2014-11-01から1ヶ月間の記事一覧

畳触り

甘い蜜の部屋 著 森茉莉1975年 発行 柴田は、畳ざわりも荒々しく寝台に近づき、抱えて来た水色の服を 【畳触り】たたみざわり ・畳の感触 ・畳への触れ方。立ち居振る舞いのこと

行住坐臥

銀の匙 著 中勘助1921年 発行 随分我儘もしたのだけれど、それでも行住坐臥四方八方にたてられた御札ばかりを気にかけて 【行住坐臥】ぎょうじゅうざが 日常の振る舞い。また、常日頃

寵幸

銀の匙 著 中勘助1921年 発行 富公がこの小女王の寵幸をほしいままにするのを指をくわえて見てるより 【寵幸】ちょうこう 特別かわいがられること。寵愛

とつおいつ

銀の匙 著 中勘助1921年 発行 などととつおいつ思案をめぐらした。が、とにかくひとの物をもってきて抽匣に入れてあるのが気がかりでならない 【とつおいつ】 考えが定まらずあれこれ思い悩むさま 「独りで思案にくれて、―している(黒髪・別れたる妻に送る…

理非曲直

銀の匙 著 中勘助1921年 発行 そのあいだに理非曲直をぼつぼつと考えて自分が悪いとわかればじきに泣きやむし 【理非曲直】りひきょくちょく 道理に合っていることと合っていないこと。不正なことと正しいこと

夜の目も寝ない

銀の匙 著 中勘助1921年 発行 お念仏をくりかえしながら夜の目もねずに看病してくれた 【世の目も寝ない】よのめもねない 夜も寝ない。夜も休まない 「夜の目もろくろく眠らずにした労力は(機械・春は馬車に乗って)」 「こう溜息をついて―られず塞ぎ込ンで…

博聞強記

銀の匙 著 中勘助1921年 発行 字こそ読めないが驚くほど博聞強記であった伯母さんは殆ど無尽蔵に話の種をもっていた 【博聞強記】はくぶんきょうき 広く物事を聞き知って、よく記憶していること

柔靭

銀の匙 著 中勘助1921年 発行 うわつらはぽくぽくしながらしんは柔靭でいくら噛んでも噛みきれない 【柔靭】じゅうじん しなやかかつ強いさま

衰微

銀の匙 著 中勘助1921年 発行 その結果、漢方医学は衰微の一途をたどります 【衰微】すいび 勢いが衰え弱くなること。衰退 「この辺の土地は―しるとも(何処へ・入江のほとり)」 「御家禄派の―(機械・春は馬車に乗って)」 「圧迫を受けて―に向いつつある…

禁圧

猫町 他十七篇 著 萩原朔太郎 だが昔の学生や青年らは、全くその青春時代を禁圧されてた 【禁圧】きんあつ 権力で無理におさえつけ禁じること

富貴

猫町 他十七篇 著 萩原朔太郎 百万石の殿様から恋をされ、富貴を捨てて若い貧乏の職人に情立てした江戸の遊女は 【富貴】ふうき 金持ちで、かつ地位や身分が高いこと、さま。ふっき。「―な生まれ」 「それで―の生活を捨てたわけ(忌中)」

味得

猫町 他十七篇 著 萩原朔太郎 何の苦にもならないものだということも、自分の生活経験によって味得した 【味得】みとく よく味わって理解し、自分のものにすること

蕭条

猫町 他十七篇 著 萩原朔太郎 村落は悲しげに寄り合ひ、蕭条たる山の麓で、人間の孤独にふるへてゐる 【蕭条】しょうじょう ひっそりともの寂しいさま 「一種すすけた―とした淋しさを湛えていた(機械・春は馬車に乗って)」

郷党

猫町 他十七篇 著 萩原朔太郎 田舎に於ては、郷党のすべてが縁者であり、系図の由緒ある血をひいてゐる 【郷党】きょうとう その人の郷里。また郷里を同じくする仲間 「売り放って、―から冷たいわらいを買った(暢気眼鏡・虫のいろいろ 他十三篇)」

轟然

猫町 他十七篇 著 萩原朔太郎 轟然たる発火と共に、煙が室内いっぱいに立ちこもった 【轟然】ごうぜん 大きな音がとどろき響くさま。「列車が―と走り抜ける」

千古

猫町 他十七篇 著 萩原朔太郎 胡蝶が自分であるか、今の自分が自分であるかと。この一つの古い謎は、千古にわたってだれも解けない 【千古】せんこ ・大昔。太古 ・永遠。永久

諧調

猫町 他十七篇 著 萩原朔太郎 往来で立話をしている人たちも、皆が行儀よく、諧調のとれた低い静かな声で話をしていた 【諧調】かいちょう 調和のよくとれた音、調子。全体がしっくり溶け合った調子

人馬

猫町 他十七篇 著 萩原朔太郎 そして最後に、漸く人馬の足跡のはっきりついた、一つの細い山道を発見した 【人馬】じんば ・人と馬 ・腰から上が人間、下が馬という架空の動物

口碑

猫町 他十七篇 著 萩原朔太郎 雲を見ながら、この地方の山中に伝説している、古い口碑のことを考えていた 【口碑】こうひ 古くからの言い伝え。伝説。「―に残る悲話」 「彼らが語りつぐ―によれば(本にだって雄と雌があります)」 「高潮の―があることも分か…

花客

美しき牢獄 著 素木しづ1918年 発表 いつも買つて行つた。店にとつては非常にいいお花客であつた 【花客】かかく ・花を見る人。花見客 ・贔屓の客。得意客。華客 「叔父の上―(じょうとくい)になっている田舎の田地持ち(瓶詰の地獄)」

世才

美しき牢獄 著 素木しづ1918年 発表 誠二は頭がよかった。そしてよく世才にたけて人の心を見ることが出来た 【世才】せさい 世の中の事情に通じ、たくみに世渡りのできる才能。世故の才 「不得手ながら時にとッての―を絞り出して笑えば(八軒長屋)」

純一

愛と認識との出発 著 倉田百三1921年 発表 思想的に未熟と誤謬とを含んでいる場合にも、純一ならぬ軽雑な何ものをもインフェクトせぬであろう 【純一】じゅんいつ まじりけのないこと。飾りや嘘偽りがないこと、さま。「―な人柄」

忍受

愛と認識との出発 著 倉田百三1921年 発表 不幸に打たれて、しかもそれに抵抗する気のきわめて少なくなっている忍受の心 【忍受】にんじゅ 耐え忍び受け入れること。「屈辱を―する」

天与

愛と認識との出発 著 倉田百三1921年 発表 私の心の内に天与の人懐かしさがある 【天与】てんよ 天から与えられたもの。天のたまもの。天賦

隠忍

愛と認識との出発 著 倉田百三1921年 発表 あの「ピルグリム・プログレス」の巡礼の持つ隠忍にして撓まぬ努力の精神 【隠忍】いんにん 苦しみを隠して堪え忍ぶこと。「―に―を重ねる」

陰森

愛と認識との出発 著 倉田百三1921年 発表 丑の時参りの陰森なる灯の色を思う 【陰森】いんしん ・樹木が生い茂って暗いさま ・薄暗くてもの寂しいさまMMM

糜爛

愛と認識との出発 著 倉田百三1921年 発表 その万物を糜爛せしめるような陰鬱な雨は今日も今日もと降りつづいた 【糜爛】びらん ただれ崩れることTTT

熱涙

愛と認識との出発 著 倉田百三1921年 発表 深大なる価値をこの接触の上に払い、互いに熱涙を注いで喜んだであろう 【熱涙】ねつるい 感動のあまりこぼす、あつい涙。「―にむせぶ」

純乎

愛と認識との出発 著 倉田百三1921年 発表 男女の恋にも勝りていかに纏綿として離れがたく、純乎として清きよ 【純乎】じゅんこ まじりけの全くないさま

長逝

愛と認識との出発 著 倉田百三1921年 発表 去年の夏、チョコルアの別荘で忽然と長逝せられたのであった 【長逝】ちょうせい 死ぬこと。永眠。逝去