2012-04-01から1ヶ月間の記事一覧

寒村

檸檬 著 梶井基次郎 1925年 発行 そこは山のなかの寒村で、村は百姓と木樵で、養蚕などもしていた 【寒村】かんそん 貧しい村。さびれた村 「港町から三里ほど歩いて行かなければならぬ―であるから(ヴィヨンの妻)」III

種々

檸檬 著 梶井基次郎 1925年 発行 姉が種々と衣服を着こなしているのを見ながら、 【種々】しゅじゅ 種類や方法が多いさま。いろいろ。さまざま。「―な方法」「―様々」 「―様々の事をやってまいりましたが(牛肉と馬鈴薯)」

薄暮

檸檬 著 梶井基次郎 1925年 発行 薄暮の空に、時どき、数里離れた市で花火をあげるのが見えた 【薄暮】はくぼ 夕暮れ。日暮れ 「わびしい―を苦い顔をして(蒲団・重右衛門の最後)」

諧謔

檸檬 著 梶井基次郎 1925年 発行 思い上がった諧謔心からそんなことを馬鹿げたことを考えてみたり 【諧謔】かいぎゃく おどけた滑稽味のある言葉。冗談やユーモア 「こうした何でもない―の中から(ドグラ・マグラ)」 「他愛のない―で皆を喜ばせて(美しき町…

紡錘形

檸檬 著 梶井基次郎 1925年 発行 あの単純な色も、それからあの丈の詰まった紡錘形の格好も 【紡錘形】ぼうすいけい 両端がとがっている円柱のかたち 「それは紡錘のようなかたちのものだった(ねむり姫)」 (参考:http://www2.synapse.ne.jp/uemon/kyu.ht…

驟雨

檸檬 著 梶井基次郎 1925年 発行 店頭に点けられたいくつもの電灯が驟雨のように浴びせかける絢爛は 【驟雨】しゅうう にわか雨。通り雨。村雨。短時間で降り止む雨 「きまって山を襲う―の時間(久生十蘭短篇選)」 「昼過ぎにまた強い―があった(営繕かるか…

望外

無菌病棟より愛をこめて 著 加納朋子 文芸春秋 2012/3/25 早々に諦めていただけに、望外の幸せである。 【望外】ぼうがい 望んでいた以上によい結果であること、さま。思いのほか。「―な出世」 「最初は―な金のため(この女)」

仰臥

無菌病棟より愛をこめて 著 加納朋子 文芸春秋 2012/3/25 また、仰臥した状態でこれだけ取り囲まれるというのも、落ち着かない。 【仰臥】ぎょうが あおむけに寝ること

難ずる

結婚 著:井上荒野 角川書店 2012/3/30 発行 古海が微かに難ずるように言った浴槽は、経年して落ち着いた風合いになり 【難ずる】 非難する。難癖をつける。「彼の非を―ずる」

トラットリア

結婚 著:井上荒野 角川書店 2012/3/30 発行 この前行った目黒のトラットリアはどう? 【トラットリア】 イタリアの大衆向け小規模レストラン

リバティプリント

結婚 著:井上荒野 角川書店 2012/3/30 発行 景品にもらったリバティプリントの「エコバッグ」を提げて 【リバティプリント】 小さな花がらなどが一面にびっしりとプリントされた生地。もとはリバティ社の一商品だった

寒立馬

結婚 著:井上荒野 角川書店 2012/3/30 発行 寒くなったので寒立馬もいいんじゃないかと 【寒立馬】かんだちめ 青森県尻屋崎周辺に年中放牧されている、寒さに強いたくましい馬 (参考:http://photoequus.blog43.fc2.com/blog-entry-38.html)

洒落のめす

結婚 著:井上荒野 角川書店 2012/3/30 発行 オレンジがかったベージュのシャツという洒落のめした出で立ちで、広縁の椅子に掛けた 【洒落のめす】 ・終始しゃればかり言い続ける。何でも冗談にしてしまう。 ・大変におしゃれをする

踏破

結婚 著:井上荒野 角川書店 2012/3/30 発行 最後は五十五段の石段を踏破しなければならない。 【踏破】とうは 長い道のりを歩きとおすこと 「大文字山から琵琶湖へ―し(聖なる怠け者の冒険)」

衣魚/紙魚/蠹魚

結婚 著:井上荒野 角川書店 2012/3/30 発行 紙魚みたいにこちらの心に潜り込んでくるあの顔。 【衣魚/紙魚/蠹魚】しみ 書物や衣類などを食害する、一センチほどの虫。(季)夏 「大きな―をぎょうさん飼うてはってな(本にだって雄と雌があります)」

福音

結婚 著:井上荒野 角川書店 2012/3/30 発行 奇跡のような出会い。福音みたいな転機。女たちはいつでもありもしない突破口を探している 【福音】ふくいん 喜びを伝える良い知らせ 「―を伝える使者といっても過言でなかった(桑潟幸一准教授〜」

擦過

恋の都 著 三島由紀夫 1953年発行 永い九年間が眼前を急速力で走る列車のように擦過する思いがして 【擦過】さっか かすること、こすること 「―音だけの口笛を吹き(痺れる)」

はだら

恋の都 著 三島由紀夫 1953年発行 まだそこかしこに残雪がはだらに光っている日の午後 【はだら】 ・雪などが不規則に濃淡になっているさま。まだら 「松影が―に落ちている(潮騒)」 「私は川岸の―に消えかかった道を行った(或る少女の死まで 他二篇)」 …

おさおさ

恋の都 著 三島由紀夫 1953年発行 良人や娘にもおさおさひけをとらぬ怪物だった。 【おさおさ】 ・ほとんど(ない)。まったく(ない)。「―怠りない」

油然

恋の都 著 三島由紀夫 1953年発行 建物の中から音楽が油然と起こった。 【油然】ゆうぜん 盛んにわき起こるさま、心に浮かぶさま。「―と詩情がわく」 「―とした嬉しさが心の底からこみあげて来る(みみずのたはこと 上)」 「気体の中で―と入れ変り立ち変り…

迂路

恋の都 著 三島由紀夫 1953年発行 散歩道はさまざまな迂路をえがいて、庭をまんべんなく廻っていたが 【迂路】うろ 遠回りの道。迂回路 「非常な―をとらなければ理解の途がない(三太郎の日記)」

好餌

恋の都 著 三島由紀夫 1953年発行 結婚は、ジャーナリズムの好餌になり、話がきまるとから、新聞記者や雑誌記者が二人を追っかけまわした。 【好餌】こうじ よいえさ。えじき 「新聞の―となるのは必至(壺中の回廊)」

表白

恋の都 著 三島由紀夫 1953年発行 ひっきりなしの愛の表白やまごころの押売りを、面倒くさがる性格だということだった。 【表白】ひょうはく 考えや気持ちを、言葉に表すこと 「心の高尚と潔白が遺憾なく―されますよ(八軒長屋)」

算を乱す

恋の都 著 三島由紀夫 1953年発行 どんだ逆襲に会った若いお客たちは算を乱して、出口のほうへ逃げだした。 【算を乱す】さんをみだす 算木を乱したように、ちりぢりばらばらになる

安閑

恋の都 著 三島由紀夫 1953年発行 まゆみはいつものように、楽屋で安閑としているわけにはゆかず 【安閑】あんかん ・のんびりと安らかなさま ・(危急に対し)何もせずぼんやりとしているさま。「―としてはいられない」 「記者も―としていられない(沈黙の…

穴居

恋の都 著 三島由紀夫 1953年発行 こういう薄暗い場所を好むのは、穴居生活の名残であろうか 【穴居】けっきょ ほらあらに住むこと。ほらあらの住居 「暗い洞窟にひそんだ―人のような住民たち(夜の淵をひと廻り)」

道心堅固

恋の都 著 三島由紀夫 1953年発行 まゆみのような道心堅固な女性しかいないこんなパーティーだから。 【道心堅固】どうしんけんご 道義心を堅く守ること

好評嘖嘖

恋の都 著 三島由紀夫 1953年発行 こんな好評嘖々に気をよくして廊下へ出たまゆみは、もう仮装を終って廊下のソファでタバコを吹かしているマリ子を見て 【好評嘖嘖】こうひょうさくさく 非常に評判がよく、ほめたたえられるさま

見栄坊

恋の都 著 三島由紀夫 1953年発行 二人ともせいぜい紳士ぶっていて、みえ坊だから、そんなこと、できやしないわよ 【見栄坊】 みえを張る人、さま。みえっぱり

宿望

恋の都 著 三島由紀夫 1953年発行 今や彼の宿望は果たされたというべきである 【宿望】しゅくぼう かねての念願