2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧

閑寂

黒髪・別れたる妻に送る手紙 著 近松秋江大正時代 閑雅な京都の中でも取り分けて閑寂なので人に悦ばれるところであった 【閑寂】かんじゃく 物静かで趣のあること。ひっそりして落ち着いていること、さま。かんせきAAA

点景

一千一秒物語―稲垣足穂コレクション 著 稲垣足穂大正〜昭和 彼女が点景として添える人物は、鍬を肩にしているのでなければ、きっと肥桶を担うていた 【点景】てんけい 風景画などで画面を引き締めるために副次的に添えられた人や物

月卿雲客

一千一秒物語―稲垣足穂コレクション 著 稲垣足穂大正〜昭和 それこそ、一門の月卿雲客を背面に負うて、悪風と共に巴波の紋、うしおを蹴立て 【月卿雲客】げっけいうんかく 公卿と殿上人(てんじょうびと)

潰走

一千一秒物語―稲垣足穂コレクション 著 稲垣足穂大正〜昭和 参謀長閣下、敵は潰走し、我軍の先鋒は市街に突入しました 【潰走】かいそう 戦いに惨敗して、秩序なく逃げること。敗走。「算を乱して―する」 「早々に品川へと―した(茗荷谷の猫)」

酸敗

一千一秒物語―稲垣足穂コレクション 著 稲垣足穂大正〜昭和 果実が新鮮なだけ酸敗の憂いが多いように 【酸敗】さんぱい 酒類や油脂などが酸化・分解し、色・味・においなどが変化して酸味を呈する現象

呑吐

一千一秒物語―稲垣足穂コレクション 著 稲垣足穂大正〜昭和 長蛇の列車を絶え間なく呑吐している貪婪な大停車場だの 【呑吐】どんと のむことと、はくこと。のんだりはいたりすること

閑暇

一千一秒物語―稲垣足穂コレクション 著 稲垣足穂大正〜昭和 魂と感覚とを異種としてみるほど閑暇な時代に置かれていないわたし達にとっては 【閑暇】かんか することが何もないこと。ひま。「―を得る」

金波

一千一秒物語―稲垣足穂コレクション 著 稲垣足穂大正〜昭和 ところが、金波が寄せている岩陰に、何やら棒ぐいが突立って、揺れていた 【金波】きんぱ ・日光や月光が映って金色に輝く波。「―銀波」 ・織り物の名

切歯扼腕

最暗黒の東京 著 松原岩五郎明治25年ごろ 寄るところ、触るところにおいて切歯扼腕して語る 【切歯扼腕】せっしやくわん 怒り、悔しさ等から歯ぎしりをし腕を強く握りしめること。「出し抜かれたと知り―する」

烈寒

最暗黒の東京 著 松原岩五郎明治25年ごろ 烈寒、雨湿、さても辛棒の強き、この寂寞なる天地に網を張りて何の鳥をかよく羅し得ん 【烈寒】れっかん 激しい寒さ。酷寒

緑酒

最暗黒の東京 著 松原岩五郎明治25年ごろ 華門は開かれたり、曰く缶壺に緑酒一斗、銀瓶、珠碟、鳳膸の羹は珊瑚の器に盛られ 【緑酒】りょくしゅ 緑色の酒。酒の美称。美酒

壟断

最暗黒の東京 著 松原岩五郎明治25年ごろ 下を虐げやすく、機に乗じて利益を壟断するなどの弊を免れがたし 【壟断】ろうだん ・高い丘の切り立っているところ ・利益や権利を独り占めすること

余慶

最暗黒の東京 著 松原岩五郎明治25年ごろ 運動会の余慶…かつて青山の練兵場において某法律学校の春季大運動会の催うされし時 【余慶】よけい ・祖先の善行のおかげで子孫が受ける幸福 ・先人のおかげ。余光