2015-04-01から1ヶ月間の記事一覧

幻怪

機械・春は馬車に乗って 著 横光利一大正13年〜 韻律も流れのままに荒野を生活してゆく、奔放幻怪なおもむきは強烈なものだった 【幻怪】げんかい 怪しいこと、不思議なこと、さま。「―な音を聞く」

悟入

機械・春は馬車に乗って 著 横光利一大正13年〜 心を動かすことなくありたい。これが加藤君の水蓮によって悟入した心境であった 【悟入】ごにゅう ・仏語。悟りの極地にはいること ・体験により物事をよく理解すること◎

篤実

機械・春は馬車に乗って 著 横光利一大正13年〜 面白味のない高次郎氏だったが、篤実な人のことだから陥落の喜びのあまり 【篤実】とくじつ 情が深く誠実なこと、さま○

連袂

機械・春は馬車に乗って 著 横光利一大正13年〜 明治の飯を食わずと連袂して山間の僻地に立て籠り 【連袂】れんべい たもとをつらねること。行動を共にすること。「―辞職」MMM

苦杯

機械・春は馬車に乗って 著 横光利一大正13年〜 この胸を刺す諷刺の前で必ず苦杯を舐めているにちがいない 【苦杯】くはい 苦い経験。つらい経験。「―をなめる」「―を喫する」

好個

機械・春は馬車に乗って 著 横光利一大正13年〜 私がそういう彼にはまた好箇の探偵物の材料になって迫っているのも事実なのだ 【好個】こうこ ちょうどよいこと、さま

一族郎党

機械・春は馬車に乗って 著 横光利一大正13年〜 お前の看病をするためには、一族郎党を引きつれて来ておいて、金を百万円ほど積みあげて 【一族郎党】いちぞくろうどう/いちぞくろうとう ・一家一族。家族 ・同族と家来 ・一族とその関係者 「―が捜し回るよ…

圭角

機械・春は馬車に乗って 著 横光利一大正13年〜 その圭角をなくした円やかな地図の輪郭は、長閑な雲のように微妙な線を張って 【圭角】けいかく ・玉のとがったところ。玉のかど ・性格や言動にかどがあって、円満でないこと。「―がなくなる」 「ソルボンヌ…

練磨

機械・春は馬車に乗って 著 横光利一大正13年〜 ナポレオンの爪はまた練磨された機械のように腹の頑癬を掻き始めた 【練磨】れんま 技芸や学問などを鍛え磨くこと。「心身を―する」「百戦―」

果断

機械・春は馬車に乗って 著 横光利一大正13年〜 彼の政務の執行力は、論理のままに異常な果断を猛々しく現すのが常であった 【果断】かだん 物事を思い切って行うこと。決断力のあること、さま。「―な処置」「積極―」

雄図

機械・春は馬車に乗って 著 横光利一大正13年〜 彼の爪が勃々たる雄図をもって、彼の腹を引っ掻き廻せば廻すほど 【雄図】ゆうと 雄々しいはかりごと。雄大な計画

恭謙

機械・春は馬車に乗って 著 横光利一大正13年〜 侍医は彼の傍へ、恭謙な禿頭を近寄せて呟いた 【恭謙】きょうけん 慎み深く、へりくだること、さまPPP

月暈

煤煙 著 森田草平1910年〜 濃い湯気の玉がその前をぐるぐると廻って、月暈のやうな輪をゑがく 【月暈】げつうん/つきがさ 月の周りに見える光の環 「まわりに暖かそうな―が銀を燻したように霞んで(黒髪・別れたる妻に送る手紙)」 (参考:http://ja.wikipe…

獄窓

煤煙 著 森田草平1910年〜 男の失望は何んなであらう。若し又光の薄い獄窓の下で読んだとしたら 【獄窓】ごくそう 牢獄の窓。また、牢獄の中、獄中

一文字

煤煙 著 森田草平1910年〜 朋子は泥濘の道を一文字に歩いて行く。少時、その後姿を見送つてゐたが 【一文字】いちもんじ ・一字 ・横にまっすぐなこと。真一文字 ・わき目もふらずに ・鎧の背に入れる薄い板 ・掛け軸で、上下につける綾・錦などの細長い布 …

夜話

煤煙 著 森田草平1910年〜 萬一年寄の夜話に若い頃の話でも出たら、何卒今夜の事が想ひ出して貰ひたい 【夜話】やわ/よばなし ・夜にする談話。またそれを書き記した本 ・気軽に聞ける話。またその内容の本。「歴史―」◎

一期

煤煙 著 森田草平1910年〜 少くとも空想の上では一期の別れを演じてゐるやうな気がしてならぬ 【一期】いちご ・生まれてから死ぬまで。一生。一生涯 ・死に際した時。最期。臨終 ・一生に一度しかないようなこと。一生にかかわること。「―のご恩」

省慮

煤煙 著 森田草平1910年〜 一時の衝動に依らず、十分なる省慮の結果として、なほ人を殺すに至る 【省慮】せいりょ かえりみてよく考えること

余事

煤煙 著 森田草平1910年〜 隅江と同じ事を憂ひ同じ事を喜んで、一切の餘事を忘れることが出来た 【余事】よじ ・本筋以外の事柄。他事 ・本業以外に余力や余暇でやる仕事

来旨

煤煙 著 森田草平1910年〜 事務員らしいのを捉まへて、来旨を告げると、案の如く、此方は一杯だから 【来旨】らいし 来訪の趣旨。来意

人香

煤煙 著 森田草平1910年〜 がやがやと騒めく物音と共に若い人香が立上つた 【人香】ひとか 人の移り香。人のにおい

夜深

煤煙 著 森田草平1910年〜 それ持つて夜深に雨傘を指して、角の郵便函迄入れに行った 【夜深】よぶか 夜が深まったこと。夜更け。またそのさま

死毒

煤煙 著 森田草平1910年〜 死體の唇へ接吻した。見る見る死毒が身體へ傳はつて、手足がきかなくなつた 【死毒】しどく 動物の死体が細菌などで分解する時にできる毒性物質

回国

煤煙 著 森田草平1910年〜 娘恋しさに家を畳んで廻國に出た。娘の年紀は十九、名前と人相とを書いて 【回国】かいこく 諸国をまわって歩くことAAA

忍び音

煤煙 著 森田草平1910年〜 どさどさと物の倒れる音がして、ひいと忍音に女の泣く声が洩れた 【忍び音】しのびね ・小声。ひそひそ声 ・忍び泣きの声 「夜じゅうしくしくと―に泣くのが(蓼食う虫)」 ・ホトトギスの、声をひそめるような鳴き声

渡世

煤煙 著 森田草平1910年〜 名古屋から出る七宝焼の図案を渡世にしてゐたのだが、舊時代の職人で 【渡世】とせい ・この世で生きていくこと。世渡り 「その女の子は、「可愛い」―を長く渡ってきた(ニシノユキヒコの恋と冒険)」 ・生活していくための職業。…