2014-01-01から1年間の記事一覧

落人

何処へ・入江のほとり 著 正宗白鳥明治40年〜 世を狭められた落人のように、お国は自分達の事を思った 【落人】おちゅうど 戦に負け、人目を避けて逃げる人

手盛り

何処へ・入江のほとり 著 正宗白鳥明治40年〜 朝川は手盛りで緩々飯を食いながら、根掘り葉掘り訊いて見たが 【手盛り】てもり ・自分で食べ物を食器に盛ること ・自分勝手に自己の利益を図ること ・計略。策略

近所合壁

何処へ・入江のほとり 著 正宗白鳥明治40年〜 茶請を奢って、近所合壁の噂をも聞いて、調子を合せて笑い興じもするけれど 【近所合壁】きんじょがっぺき 近くの家々のこと。隣近所 「わづかに十二坪の―へ響き渡りぬ(八軒長屋)」

残肴

何処へ・入江のほとり 著 正宗白鳥明治40年〜 障子を開けると、残肴を囲んで四人がばらばらに坐っている 【残肴】ざんこう 食べ残した肴。酒宴の残り物

摩する

何処へ・入江のほとり 著 正宗白鳥明治40年〜 さして広い庭でもないが、夜目には奥深く、一際すぐれた樅の木は冴えた空を摩している 【摩する】まする ・こする。みがく ・すれすれになるほど近づく。迫る。接近する。「天を―高層タワー」

伍する

何処へ・入江のほとり 著 正宗白鳥明治40年〜 農夫に伍して革命を説いたり、国を脱走して他国に流浪するあたり、さも面白そうに書いてあるが 【伍する】ごする 肩を並べる。仲間に入る。「列強に―する」

鼓吹

何処へ・入江のほとり 著 正宗白鳥明治40年〜 今の中に社会に士気を鼓吹しなければ、日本の国家も将来が案じられるて 【鼓吹】こすい ・元気づけ励ますこと。鼓舞 ・意見や思想を盛んに唱え、広く賛成を得ようとすること 「芳子に向っても尠からず―した。(…

何処へ・入江のほとり 著 正宗白鳥明治40年〜 その中で殊に妻君の寵を辱う(かたじけのう)する者が一人ある 【寵】ちょう 特に可愛がること。また非常に気に入られる事。寵愛。「―をほしいままにする」

引照

何処へ・入江のほとり 著 正宗白鳥明治40年〜 この中の要点は一々原書から直接に引照したのだから、自分でも確かだと信じてる 【引照】いんしょう 他の事柄やものと引き比べること。文献などを照らし合わせること

弊風

何処へ・入江のほとり 著 正宗白鳥明治40年〜 我々は滔々たる弊風に感染せず、徒らに虚名を求めずして真面目なる研究を続けたし 【弊風】へいふう 悪い風俗や習慣。悪習

訳筆

何処へ・入江のほとり 著 正宗白鳥明治40年〜 軽く答えて、物が何であれ、訳筆が何であれ、そんな事は身を入れて聞こうとはせぬ 【訳筆】やくひつ 翻訳の文章。訳文

余瀝

何処へ・入江のほとり 著 正宗白鳥明治40年〜 矢張り酒という奴あ味いもんだ。」と、余瀝を舐めて、畳の上に置いた 【余瀝】よれき 器の底に残った酒や汁などのしずくAAA

禿筆

何処へ・入江のほとり 著 正宗白鳥明治40年〜 鉄亜鈴で鍛えた手に禿筆(ちびふで)を握って、死灰の文字をほじくって 【禿筆/禿び筆】とくひつ/ちびふで 穂先のすり切れた筆。ちびた筆 「これを無遠慮なる一本の―に掻き廻せば(八軒長屋)」

楽寝

甘い蜜の部屋 著 森茉莉1975年 発行 御包も楽寝をきめこんでいたその午後、モイラは台所にいた 【楽寝】らくね のんびり気楽に寝ること。のびのび寝ること。「―をむさぼる」

畳触り

甘い蜜の部屋 著 森茉莉1975年 発行 柴田は、畳ざわりも荒々しく寝台に近づき、抱えて来た水色の服を 【畳触り】たたみざわり ・畳の感触 ・畳への触れ方。立ち居振る舞いのこと

行住坐臥

銀の匙 著 中勘助1921年 発行 随分我儘もしたのだけれど、それでも行住坐臥四方八方にたてられた御札ばかりを気にかけて 【行住坐臥】ぎょうじゅうざが 日常の振る舞い。また、常日頃

寵幸

銀の匙 著 中勘助1921年 発行 富公がこの小女王の寵幸をほしいままにするのを指をくわえて見てるより 【寵幸】ちょうこう 特別かわいがられること。寵愛

とつおいつ

銀の匙 著 中勘助1921年 発行 などととつおいつ思案をめぐらした。が、とにかくひとの物をもってきて抽匣に入れてあるのが気がかりでならない 【とつおいつ】 考えが定まらずあれこれ思い悩むさま 「独りで思案にくれて、―している(黒髪・別れたる妻に送る…

理非曲直

銀の匙 著 中勘助1921年 発行 そのあいだに理非曲直をぼつぼつと考えて自分が悪いとわかればじきに泣きやむし 【理非曲直】りひきょくちょく 道理に合っていることと合っていないこと。不正なことと正しいこと

夜の目も寝ない

銀の匙 著 中勘助1921年 発行 お念仏をくりかえしながら夜の目もねずに看病してくれた 【世の目も寝ない】よのめもねない 夜も寝ない。夜も休まない 「夜の目もろくろく眠らずにした労力は(機械・春は馬車に乗って)」 「こう溜息をついて―られず塞ぎ込ンで…

博聞強記

銀の匙 著 中勘助1921年 発行 字こそ読めないが驚くほど博聞強記であった伯母さんは殆ど無尽蔵に話の種をもっていた 【博聞強記】はくぶんきょうき 広く物事を聞き知って、よく記憶していること

柔靭

銀の匙 著 中勘助1921年 発行 うわつらはぽくぽくしながらしんは柔靭でいくら噛んでも噛みきれない 【柔靭】じゅうじん しなやかかつ強いさま

衰微

銀の匙 著 中勘助1921年 発行 その結果、漢方医学は衰微の一途をたどります 【衰微】すいび 勢いが衰え弱くなること。衰退 「この辺の土地は―しるとも(何処へ・入江のほとり)」 「御家禄派の―(機械・春は馬車に乗って)」 「圧迫を受けて―に向いつつある…

禁圧

猫町 他十七篇 著 萩原朔太郎 だが昔の学生や青年らは、全くその青春時代を禁圧されてた 【禁圧】きんあつ 権力で無理におさえつけ禁じること

富貴

猫町 他十七篇 著 萩原朔太郎 百万石の殿様から恋をされ、富貴を捨てて若い貧乏の職人に情立てした江戸の遊女は 【富貴】ふうき 金持ちで、かつ地位や身分が高いこと、さま。ふっき。「―な生まれ」 「それで―の生活を捨てたわけ(忌中)」

味得

猫町 他十七篇 著 萩原朔太郎 何の苦にもならないものだということも、自分の生活経験によって味得した 【味得】みとく よく味わって理解し、自分のものにすること

蕭条

猫町 他十七篇 著 萩原朔太郎 村落は悲しげに寄り合ひ、蕭条たる山の麓で、人間の孤独にふるへてゐる 【蕭条】しょうじょう ひっそりともの寂しいさま 「一種すすけた―とした淋しさを湛えていた(機械・春は馬車に乗って)」

郷党

猫町 他十七篇 著 萩原朔太郎 田舎に於ては、郷党のすべてが縁者であり、系図の由緒ある血をひいてゐる 【郷党】きょうとう その人の郷里。また郷里を同じくする仲間 「売り放って、―から冷たいわらいを買った(暢気眼鏡・虫のいろいろ 他十三篇)」

轟然

猫町 他十七篇 著 萩原朔太郎 轟然たる発火と共に、煙が室内いっぱいに立ちこもった 【轟然】ごうぜん 大きな音がとどろき響くさま。「列車が―と走り抜ける」

千古

猫町 他十七篇 著 萩原朔太郎 胡蝶が自分であるか、今の自分が自分であるかと。この一つの古い謎は、千古にわたってだれも解けない 【千古】せんこ ・大昔。太古 ・永遠。永久