慣用句・言い回し

鼻薬を嗅がせる

猫間地獄のわらべ歌 著 幡大介2012年7月発行 音羽に鼻薬を嗅がされているのではあるまいか 【鼻薬を嗅がせる】はなぐすりをかがせる 賄賂を使う。鼻薬をきかせる

主客転倒

猫間地獄のわらべ歌 著 幡大介2012年7月 発行 思案を巡らせ始めると、主客転倒、目的と手段を取り違えてしまうようだ 【主客転倒】しゅかくてんとう 主と客の力関係が逆転すること。物事の軽重、本末などを取り違えること

春風駘蕩

猫間地獄のわらべ歌 著 幡大介2012年7月 発行 肌を刺すような寒さだというのに、春風駘蕩とでもいうのか、なんとも間の抜けた 【春風駘蕩】しゅんぷうたいとう ・春風がのどかに吹くさま ・物事に動じず余裕のあるさま。ゆったりとのんびりしているさま

晴耕雨読

猫間地獄のわらべ歌 著 幡大介2012年7月 発行 晴耕雨読、というわけにはいかなかったらしい 【晴耕雨読】せいこううどく 晴れた日には田畑を耕し、雨の日には家で読書すること。悠々自適の生活を送ること

気宇壮大

鏡陥穽 著 飛鳥部勝則2005/7 発行 何だかピンと来ませんが、気宇広大な話ですねえ 【気宇壮大】きうそうだい 心意気がよく度量の広いこと。構想などが大きく立派であること、さま。「―な人」「―な小説」

満面朱を濺ぐ

茗荷谷の猫 著 木内昇2008年9月25日 発行 耕吉は、満面朱を濺ぎ「ぐう」と喉を鳴らした 【満面朱を濺ぐ】まんめんしゅをそそぐ 怒って顔を真っ赤にする

万障繰り合わせる

ピカルディの薔薇 著 津原泰水2006年11月 発行 万障お繰り合わせのうえ、御足労くださいますようにお願いします 【万障繰り合わせる】ばんしょうくりあわせる 色々な支障をうまくやりくりして都合をつける。「―て駆けつける」

頑迷固陋

ピカルディの薔薇 著 津原泰水2006年11月 発行 死については間違いなく、わたしの頑迷固陋が呼び寄せたものです 【頑迷固陋】がんめいころう 頑固で視野が狭く、道理をわきまえないさま。また、自分の考えに固執して柔軟でなく、正しい判断が出来ないさま。…

笛吹けども踊らず

シャイロックの子供たち 著 池井戸潤2006年1月30日 発行 こういっては何ですが、笛吹けど踊らずというやつでしてね。困ったものです 【笛吹けども踊らず】ふえふけどもおどらず (新約聖書から)手を尽くして働きかけても、人がそれに応じて動き出さないたと…

目鼻がつく

シャイロックの子供たち 著 池井戸潤2006年1月30日 発行 あいつも、なんとか目鼻がつきそうか 【目鼻がつく】めはながつく 物事の大体のところが決まる。おおよその見通しが立つ

朝令暮改

ノーフォールト 著 岡井崇2007年4月 発行 方針決定と告知、また、それを朝令暮改したことに、何の不満も漏らさなかった 【朝令暮改】ちょうれいぼかい 朝に出した命令を夕方には改めること。方針などが絶えず変わって定まらないこと。朝改暮変

分水嶺

夜の淵をひと廻り 著 真藤順丈2016年1月31日 発行 並べたてて重要な当事者を落とせ。これが分水嶺だ 【分水嶺】ぶんすいれい ・分水界になっている山稜。分水山脈 ・物事の方向性が決まる分かれ目のたとえ■

拱手傍観

夜の淵をひと廻り 著 真藤順丈2016年1月31日 発行 悲鳴を聞くにつれ、彼らは拱手傍観していられなくなった 【拱手傍観】きょうしゅぼうかん 手出しせず、ただ眺めていること

後顧の憂い

夜の淵をひと廻り 著 真藤順丈2016年1月31日 発行 魅力的に思えたのかもしれない。後顧の憂いもなく、遺族に 【後顧の憂い】こうこのうれい あとに残る気遣い。あとあとの心配。「―のないように保険に入る」

児孫のために美田を買わず

沙羅は和子の名を呼ぶ 著 加納朋子1999年10月 発行 子孫に美田を残そうなんて馬鹿なことを考えなければ、海外旅行なんぞ屁でもない 【児孫のために美田を買わず】じそんのためにびでんをかわず 子孫のために財産を残すとそれに頼って努力をしないので、財産…

鞠躬如

ミステリー・アリーナ 著 深水黎一郎2015年6月発行 ヒデが鞠躬如としてラウンジのドアへと向かいかけた 【鞠躬如】きっきゅうじょ 身をかがめ、つつしみかしこまるさま。「―として用を聞く」

玉石混淆

本にだって雄と雌があります 著 小田雅久仁2012年10月発行 事故原因については、玉石混淆のさまざまな憶測がなされ 【玉石混淆】ぎょくせきこんこう 価値のあるものとないものが入り混じっていること◎

牽強付会

本にだって雄と雌があります 著 小田雅久仁2012年10月発行 そして、捨鳥がくりひろげる牽強付会の推理よりも、たいていは 【牽強付会】けんきょうふかい 道理に合わないことを、自分に都合よく無理にこじつけること。「―の説」 「愛国主義者だったというわけ…

一敗地に塗れる

本にだって雄と雌があります 著 小田雅久仁2012年10月発行 百戦百勝と謳われた私が、何故一敗地に塗れたのかをつらつら省みるに 【一敗地に塗れる】いっぱいちにまみれる 史記から、二度と立ち上がれないほど大敗する

嚢中の錐

本にだって雄と雌があります 著 小田雅久仁2012年10月発行 すぐさま身元が判明した。まさに嚢中の錐 【嚢中の錐】のうちゅうのきり 「史記」から。袋の中の錐は外に突き出ることから、優れた人は大勢にまぎれていてもその才能が自然と外に現れて目立つこと。…

不帰の客となる

本にだって雄と雌があります 著 小田雅久仁2012年10月発行 二人して不帰の客となった今、墓石の胸ぐらをつかんで揺すって 【不帰の客となる】ふきのきゃく 二度と帰らぬ人となる。死ぬ

教条主義

本にだって雄と雌があります 著 小田雅久仁2012年10月発行 教条主義な学校の勉強でつまずいてもそれはむしろ才能の証であると 【教条主義】きょうじょうしゅぎ 状況や現実を無視して、ある特定の原理・原則に固執する応用の利かない考え方や態度。特にマルク…

蝸角の争い

本にだって雄と雌があります 著 小田雅久仁2012年10月発行 幻書の蒐集という蝸角の争いに明け暮れていたのだ 【蝸角の争い】かかくのあらそい 小さな者同士の争い。つまらぬことにこだわった争い。蝸牛角上(かぎゅうかくじょう)の争い

八方破れ

本にだって雄と雌があります 著 小田雅久仁2012年10月発行 こんな八方破れの私も親の端くれと見えて、時おり君に 【八方破れ】はっぽうやぶれ 備えがなく、いたるところすきだからであること 「―ではあるがためらいのないナイフさばき(夜の淵をひと廻り)」

博覧強記

ご近所美術館 著 森福都2012年発行 曽我さんが例のごとく博覧強記なところをみせて 【博覧強記】はくらんきょうき 広く書物を読み、色々な事をよく記憶していること。「―の人」 「知に飢えた―の鬼才だった(本にだって雄と雌があります)」 「―だが世間知ら…

一罰百戒

クリコフの思い出 陳舜臣 それでも騰勢はしずまらないので、一罰百戒の効果を狙って、奸商を槍玉に 【一罰百戒】いちばつひゃっかい 罪を犯した一人を罰することにより、その他大勢の戒めにすること

歌舞音曲

今昔 著 森田たま昭和26年〜 北の新地の舞妓に出て、歌舞音曲は血のにじむような激しい稽古をしたけれど 【歌舞音曲】かぶおんぎょく 歌や踊りや楽器演奏など、華やかな芸能・芸術活動の総称

刻苦勉励

今昔 著 森田たま昭和26年〜 新しい分野を開拓し、刻苦勉励、それを骨の髄から自分のものとした時 【刻苦勉励】こっくべんれい 大変な苦労をして勉学などにはげむこと

鷺を烏と言いくるめる

牛肉と馬鈴薯 著 国木田独歩明治35年ごろ〜 おかしいのはある時白鷺を見て烏といったことで、鷺を烏にいい黒めるという俗諺がこの児だけにはあたりまえなのです 【鷺を烏と言いくるめる】さぎをからすといいくるめる 明らかに間違っているのに、物の道理を強…

朝に道を聞かば夕べに死すとも可なり

牛肉と馬鈴薯 著 国木田独歩明治35年ごろ〜 朝に道を聞かば夕に死すとも可なりというのと僕の願とは大に意義を異にしているけれど、その心持は同じです 【朝に道を聞かば夕べに死すとも可なり】あしたにみちをきかばゆうべにしすともかなり 朝に人としての大…