2014-03-01から1ヶ月間の記事一覧

冠絶

黒死館殺人事件 著 小栗虫太郎1935年 発行 世界の類を求め得ないほどに冠絶したものに違いなかった 【冠絶】かんぜつ 群を抜いて優れていること。「世界に―する偉業」

妖言

黒死館殺人事件 著 小栗虫太郎1935年 発行 ハハハハハ法水さん、下らん妖言浮説は止めにして貰いましょう 【妖言】ようげん/およずれごと あやしい言説。不吉で人をまどわせるような流言

粋人

黒死館殺人事件 著 小栗虫太郎1935年 発行 検事は再び法水の粋人的な訊問態度をなじりかかった 【粋人】すいじん ・風流人。優雅な、趣味の豊かな人 ・遊里や花柳界などの事情に通じている人。転じて、経験を積んで世間や人情の裏表をよく知っている、さばけ…

生硬

黒死館殺人事件 著 小栗虫太郎1935年 発行 クリヴォフ夫人はやや生硬な態度で答えたが 【生硬】せいこう 態度・表現などが未熟でかたい感じのすること、さま。「―な著作」

美衣美食

黒死館殺人事件 著 小栗虫太郎1935年 発行 確かに美衣美食と高い教程でもって育まれて行ったのですから 【美衣美食】びいびしょく 贅沢な服装を身につけたり、食事をすること。「―の生活に明け暮れる」

生動

黒死館殺人事件 著 小栗虫太郎1935年 発行 何とも云えぬ不気味な生動を与える 【生動】せいどう いきいき動くこと。特に文字や絵画などの今にも動き出すような趣をいう。「―する春の気配」「気韻―」 「その鷺一匹の―の気力は、驚くばかりに俊慧な(機械・春…

一言半句

黒死館殺人事件 著 小栗虫太郎1935年 発行 謎の華には、疑義を挟む一言半句さえ述べる余地はなかったのである 【一言半句】いちごんはんく ほんの少しの言葉。ひとこと 「芥川さんの語られる―も聞きもらすまいと(もめん随筆)」 「なんと言われても、―の出…

細隙

黒死館殺人事件 著 小栗虫太郎1935年 発行 靴跡には、周囲の細隙から滲み込んだ泥水が、底ひたひたに 【細隙】さいげき 細い隙間

手袋を投げる

黒死館殺人事件 著 小栗虫太郎1935年 発行 ここで明らかに、犯人が手袋を投げたと云う事も 【手袋を投げる】 (決闘を申し込むという西洋の風習から)断交を宣言する

秤量

黒死館殺人事件 著 小栗虫太郎1935年 発行 理性の陰に潜んでいるものを、その場去らずに秤量する事は不可能だった 【秤量】しょうりょう/ひょうりょう 重量をはかること。転じて、事物の多少・軽重を考え合わせること。「両者の立場を―する」

軽挙

黒死館殺人事件 著 小栗虫太郎1935年 発行 肩口を踏み躙った熊城さえ、そろそろ自分の軽挙が悔やまれて来た 【軽挙】けいきょ 軽はずみな行いTTT

通暁

黒死館殺人事件 著 小栗虫太郎1935年 発行 甲冑に通暁している易介とは思われぬほど作法外れなんだ 【通暁】つうぎょう ・夜を通じ明け方に至ること。夜どおし。徹夜 ・ある物事について大変詳しく知っていること。精通 「海鼠の棲息地などに―し(十蘭レトリ…

猛悪

黒死館殺人事件 著 小栗虫太郎1935年 発行 咽輪と黒漆の猛悪な相をした面当で隠されてあった。 【猛悪】もうあく 荒々しく悪いこと。勇猛で残酷なこと、さま。「―な誘惑」

憤激

黒死館殺人事件 著 小栗虫太郎1935年 発行 検事は憤激の色をなして叫んだ 【憤激】ふんげき 激しくいきどおること。ひどく怒ること

遊惰

黒死館殺人事件 著 小栗虫太郎1935年 発行 その美しさもいわゆる俳優的な、遊惰な媚色であって、どの線どの陰影の中にも 【遊惰】ゆうだ 働かずにぶらぶらしていること、さま。「―に過ごす」

大風

黒死館殺人事件 著 小栗虫太郎1935年 発行 何時の間にか入り込んでいて、大風な微笑を湛えて見下ろしている 【大風】おおふう ・おごり高ぶって人を見下すような態度をとること、さま。横柄 ・気が大きくて小さなことにこだわらないこと、さま 「「買ってや…

闡明

黒死館殺人事件 著 小栗虫太郎1935年 発行 積み重ねて行き、実証的に深奥のものを闡明しようとした 【闡明】せんめい はっきりしていない道理や意義を明らかにすること 「これを研究し―し(牛肉と馬鈴薯)」

光背

黒死館殺人事件 著 小栗虫太郎1935年 発行 四角の光背と目前の死者との関係を、どう云う意味でお考えになりますか? 【光背】こうはい 仏身から発する後光を表したもの 「於継の姿に瑠璃色の―を感じた(華岡青洲の妻)」

蕪雑

黒死館殺人事件 著 小栗虫太郎1935年 発行 そう云った蕪雑な目撃現象ではありません 【蕪雑】ぶざつ 雑然(まとまりのない)としていること、さま。「―な文章」

論及

黒死館殺人事件 著 小栗虫太郎1935年 発行 過去の三事件にはこの際論及しないにしてもです 【論及】ろんきゅう 論じ、そのことにまで言い及ぶこと。「細部にまで―する」

喘鳴

黒死館殺人事件 著 小栗虫太郎1935年 発行 ジイジイっと喘鳴のようなかすれた音を立てて、燃え始めると 【喘鳴】ぜんめい ぜいぜい、ひゅうひゅうという呼吸音。気管支ぜんそくの患者などにみられる

暗闘

黒死館殺人事件 著 小栗虫太郎1935年 発行 個人的な暗闘ならば兎も角、あの四人の方々には 【暗闘】あんとう ・表立たない所で、ひそかに争うこと。裏側での争い。「ロビーでの―」 「内弟子はもう後釜をねらって―を初めている(押絵の奇蹟)」 ・歌舞伎のだ…

多寡

黒死館殺人事件 著 小栗虫太郎1935年 発行 とにかく、人形の性質は多寡の知れたものだよ 【多寡】たか 多いことと少ないこと。多いか少ないかの、両・額。多少。「金額の―は問わない」 (注)「高が知れる」とは別 「儂が金の―でなんぞいう男やと思うのか(…

十年一日

黒死館殺人事件 著 小栗虫太郎1935年 発行 十年一日の如くに、犯人は糸を使っているんだよ 【十年一日】じゅうねんいちにち 長年、変化がなく同じ状態であること。「―進歩がない」 「―の如く、まずしい小説ばかり書いて(きりぎりす)」 「―の如く迷うことな…

謬説

黒死館殺人事件 著 小栗虫太郎1935年 発行 これで、君の謬説が粉砕されてしまうんだ。何も苦しんでまで 【謬説】びゅうせつ 間違った説や説明

古拙

黒死館殺人事件 著 小栗虫太郎1935年 発行 部厚な扉の両面には、古拙な野生的な構図で 【古拙】こせつ 古風で技巧的にはつたないものの、素朴で捨てがたい味わいがあること、さま

毫末

黒死館殺人事件 著 小栗虫太郎1935年 発行 あの召使には毫末の嫌疑もない といって 【毫末】ごうまつ ごくわずかなこと(下に打消し語を伴い用いる)。「言い分には―の差異もない」

口小言

黒死館殺人事件 著 小栗虫太郎1935年 発行 電光が瞬き、口小言のような雷鳴が鈍く懶気に轟いて来る 【口小言】くちこごと あれこれやかましく言う小言

殷々

黒死館殺人事件 著 小栗虫太郎1935年 発行 今にも、聖鐘の殷々たる響が轟きはじめ、その神々しい光が 【殷々】いんいん 大きな音が鳴り響くさま。「雷鳴が―と轟く」 「天地の間より―として響き来る(地上)」

苦患

黒死館殺人事件 著 小栗虫太郎1935年 発行 魂の苦患が心の底で燃え燻っているかのような 【苦患】くげん 地獄での苦しみ。転じて、苦しみや悩み。苦悩 「生涯の一切の―から何一つも吸収摂受していない(地上)」 「現世の―を避けるとかいう気には(暢気眼鏡…