物の名

象る/模る

漁師の愛人 著 森絵都2013/12/15 発行 話を聞くにつれうっすら象られてきたイメージを 【象る/模る】かたどる ・物の形を写し取る。また、ある形に似せて作る ・物事を形象化して表す。象徴する。

書影

ソラシド 著 吉田篤弘2015年1月30日 発行 画面は松山氏の顔写真と何冊かの書影で構成され 【書影】しょえい 書籍の見てくれ・外観。また、その映像

似姿

バナナ剥きには最適の日々 著 円城塔2012年4月 発行 自身の似姿を欲しがったのかも知れないし 【似姿】にすがた 似せてつくった像や絵。肖像

跋文

ピカルディの薔薇 著 津原泰水2006年11月 発行 親本の跋文が収録されてしまったので、バランスをとるため 【跋文】ばつぶん 本分とは別に、書物の終わりに記す文章。あとがき

薬餌

ピカルディの薔薇 著 津原泰水2006年11月 発行 中国や韓国では薬餌とするようです。常食する土地はぼくも知らないな 【薬餌】やくじ 病人にとっての、薬と食物。また、薬

公器

瑠璃の雫 著 伊岡瞬2012年11月8日 発行 しかし、地方紙とはいえ公器でしょう 【公器】こうき おおやけのもの。公共のための機関。「新聞は社会の―である」

腑分け

夜の淵をひと廻り 著 真藤順丈2016年1月31日 発行 患者ですよ。病理だって腑分けされてるんだから 【腑分け】ふわけ 解剖 「傷を開き―し肉を血をすすりたい(抒情的恐怖群)」

浩瀚

本にだって雄と雌があります 著 小田雅久仁2012年10月発行 広辞苑と並んでもなんら見劣りしない浩瀚極まるこの書物は 【浩瀚】こうかん ・書物の多くあるさま。「―な蔵書」 ・書物の巻数やページ数の多いさま「―な書物」

稟議

人生相談。 著 真梨幸子2014年4月発行 でも、俺、がんばって、前借りの稟議を通したんだよ。経理部長に直談判して 【稟議】りんぎ/ひんぎ 会社・官庁などで、会議を開催する手数を省くため、係の者が案を作成し、関係者に回し、承認を求めること。「―書」 「…

集散地

ご近所美術館 著 森福都2012年発行 出張先だったというタイや香港は、宝石の一大集散地だ 【集散地】しゅうさんち 生産地から産物を集めてこれを消費地へ送り出す所。「米の―」

入鋏

ニシノユキヒコの恋と冒険 著 川上弘美2003年 発行 入鋏が終わってからふり向くと、ニシノさんはにこにこしながら改札口の外で 【入鋏】にゅうきょう 乗車券・入場券などに係員がはさみを入れること。「―省略」PPP

裸火

ハッピーエンドにさよならを 著 歌野晶午2007/9 発行 仕事も家も家族も失ったと答えたところ、裸火だけは使わないようにとだけ注意され 【裸火】はだかび 覆いのない、むき出しの火。「煙草の―」

旋盤

ハッピーエンドにさよならを 著 歌野晶午2007/9 発行 旋盤の狂いを髪の毛の単位で直している最中、ここまで神経をつかったところで 【旋盤】せんばん 工作物を主軸に固定して回転させ、往復台上にある刃物を前後左右に動かし、工作物を軸対称状に切削する工…

退色/褪色

よるねこ 著 姫野カオルコ2002/8 発行 万年筆の青の褪色に、戦前というむかし、を実感した 【退色/褪色】たいしょく 日光などにさらされ、色がだんだん薄くなること。色あせること。またその色

夾雑物

水声 著 川上弘美2014/9/30 発行 そして人間は、なんて夾雑物にまみれているんだろう 【夾雑物】きょうざつぶつ 混じっている余計なもの。「―を取り除く」 「―は一切ない(コッペリア)」 「否応なく―が浜に堆積してしまう(蘆屋家の崩壊)」

露頭

にぎやかな落葉たち 著 辻真先2015/2/18 発行 全体が土に沈んで、今では岩の一部が寥の胸のあたりまで露頭するだけだ 【露頭】ろとう ・かぶりものをつけず、頭をむき出しにしていること、その頭 ・岩石や地層などが地表に露出している部分

画餅

とっぴんぱらりの風太郎 著 万城目学2013/9/28 それこそ、まさに画餅と言うべきじゃな 【画餅】がべい 絵にかいた餅。実際の役にたたないもののたとえ 「突然の帰国でその計画も―になった(牛肉と馬鈴薯)」

厖大

十蘭レトリカ 著 久生十蘭 厖大な棺を持って重慶へ入り込もうなどと考えたことがすでに愚の極みだし 【厖大】ぼうだい 形や内容などが非常に大きいさま。きわめて数量の多いさま。膨大

密画

蓼食う虫 著 谷崎潤一郎昭和3年 富士の下には広重風の町の景色の密画があって、横に「沼津」と記してある 【密画】みつが 細かいところまで綿密に描いた絵。細密画

点景

一千一秒物語―稲垣足穂コレクション 著 稲垣足穂大正〜昭和 彼女が点景として添える人物は、鍬を肩にしているのでなければ、きっと肥桶を担うていた 【点景】てんけい 風景画などで画面を引き締めるために副次的に添えられた人や物

緑酒

最暗黒の東京 著 松原岩五郎明治25年ごろ 華門は開かれたり、曰く缶壺に緑酒一斗、銀瓶、珠碟、鳳膸の羹は珊瑚の器に盛られ 【緑酒】りょくしゅ 緑色の酒。酒の美称。美酒

乗輿

最暗黒の東京 著 松原岩五郎明治25年ごろ 往来を通れば、彼らは実に乗輿を拝するが如く、老若男女の貧人ら皆々手ごとに 【乗輿】じょうよ ・天子の乗り物 ・天子の敬称 ・輿などの乗り物

没書

或る少女の死まで 他二篇 著 室生犀星 本屋の小僧は、まるで私の詩が没書にでもなったような冷たい顔をして言った 【没書】ぼっしょ 原稿などを採用しないこと。またその原稿など。没

毒刃

八軒長屋 著 村上浪六明治39年 懐中より取り出して冷かなる微笑を浮かべながら、ぬッと毒刃の鋒鋩に等しく突き出しぬ 【毒刃】どくじん 凶悪な者の持つ刃物。凶刃。「―に倒れる」

圭角

機械・春は馬車に乗って 著 横光利一大正13年〜 その圭角をなくした円やかな地図の輪郭は、長閑な雲のように微妙な線を張って 【圭角】けいかく ・玉のとがったところ。玉のかど ・性格や言動にかどがあって、円満でないこと。「―がなくなる」 「ソルボンヌ…

雄図

機械・春は馬車に乗って 著 横光利一大正13年〜 彼の爪が勃々たる雄図をもって、彼の腹を引っ掻き廻せば廻すほど 【雄図】ゆうと 雄々しいはかりごと。雄大な計画

余事

煤煙 著 森田草平1910年〜 隅江と同じ事を憂ひ同じ事を喜んで、一切の餘事を忘れることが出来た 【余事】よじ ・本筋以外の事柄。他事 ・本業以外に余力や余暇でやる仕事

死毒

煤煙 著 森田草平1910年〜 死體の唇へ接吻した。見る見る死毒が身體へ傳はつて、手足がきかなくなつた 【死毒】しどく 動物の死体が細菌などで分解する時にできる毒性物質

冷灰

合本 三太郎の日記 著 阿部次郎1914年・1915年発行 結論は形骸を頭の中にとどめても新生の熱は冷灰となってしまう 【冷灰】れいかい 火の気がなくなり冷たくなった灰 「この男の―ぶりにはいつもついイライラさせられて(十蘭レトリカ)」

墓誌

合本 三太郎の日記 著 阿部次郎1914年・1915年発行 心から愛しかつ心から憎んでいる過去のために墓誌を書いてやりたい心持で一杯に 【墓誌】ぼし 金石に死者の事跡などを記して墓中に納めたもの。また、墓石に死者の事跡などを記した文 (参考:http://www.g…