感情表現

淫する/婬する

鏡陥穽 著 飛鳥部勝則2005/7 発行 もともと、世の中に想像に淫することほど楽しいことはない。そうだろう 【淫する/婬する】いんする ・度が過ぎる。度を過ぎて熱中する。ふける。「読書に―する」「猟色に―する」 ・みだらなことをする

泥む/滞む

漁師の愛人 著 森絵都2013/12/15 発行 何か言いたげな気配が受話器のむこうに泥んでいる 【泥む/滞む】なずむ ・そのことに心がとらわれる。こだわる。執着する ・物事がはかばかしく進まないでいる。とどこおる ・なじむ。なれ親しむ ・悩み苦しむ。病む ・…

重畳

茗荷谷の猫 著 木内昇2008年9月25日 発行 昼前であったが偏奇館はすでに開いていた。重畳である 【重畳】ちょうじょう ・幾重にも重なること、さま ・この上なく満足なこと。大変喜ばしいこと。感動詞的にも用いる。頂上(ちょうじょう)

言辞

茗荷谷の猫 著 木内昇2008年9月25日 発行 亭主はそんな自慢芬々の言辞をもって恐縮の言葉と代えた 【言辞】げんじ 言葉。言葉遣い。言詞(げんし)

尊崇

茗荷谷の猫 著 木内昇2008年9月25日 発行 草木に対して尊崇の念を隠さないことにあるのかもしれない 【尊崇】そんすう 尊びあがめること。尊敬

嬉笑/嘻笑

ソラシド 著 吉田篤弘2015年1月30日 発行 そのオチに、我々は三者三様、微笑して苦笑して嬉笑した 【嬉笑/嘻笑】きしょう 喜び笑うこと

絶唱

忌中 著 車谷長吉2003年 発行 夫人と最後の交わりを行なった時の絶唱が、見事な二重映しで使われている 【絶唱】ぜっしょう ・非常にすぐれた詩や歌 ・感情をこめ、夢中になってうたうこと

籠絡

震える牛 著 相場英雄2012年1月 発行 その後も反対派の議員を次々に籠絡しました 【籠絡】ろうらく たくみに手なずけ、自分の思い通りに操ることSSS

心胆

蘆屋家の崩壊 著 津原泰水1999年6月 発行 これは昭和の小中学生の心胆を奪った怪談である 【心胆】しんたん こころ。肝っ玉。心肝。「―を奪う」「―を寒からしめる」▽

称美

蘆屋家の崩壊 著 津原泰水1999年6月 発行 美味を称美される蟹のひとつに高足蟹があるが、蟹という字面から 【称美】しょうび ・褒めたたえること。賛美 ・美しさ、うまさなどを心から味わうこと

増上慢

夜の淵をひと廻り 著 真藤順丈2016年1月31日 発行 アイザワの増上慢を懲らすので、私はあたふた 【増上慢】ぞうじょうまん ・仏語。未熟でありながら、仏法の悟りを身につけたと誇ること ・自分を過信して思い上がること、またそういう人、さま

痛憤

夜の淵をひと廻り 著 真藤順丈2016年1月31日 発行 込みあげる嫌悪と痛憤の渦巻きが骨に亀裂を入れて 【痛憤】つうふん 大いに憤慨すること

嗤笑

夜の淵をひと廻り 著 真藤順丈2016年1月31日 発行 唇が一瞬、嗤笑の形に歪んだような気がした 【嗤笑】ししょう あざけり笑うこと。嘲笑●

敬仰

夜の淵をひと廻り 著 真藤順丈2016年1月31日 発行 おろそかにしてはならない御仁だと敬仰しておる次第です 【敬仰】けいぎょう うやまい、仰ぐこと

号哭

夜の淵をひと廻り 著 真藤順丈2016年1月31日 発行 頭上に高らかな号哭を衝き上げた 【号哭】ごうこく 大声をあげて泣き叫ぶこと。号泣

一言居士

夜の淵をひと廻り 著 真藤順丈2016年1月31日 発行 薬剤師、一言居士のユンボ乗り、吝嗇家のラーメン屋店員 【一言居士】いちげんこじ どんなことについても、自分の意見を言わないと気のすまない人KKK

正邪

本にだって雄と雌があります 著 小田雅久仁2012年10月発行 正邪の区別などいっさい持たない、怒りに駆られた、幾層倍も残酷な追手を 【正邪】せいじゃ 正しいこと、よこしまなこと。善と悪+

示威

華岡青洲の妻 著 有吉佐和子1967年発行 加恵はそれが於継の示威であることに気がつかないわけにはいかない 【示威】じい 威力や気勢を他に示すこと。デモンストレーション

懇望

華岡青洲の妻 著 有吉佐和子1967年発行 殊に加恵は姑となるひとから懇望された嫁なのである 【懇望】こんもう/こんぼう ひたすら願い望むこと。「委員長に―される」

顕彰

ご近所美術館 著 森福都2012年発行 その味が西園寺英子の業績の顕彰に繋がるかどうかは不明だが 【顕彰】けんしょう 隠れた善行や功績などを広く知らせること。広く世間に知らせ表彰すること 「さる宮家の名のもとに―されたという経緯があった(抒情的恐怖群…

妻恋/夫恋

ことば汁 著 小池昌代2008年発行 けなげに思ううちはよかったが、夫恋いは次第にエスカレートしていった 【妻恋/夫恋】つまごい 夫婦が互いに相手を恋い慕うこと。鹿などの動物にもいう

旧歓

牛肉と馬鈴薯 著 国木田独歩明治35年ごろ〜 千代子は突然顔をあげて、旧歓の悲しみを一語にふくめて言った 【旧歓】きゅうかん 昔味わった喜び

喝破

牛肉と馬鈴薯 著 国木田独歩明治35年ごろ〜 「返事をしないか!」と江間君の喝破した時、これが火鉢のそばであるならたちまち 【喝破】かっぱ ・大声で叱りつけること ・誤った説を排し、真実を解き明かすこと。

渇望

ユリゴコロ 著 沼田まほかる2011年4月 ただ私の渇望は、級友たちのように甘い恋愛へと向かうのではなく 【渇望】かつぼう 喉の渇きで水を欲するように、心から望むこと。切望。熱望

切言

うつろ舟 著 渋澤龍彦1986年 発行 思えば、死んだ父は海へ行くなと切言したものであった 【切言】せつげん ・相手のために熱心に説くこと、その言葉 ・厳しく言うこと、その言葉

鍾愛

うつろ舟 著 渋澤龍彦1986年 発行 おれの鍾愛のさかずきから、酒がのめぬという法があるものか 【鍾愛】しょうあい とても好むこと。大切にしてかわいがること

眷恋

うつろ舟 著 渋澤龍彦1986年 発行 彦七はかねて眷恋の娘を手に入れたわけだし 【眷恋】けんれん ・恋い焦がれること ・思い切れないさま

激賞

この女 著 森絵都2011年 発行 教授の激賞に浴し、あわよくば 【激賞】げきしょう 大いに褒めること。「―を浴びる」△

赫怒

よるねこ 著 姫野カオルコ2002/8 発行 父はなにかのはずみで赫怒する、そういう人だったのです 【赫怒】かくど 激しく怒ること。激怒

韜晦

水声 著 川上弘美2014/9/30 発行 「意味がわかんない」と言ったのは、諧謔でも韜晦でもなんでもなく、本気 【韜晦】とうかい ・自分の本心や才能・地位を包み隠すこと ・身を隠すこと。姿をくらますこと 「ぼくの探索は―の磁気嵐にさまたげられて(聖少女)」