2015-07-01から1ヶ月間の記事一覧

乗輿

最暗黒の東京 著 松原岩五郎明治25年ごろ 往来を通れば、彼らは実に乗輿を拝するが如く、老若男女の貧人ら皆々手ごとに 【乗輿】じょうよ ・天子の乗り物 ・天子の敬称 ・輿などの乗り物

士君子

最暗黒の東京 著 松原岩五郎明治25年ごろ 最暗黒の怪窟として、士君子の口にはその名称を唱ゆることを憚られたる旧世界の遺跡 【士君子】しくんし 学問、人格ともに優れた人。徳行の高い人

偶感

最暗黒の東京 著 松原岩五郎明治25年ごろ 露宿と木賃の比較的優劣論を偶感しつつ、予は混合洞窟を立出、早速この身を 【偶感】ぐうかん ふと心に浮かんだ感想

天象

最暗黒の東京 著 松原岩五郎明治25年ごろ 千夜に一夜の風流として偶然の天象を楽むには、この上もなき娯戯なれども 【天象】てんしょう ・日、月、星などに見られる現象。天体の現象 ・空模様

慈眼

最暗黒の東京 著 松原岩五郎明治25年ごろ 人を見て悉く同胞と見做すの慈眼をもって挙動たり。 【慈眼】じげん/じがん ・仏語。慈悲の心を持って衆生を見る仏・菩薩の目 ・いつくしみの籠った目。慈悲のまなこ

宛然

或る少女の死まで 他二篇 著 室生犀星 それがだんだんに、宛然、世間の生活に染みてゆくように、すこしずつ濁って 【宛然】えんぜん そっくりそのままであるさま

急霰

或る少女の死まで 他二篇 著 室生犀星 その烈しい急霰の落ちようは人の話し声も聞えないほどさかんで 【急霰】きゅうさん にわかに降ってくるあられ。その音。(季)冬BBB

顧慮

或る少女の死まで 他二篇 著 室生犀星 何ら外部から拘束せられることなく、また少しも顧慮しないで衝き進んだことも 【顧慮】こりょ ある事をしっかり考えに入れ、心を配ること。「相手の立場を―する」

野分

或る少女の死まで 他二篇 著 室生犀星 野にはもう北国の荒い野分が吹きはじまって 【野分】のわき 秋から冬にかけて吹く暴風。特に二百十日・二百二十日前後に吹く台風。(季)秋 「大空は水のごとく澄んでいながら―吹きすさんで(牛肉と馬鈴薯)」AAA

景情

或る少女の死まで 他二篇 著 室生犀星 涼みかたわら歩く人も多かった。私はそれらの景情にひたりながらも 【景情】けいじょう 世の自然のありさま。情景

没書

或る少女の死まで 他二篇 著 室生犀星 本屋の小僧は、まるで私の詩が没書にでもなったような冷たい顔をして言った 【没書】ぼっしょ 原稿などを採用しないこと。またその原稿など。没

千里同風

八軒長屋 著 村上浪六明治39年 その四日が大切だ。三日の間は千里同風の例外だが、さていよいよ四日からが一年中の運気始めだ 【千里同風】せんりどうふう 世の中がよく収まっていて平和であること。逆に世の中が混乱していることをいう時もある

浅劣

八軒長屋 著 村上浪六明治39年 しかも資性の頑迷にして素養の浅劣なる、いかに先哲の死に臨んで 【浅劣】せんれつ 浅はかで劣っていること、さま