門の一針というわけのものでも無かったし 【頂門の一針】ちょうもんのいっしん 人の急所をついて強く戒めること。また、急所を押さえた教訓 「今日世間の青年男女が―ともなるべき…

排撃

きりぎりす 著 太宰治1974年 発行 あなたが、作品の「芸術的な雰囲気」を極度に排撃なさるのも、 【排撃】はいげき 相手をしりぞけようと、非難や攻撃をすること

祈念

きりぎりす 著 太宰治1974年 発行 作者の愛情と祈念が、やはり読者を救っています。 【祈念】きねん 願いがかなうよう、神仏に祈ること 「捕まえることを、―いたしておりまするぞ(猫間地獄のわらべ歌)」

松籟

きりぎりす 著 太宰治1974年 発行 ここは武蔵野のはずれ、深夜の松籟は、浪の響きに似ています。 【松籟】しょうらい 松の梢に吹く風、またその音

先生と言われるほどの馬鹿でなし

きりぎりす 著 太宰治1974年 発行 「先生と言われる程の」という諺は、なんという、いやな言葉でしょう。この諺ひとつの為に、日本のひとは、正当な尊敬の表現を失いました。 【先生と言われるほどの馬鹿でなし】 先生と呼ばれて気分をよくするほど馬鹿では…

望見

きりぎりす 著 太宰治1974年 発行 きのう新潟の海岸から、望見したのも、この島だ。 【望見】ぼうけん 遠くから眺め見ること

展転/輾転

きりぎりす 著 太宰治1974年 発行 ばかな事と知りながら実行して、あとで劇烈な悔恨の腹痛に転輾する 【展転/輾転】てんてん ・転がること。回転すること。めぐること ・寝返りを打つこと ・ころころと変わること

定見

きりぎりす 著 太宰治1974年 発行 あなたには、まるで御定見が、ございません。 【定見】ていけん 他人に左右されない、その人自身の意見。「無―」

厚志

きりぎりす 著 太宰治1974年 発行 その来客の厚志が、よくわかっているだけに、なおさら、自身のぶざまさが 【厚志】こうし 思いやりの気持ち。心のこもった親切。「御―ありがたく存じます」

熟柿

きりぎりす 著 太宰治1974年 発行 ちっとも可愛くないばかりか、いよいよ熟柿がぐしゃっと潰れたみたいに滑稽で 【熟柿】じゅくし よく熟した柔らかいカキの実 「彼れは顔を―のようにして(何処へ・入江のほとり)」 「村娘は―で甘い干し柿を作るのが上手(…

鳩首

きりぎりす 著 太宰治1974年 発行 私たち鬼夫婦は、その夜、鳩首して小声で相談した 【鳩首】きゅうしゅ 寄り集まって、額をつきあわせ相談すること。「―疑義」 「相談や懇談や―会議を続けている(一の糸)」PPP

酸鼻

きりぎりす 著 太宰治1974年 発行 見れば、見るほど、酸鼻の極である。ポチも、いまは流石に、おのれの醜い姿を恥じている様子で 【酸鼻】さんび むごたらしく痛ましいこと、さま。「―を極める」「―な事故」 「―を極めた事故現場にあって(本にだって雄と雌…

阿諛追従

きりぎりす 著 太宰治1974年 発行 ひたすら飼主の顔色を伺い、阿諛追従てんとして恥じず、ぶたれても 【阿諛追従】あゆついしょう 気に入られようと大いに媚びへつらうこと

酷刑

きりぎりす 著 太宰治1974年 発行 之を甘やかしているからいけないのだ。容赦なく酷刑に処すべきである。 【酷刑】こっけい 残酷な刑罰、仕置き

倨傲

きりぎりす 著 太宰治1974年 発行 おれのこんな、ものの感じかたをこそ、倨傲というのではなかろうか 【倨傲】きょごう おごり高ぶること、さま。傲慢 「―な心はぬっと頭を擡げる(愛と認識との出発)」MMM

芬々

きりぎりす 著 太宰治1974年 発行 一命すてて創った屍臭ふんぷんのごちそうは、犬も食うまい 【芬々】ふんぷん 盛んににおうさま。本来はよい香りにいう

門口

きりぎりす 著 太宰治1974年 発行 何度も何度も、家の門口を出たりはいったりいたします 【門口】かどぐち ・家や門の出入り口 ・物事が始まろうとする時