2012-07-01から1ヶ月間の記事一覧

悪血

パノラマ島綺譚 著 江戸川乱歩 1926年〜 先祖伝来の憎悪怨恨の悪血が、万右衛門さんの胸にも、宗一氏の胸にも、段々烈しく湧き立って行きました 【悪血】わるち/あくち/おけつ 悪い血。病毒を含んだ血 「―をしたたらせた酒を運ぶ(聖少女)」

蓮台

パノラマ島綺譚 著 江戸川乱歩 1926年〜 千代子の手を取って、数人の裸女によって作られた蓮台の上におし上げ 【蓮台】れんだい 仏像が座る、ハスの花を形作った台座。蓮華座 「そろそろ、天国の―から降りて貰おうか(黒死館殺人事件)」 (参考:http://mem…

際涯

パノラマ島綺譚 著 江戸川乱歩 1926年〜 現に目の前に拡がっている、無際涯の広野は、その果てはやっぱり地平線の彼方に消えているとしか 【際涯】さいがい 土地や物事の限界。果て。かぎり。「―もなく広がる海原」

嬉戯

パノラマ島綺譚 著 江戸川乱歩 1926年〜 一糸纏わぬ艶かしき影を躍らせて嬉戯する様は、ギリシャの昔語を画題とした名画でも見る様です 【嬉戯】きぎ 嬉しそうに遊び戯れること。喜び遊ぶこと

斧鉞

パノラマ島綺譚 著 江戸川乱歩 1926年〜 そこにはいささかも、醜い斧鉞の跡などが残っている訳ではありません。 【斧鉞】ふえつ ・斧とまさかり 「古来、―の入らぬ厚生林が茫洋と広がって(本にだって雄と雌があります)」 ・文章に手を入れること。添削

隔意

パノラマ島綺譚 著 江戸川乱歩 1926年〜 彼女に対する不思議な隔意、そして、あののっぴきならぬ確かな証拠と並べ立てて考えますと 【隔意】かくい へだたりのある気持ち。打ち解けない心。遠慮。「―なく付き合う」 「―なく珍客の扱いをされてみると(潮騒)…

叩頭

パノラマ島綺譚 著 江戸川乱歩 1926年〜 一も二もなく、彼の前に叩頭して、疑いのけぶりさえみせませんし 【叩頭】こうとう 頭を地につけておじぎをすること。叩首

一驚を喫する

パノラマ島綺譚 著 江戸川乱歩 1926年〜 今更らながら、彼自身の大身代に一驚を喫しないではいられませんでした。 【一驚を喫する】いっきょうをきっする びっくりさせられる

疎漏/粗漏

パノラマ島綺譚 著 江戸川乱歩 1926年〜 うっかりしてはいけない。どんな些細な疎漏もあってはならない。 【疎漏/粗漏】そろう 扱いがいい加減で、手落ちがあること、さま。「―なプラン」

感懐

パノラマ島綺譚 著 江戸川乱歩 1926年〜 汽車は、併し、彼の感懐などには関係なく、駅から駅へと走り続け 【感懐】かんかい ある事柄に接して心に抱く思い。感慨

山川草木

パノラマ島綺譚 著 江戸川乱歩 1926年〜 この大自然の、山川草木を材料として、一つの石、一つの木、一つの花、或は又そこに飛びかう所の鳥、 【山川草木】さんせんそうもく 自然の景観や植物など、人間以外に存在する全てのこと。自然 「故郷の―がぼんやり…

放擲

パノラマ島綺譚 著 江戸川乱歩 1926年〜 事業は荒廃したまま、訪ねる人もなく、放擲され、人口の森や林や花園は、殆ど元の姿を失って 【放擲】ほうてき 投げ出すこと。打ち捨てること。ほうって、かえりみないこと。「資産を―する」 「義務を―するところでし…

私憤

花のさくら通り 著 荻原浩 集英社 2012/6/30 発行 義憤なのか私憤なのかもわからないまま杉山は、こちらを振り返っている人々を 【私憤】しふん 個人的ないきどおり。個人として抱いた怒り

ダンピング

花のさくら通り 著 荻原浩 集英社 2012/6/30 発行 テレビ局が広告料金のダンピングに走っていることは確かだが 【ダンピング】 ・採算度外視の低価格で商品を投げ売ること ・外国市場を確保するため、国内価格よりも低価格で商品を販売すること

仕舞た屋

花のさくら通り 著 荻原浩 集英社 2012/6/30 発行 煤けた店と古ぼけた仕舞屋ばかりが続き、街灯に造花の桜が飾られ 【仕舞た屋】しもたや ・住居専用の町家、家屋 ・商いをやめた家

寡占

花のさくら通り 著 荻原浩 集英社 2012/6/30 発行 一流どころの広告主を寡占している大手の代理店に何年も在籍していれば 【寡占】かせん 少数の供給者が市場を支配している状態。オリゴポリー 「幸福の―状態(聖なる怠け者の冒険)」 「三、四社に―されてい…

白頭

花のさくら通り 著 荻原浩 集英社 2012/6/30 発行 六十代後半に見える、半白頭に和風のコック帽を載せた小柄な男だ。 【白頭】はくとう ・白髪の頭 「祖母は半白の髪をさっぱりと束ね(小僧の神様)」 ・ムクドリの別名 ・オキナグサの根

黄変

花のさくら通り 著 荻原浩 集英社 2012/6/30 発行 いったい何年前からそこにあるのか、すっかり黄変している。 【黄変】おうへん 変色し黄ばむこと

幸甚

ラブレス 著 桜木紫乃 新潮社 2011/8/25 発行 笑い飛ばしていただけたら幸甚です。 【幸甚】こうじん 大変ありがたいと思うこと、さま。この上ない幸せ(書面でよく使用される)

無影灯

ラブレス 著 桜木紫乃 新潮社 2011/8/25 発行 無影灯の丸い光がぼやけた。 【無影灯】むえいとう 手術室などで使われる、影を作らず長時間使用しても温度がさほど上がらない照明器具 (参考:http://www.suzue-dental.com/ope/index.html)

沃野

倒立する塔の殺人 著 皆川博子 理論社 2007/11 発行 まだ見ぬ読書の沃野へと導かれた。 【沃野】よくや 地味の肥えた平野 「田間の―を最後の楽園として(最暗黒の東京)」 「悪の―をどこまでも(本にだって雄と雌があります)」

喫する

倒立する塔の殺人 著 皆川博子 理論社 2007/11 発行 杏子が選び取るに任せた。ふたりで喫した。 【喫する】きっする ・飲む。食べる ・(好ましくないことを)受ける、こうむる。「敗戦を―する」

明証

倒立する塔の殺人 著 皆川博子 理論社 2007/11 発行 久仁子が手記の書き手ではない明証が、ここにもひとつ。 【明証】めいしょう はっきり証明すること。はっきりした証拠

驕慢

倒立する塔の殺人 著 皆川博子 理論社 2007/11 発行 貴女は驕慢だった 【驕慢】きょうまん (文章語)おごり高ぶって人を見下し、好き勝手なことをすること、さま

旧弊

倒立する塔の殺人 著 皆川博子 理論社 2007/11 発行 職員の間にもまだ旧弊がはびこっているから、すぐに採択はされないだろうが 【旧弊】きゅうへい ・古い習慣などから生じる弊害 ・古い考え方にとらわれているさま「―な人だ」 「また小母さんの―が始まった…

桎梏

倒立する塔の殺人 著 皆川博子 理論社 2007/11 発行 オランダは、スペインの桎梏を離れ、貿易で栄えていたから 【桎梏】しっこく 行動を厳しく制御して自由を束縛すること。手かせ足かせ 「直ちにこれを―して鉄鞭を加う(最暗黒の東京)」

氷雨

倒立する塔の殺人 著 皆川博子 理論社 2007/11 発行 翌日は、氷雨が降りしきっていた。 【氷雨】ひさめ ・空から降り落ちる氷の粒。ヒョウやあられ。(季)夏 ・冷たい雨。みぞれ(季)冬

奔馬

倒立する塔の殺人 著 皆川博子 理論社 2007/11 発行 出走の合図を待つ奔馬。 【奔馬】ほんば 勢いよく駆ける馬。また、勢いの激しいことのたとえ。「―の勢い」

むぐら

倒立する塔の殺人 著 皆川博子 理論社 2007/11 発行 草生い茂るむぐらのイメージだ。 【葎】むぐら 広範囲にわたって生い茂る雑草や、その茂み。(季)夏 「萱や―にとじられた広い草地や(久生十蘭短篇選)」

傲然

倒立する塔の殺人 著 皆川博子 理論社 2007/11 発行 壮麗というのか、傲然というのか、息苦しいほどに色とりどりだった 【傲然】ごうぜん おごり高ぶって、尊大に振舞うさま。「―たる態度」「―とふんぞり返る」 「―として主張するのだ(愛と認識との出発)」