2015-05-01から1ヶ月間の記事一覧

哀訴

八軒長屋 著 村上浪六明治39年 まアせっかくここまで探し出して頻りに哀訴歎願するからね、つい已むを得ない義理に 【哀訴】あいそ 同情を引くよう強く嘆き訴えること。哀願 「ひそやかな―も感じさせる(夜の淵をひと廻り)」

凡骨

八軒長屋 著 村上浪六明治39年 事実上に修養しつつあるンだ、どうせ俗界の凡骨には褒められないよ 【凡骨】ぼんこつ 平凡な才能や素質、またその人

稼ぐに追いつく貧乏なし

八軒長屋 著 村上浪六明治39年 それがため稼ぐに追いつく貧乏なしとの諺あれど、事実この熊さン貧乏に追いつくほどの稼ぎなく 【稼ぐに追いつく貧乏なし】かせぐにおいつくびんぼうなし 常に精を出して働けば貧乏に苦しむことはない

牛は牛連れ、馬は馬連れ

八軒長屋 著 村上浪六明治39年 やはり牛は牛づれ馬は蹴り合いの理屈で、いくら腕があッても畑が違ッちゃア無効ですね 【牛は牛連れ、馬は馬連れ】うしはうしづれ、うまはうまづれ 同類は自然と集まりやすいこと。また、似た者同士が集まると調和がとれてうま…

活殺自在

八軒長屋 著 村上浪六明治39年 彼に対する恋も愛も挙げてほとんど僕の活殺自在だ、もし賄賂の効ありとせば正に今ですぜ 【活殺自在】かっさつじざい 生かすも殺すも思うがままであること。相手を思うままに扱うこと

枯木寒巌

八軒長屋 著 村上浪六明治39年 寂寞として何等の情緒纏綿なき僕の如きはほとんど枯木寒林のていだ、あわれの極だ 【枯木寒巌】こぼくかんがん 枯れた木と冷たい岩。情緒のないことのたとえ

負うた子に教えられて浅瀬を渡る

八軒長屋 著 村上浪六明治39年 金があるッて、隣屋の廂髪に、知らなかッたね、背負ッた子に浅瀬を教えられたようなもンだよ 【負うた子に教えられて浅瀬を渡る】おうたこにおしえられてあさせをわたる 時には自分より未熟な者から教えられることもある、とい…

糧道

八軒長屋 著 村上浪六明治39年 余裕はあるが、近来のように糧道が絶えてしまっちゃア、いかな勇士も戦えないよ 【糧道】りょうどう 食糧を運ぶ道筋。食料を手に入れる方法。「―が断たれる」

天機を洩らす

八軒長屋 著 村上浪六明治39年 まづ当分は天機ここに漏らすべからず、よく相手を見て打ちだすべき秘中の秘策ですよ 【天機を洩らす】てんきをもらす 重大な秘密をもらす

素天辺

八軒長屋 著 村上浪六明治39年 これが十四万円の喰い違いで素天辺から滑り落ちた男と見えますかい 【素天辺】すてっぺん ・物の一番高い所 ・最初。真っ先。のっけ

妖雲

八軒長屋 著 村上浪六明治39年 はははは妖雲飛散、どりゃ御免を蒙ッて、お相手をしようかね 【妖雲】よううん 不吉の前兆を示す怪しい雲。また事件の起こりそうな不吉な気配 「実は、それは―といったてあいだったにちがいない(十蘭レトリカ)」

丸寝

八軒長屋 著 村上浪六明治39年 夜は破れ毛布一枚に燈火もない闇がりを丸寝の手枕 【丸寝】まるね 衣服を着たまま寝ること

俗塵

八軒長屋 著 村上浪六明治39年 かく卑しき俗塵の窮港に蟠居せらるるか、哲学者の詩人にて山口某という本名 【俗塵】ぞくじん 浮世のちり。俗世間の煩わしい事柄。「―を避ける」

火宅

八軒長屋 著 村上浪六明治39年 秋は月に掉さす汀の虫の音、冬は枯れ木の雪に火宅の宿を忘れて、いつでも 【火宅】かたく 仏語。煩悩や苦しみに満ちたこの世を、火炎に包まれた家にたとえた語

満都

八軒長屋 著 村上浪六明治39年 春は満都の心を花に埋め、夏は緑の葉越に通う身の袂すずしく 【満都】まんと 都に満ちていること。また都の全ての人KKK

安危

機械・春は馬車に乗って 著 横光利一大正13年〜 先日まで、栖方の生命の安危が心配だったのに、それが事実に近づいて来てみると 【安危】あんき 安全か危険かということ。「国の―にかかわる問題」

雲集

機械・春は馬車に乗って 著 横光利一大正13年〜 どうでも良いことばかり雲集している世の中で、これだけはと思う一点を、射し動かし 【雲集】うんしゅう 雲のように多数の人が集まること

橋畔

機械・春は馬車に乗って 著 横光利一大正13年〜 舌のない獅子の諷刺を橋畔で示したさいにも、彼のあげたあの豪快な謎めく笑いには 【橋畔】きょうはん 橋のたもと。橋頭