2013-09-01から1ヶ月間の記事一覧

怯懦

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 へ持ち込むことによって、怯惰な伯爵の敢てしなかった竹箆返しを 【怯懦】きょうだ 臆病で気が弱いこと、いくじがないこと、さま。「―な性格」 「―な卑屈な格好(黒死館殺人事件)」 「彼らの倫理思想の如何に―なる事よ(愛…

赤裸

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 浜には男を失った赤裸の男たちが泣き喚いている 【赤裸】せきら ・身になにもつけていないこと、さま。丸裸 ・包み隠さないこと。むき出しであること、さま

放歌高吟

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 玄関先にまで粗暴な放歌高吟がひびき渡っている 【放歌高吟】ほうかこうぎん あたり構わず、大声で歌うこと。高吟放歌 「と―して蛮からに見えて(悪女について)」

讒言

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 女共の讒言をそのままお取上げ遊ばすとは、松枝侯爵様らしからぬことに 【讒言】ざんげん 事実を曲げたりありもしない事柄を作り上げたりして、対象者について目上の人に悪く言うこと 「真実の愛には一時の―を容るべき余地…

夜業

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 何か急ぎの仕事があって、夜業をしているのである。 【夜業】やぎょう 夜に仕事をすること、その仕事。夜なべ。(季)秋

遁辞

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 そういう一種の遁辞を言うときにも、自分の言葉がもう些かの子供らしさをも残している心配が 【遁辞】とんじ 言い逃れの言葉。逃げ口上

涙金

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 娘たちの父親に、しかるべき涙金を包んでやっていた。 【涙金】なみだきん 同情して与える金。お情けで与える少額の金。特に、関係を断つときなどに与える金

炳乎

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 空に炳乎と釘づけられた自分たちの罪の徽章だと聡子は感じた 【炳乎】へいこ きわめて明らかなさま、光り輝くさま

遍満

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 海はすぐそこで終る。これほど遍満した海、これほど力にあふれた海が 【遍満】へんまん 広くいっぱいにいきわたること。「喜びが全身に―する」 「―する香風を満喫しながら(うつろ舟)」

魁偉

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 雲のたたずまいの魁偉に見える夏の季節は 【魁偉】かいい 顔の造作や体が並はずれて大きく、たくましい感じ、いかついさま。「容貌―な男」 「更により以上―な巨人が想像され(黒死館殺人事件)」 「一層―の趣を呈して居る(…

よろぼう

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 そこには土に散ったわずかな光がよろぼい 【よろぼう(蹌踉う)】 ・よろよろ歩く。よろめく ・倒れかかる。くずれる 「秘かに産室を―い出で(押絵の奇蹟)」

居催促

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 研ぎ屋は先約の仕事があって忙しく、とみは居催促で一時間ほどしてやっと包丁を研いで 【居催促】いさいそく 座り込んで催促すること

静心

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 神主の祝詞をきいている女たちは、雨をおそれて静心なかったが 【静心】しずごころ 静かな心。穏やかな落ち着いた心

花も実もある

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 その上、私は花も実もある処置をとりたいと思っている。 【花も実もある】はなもみもある 名実ともにすぐれていること。また、道理にかなっており、人情がこもっていること

長袖者流

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 自分たちがかねて憧れていた長袖者流の優雅とは、要するに 【長袖者流】ちょうしゅうしゃりゅう 公卿や僧侶など。また、それらの流儀

放恣

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 形づくられたその顔は、端正でいながら何かしら放恣なものに充ちていた 【放恣】ほうし 気ままでしまりがないこと。勝手でだらしがないこと、さま。「―な日々」「生活が―に流れる」 「ともすると―な生活に(あらくれ)」

一指

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 自分が主人のものに一切手を触れぬ以上、主人も彼のものに一指も触れるべきではない 【一指】いっし 指一本。一本の指

陪食

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 両殿下の御晩餐の席の陪食にあずかる人数にとどめ 【陪食】ばいしょく 身分の高い人と食事をすること 「御―いうのんが、これが洋食ですわ(一の糸)」◎

遺愛

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 先代の遺愛の漢籍もゆたかなだけに、この邸うちでもっとも神聖な部屋になっていた 【遺愛】いあい 故人が生前に愛用していたもの