2013-06-01から1ヶ月間の記事一覧

空閨

ドグラ・マグラ 著 夢野久作 1935年 発行 あるいは玄宗皇帝時代に、空閨に泣いていたおびただしい宮女たちから受けた感化かも 【空閨】くうけい 相方がおらず、一人寂しく眠る寝室。孤閨。空房

惻隠の情

ドグラ・マグラ 著 夢野久作 1935年 発行 見聞きしてさすがに惻隠の情に動かされたが、強いて心を鬼にして 【惻隠の情】そくいんのじょう 可哀想に思う気持ち。同情する心持 「―をおこして念仏を唱える善男善女(ねむり姫)」

喋々喃々

ドグラ・マグラ 著 夢野久作 1935年 発行 牡丹亭で喋々喃々の光景を、詩人の李太白が涎を垂らして牡丹の葉陰から見ている 【喋々喃々】ちょうちょうなんなん 男女が仲睦まじく語り合うさま。小さい声で親しそうに語り合うさま 「和解後の―まで聞きとれる部屋…

杖柱

ドグラ・マグラ 著 夢野久作 1935年 発行 お前一人が杖柱…などと夢うつつに申しておりますそうで、 【杖柱】つえばしら 杖と柱。もっとも頼りにするもののたとえ 「われわれが杖とも柱とも頼んだ巴屋さんが(壺中の回廊)」 「ゆくゆくは杖とも柱ともなって…

地境

ドグラ・マグラ 著 夢野久作 1935年 発行 婿入りの形にするために、地境の畠を潰しまして、見事な離家が一軒建ちました 【地境】じざかい/ちきょう 所有者の異なる土地の境界、さかい 「尾根をつたって、―になるらしいほうへ降りてみたが(久生十蘭短篇選)」…

三竿

ドグラ・マグラ 著 夢野久作 1935年 発行 またも熟睡に陥り、日三竿に及びて蹶起して、今日はただ一回の呼び声にて覚醒 【三竿】さんかん 太陽や月が空高く昇ること

文弱

ドグラ・マグラ 著 夢野久作 1935年 発行 かつ平生若き女性に接する機会を有する文弱明敏、かつ発育円満なる少年にありがちの 【文弱】ぶんじゃく 学問や芸事などにふけっていて、弱弱しいこと、さま

香華

ドグラ・マグラ 著 夢野久作 1935年 発行 りっぱな墓の下に葬られて、香華を手向けられているわけであります 【香華】こうげ 仏前用の香と花。華香。こうばな 「朝々に―を供えるために来る(美しき町・西班牙犬の家 他六篇)」 「村の者がをりをり―を手向け…

妖異

ドグラ・マグラ 著 夢野久作 1935年 発行 見下している黒怪人物の、今更に眼に立つ物々しい妖異さ… 【妖異】ようい あやしく普通でないこと、さま、そのようなもの

闃寂

ドグラ・マグラ 著 夢野久作 1935年 発行 すさまじい動物どもの絶叫、悲鳴のうちに、いよいよ闃寂として更け渡って行くばかり 【闃寂】げきせき/げきじゃく ひっそりとして静まり、寂しいさま

裂帛

ドグラ・マグラ 著 夢野久作 1935年 発行 それにおびえて狂いまわる猿輩の裂帛の叫び…呑気な羊や鶏の類までも 【裂帛】れっぱく ・帛(きぬ)を引き裂く音。そのように鋭い声 「見事な間をためて、―の気合が口から飛ぶときだけ(一の糸)」 ・ホトトギスの鳴…

玲瓏

ドグラ・マグラ(上) 著 夢野久作 1935年 発行 一点の曇りもない、玲瓏玉のような少女の全身を、残る隈なく検査して 【玲瓏】れいろう ・玉などが透き通って美しいさま、玉のように輝くさま ・玉尚のふれあって美しく鳴るさま、音声が澄んで響くさま

蚤取り眼

ドグラ・マグラ(上) 著 夢野久作 1935年 発行 その流行を未然に喰い止めるべく、その実例を蚤取眼で探している。 【蚤取り眼】のみとりまなこ 蚤をとるときのような、見落とすまいという真剣な目付き

白河夜船

ドグラ・マグラ(上) 著 夢野久作 1935年 発行 あくる朝までブッ通しに白河夜舟で、晩飯も何も喰いません 【白河夜船】しらかわよふね ・前後なくぐっすり眠り込むこと。熟睡して何も気づかないこと ・語源から、知ったかぶりの意味でも用いられる

尻に帆をかける

ドグラ・マグラ(上) 著 夢野久作 1935年 発行 さすがに海千山千の吾輩も、尻に帆を上げかけたね。 【尻に帆をかける】しりにほをかける 慌てて逃げ去る

余喘を保つ

ドグラ・マグラ(上) 著 夢野久作 1935年 発行 世界各地に余喘を保っているいわゆる、宗教なるものは、こうした科学的の考慮を粉飾して 【余喘を保つ】よぜんをたもつ やっと生きながらえている。滅びそうなものがかろうじて続いている

千辛万苦

ドグラ・マグラ(上) 著 夢野久作 1935年 発行 千辛万苦してヤット彼女を…花、もしくは鳥を手に入れることができた 【千辛万苦】せんしんばんく 様々な苦労、困難を経験すること、またその苦しみ

拝跪

ドグラ・マグラ(上) 著 夢野久作 1935年 発行 太陽の前の星のごとく拝跪しなければならない。 【拝跪】はいき ひざまずいて拝むこと

葦の髄から天井を覗く

ドグラ・マグラ(上) 著 夢野久作 1935年 発行 そうした「葭の髄から天井を覗く」式の囚われた、唯物論的に不自由、不合理な…モウ一つ換言すれば 【葦の髄から天井を覗く】よしのずいからてんじょうをのぞく 葦の細い穴を通して天井を見て、全体を見たと思…

欣喜雀躍

ドグラ・マグラ(上) 著 夢野久作 1935年 発行 諸君よ。欣喜雀躍せよ。勇敢に飛び上り、逆立ち、宙返りせよ。 【欣喜雀躍】きんきじゃくやく 小躍りして大喜びすること 「酒との再会に―する(こっちへお入り)」【雀躍】じゃくやく 小躍りして喜ぶこと 「僕…

畢生

ドグラ・マグラ(上) 著 夢野久作 1935年 発行 猛然、畢生の心血を傾注した最高等の探偵術を応用しつつ、無限の時空に 【畢生】ひっせい 一生が終わるまでの期間。一生涯。終生

僭称

ドグラ・マグラ(上) 著 夢野久作 1935年 発行 脳髄はこうして宇宙間最大最高級の権威を僭称しつつ、人体の最高所に鎮座して 【僭称】せんしょう 身分を超えた称号を勝手に名乗ること、またその称号 「町民にあるまじき―をしたという廉で(うつろ舟)」 「…

牛頭馬頭

ドグラ・マグラ(上) 著 夢野久作 1935年 発行 キチガイ地獄の牛頭馬頭どもが。手取り足取りして行くあとから。 【牛頭馬頭】ごずめず 頭が牛や馬になっている、地獄の番兵

十万億土

ドグラ・マグラ(上) 著 夢野久作 1935年 発行 念仏唱えず。十万億土の汽車賃使わず。そんじょそこらに幾らもあります。 【十万億土】じゅうまんおくど 極楽浄土、天国のこと。また、非常に離れていること。(仏教語)