2012-12-01から1ヶ月間の記事一覧

無聊

こころ 著 夏目漱石 1914年 その時の私は屈託がないというよりむしろ無聊に苦しんでいた 【無聊】ぶりょう 退屈なこと。楽しくないこと。気が晴れないこと。「―な日々」 「家にいて―に苦しむと(春の雪)」 「―らしい彼等をも救はふと(美しき牢獄)」 「引…

一刻者

友情 著 武者小路実篤 1919年 あれは自慢じゃないが、一こく者で、僕達を信じ切っている。 【一刻者/一国者】いっこくもの 頑固で自分を曲げない人。一徹者 「ヘルンの一国な気性で困った(思ひ出の記)」

回り気

友情 著 武者小路実篤 1919年 そんなことを考えた。しかし例の自分の廻り気だろうと思った。 【回り気】まわりぎ 気を回して心配したり疑ったりすること。「―な人」

才子

友情 著 武者小路実篤 1919年 あっさりした、男らしい所のある人と思う。才子は才子だが 【才子】さいし ・才知に優れ、頭の働きがすばやい人。多くは男に対して使う。才人 ・抜け目なく、要領のいい人 「腰巾着のように附いて廻っている薄情な―(美しき町・…

令色

友情 著 武者小路実篤 1919年 彼女が選んでくれればいいが、甘言や令色でだまされてはたまらないと思うね 【令色】れいしょく 相手に気に入られるよう、顔色をつくろうこと 【巧言令色】こうげんれいしょく 口先でうまいことを言ったり、愛想よくとりつくろ…

色即是空

友情 著 武者小路実篤 1919年 人生は空かも知れないが、そして色即是空かもしれないが、このよろこびは何処からくる 【色即是空】しきそくぜくう 仏語。この世の一切の物質は、そのまま空であり、すべてが因と縁で結びついている

成算

お目出たき人 著 武者小路実篤 1911年〜 僕にも成算の希望があるのですから、それに向かって。 【成算】せいさん 成功する見込み。「―がある」「―が立たない」 「―なしに着物をつくって(あらくれ)」

無風流

お目出たき人 著 武者小路実篤 1911年〜 一郎は無風流な男であるが、静のことを思う時新体詩風のものを作ることがある 【無風流】ぶふうりゅう 風流ではないこと。趣味を解さないこと、さま

話頭

お目出たき人 著 武者小路実篤 1911年〜 もしその時皆が黙っていたら自分は話頭をかえるであろう 【話頭】わとう 話題のきっかけ、糸口。または、話の内容、話題。「―にあがる」

我利我利亡者

お目出たき人 著 武者小路実篤 1911年〜 そうして我利我利亡者許りが集っていたら、いかに淋しいであろう。 【我利我利亡者】がりがりもうじゃ 欲が深く、自分の利益だけを考えている者

放埓

冥土めぐり 著 鹿島田真希 河出書房新社 2012/7/30 発行 貞淑と放埓の顔を持ち合わせたわたしたち姉妹そのもの 【放埓】ほうらつ ・勝手気ままに振舞うこと、さま。「―な態度」 ・身持ちの悪いこと。酒色にふけること、さま。「―な日々をすごす」

垂涎

先導者 著 小杉英了 角川書店 2012/10/31日 発行 世界中の組織にとって垂涎の的となったのです。 【垂涎】すいぜん ・食べたくてよだれをたらすこと ・それを手に入れたいと熱望すること 「さっきからしきりに―している(蓼食う虫)」 【垂涎の的】すいぜん…

金科玉条

先導者 著 小杉英了 角川書店 2012/10/31日 発行 若い時分から金科玉条としている処世術があるそうで 【金科玉条】きんかぎょくじょう 絶対的なよりどころとして守るべき規則や法律のこと。融通の利かないたとえとして用いることも 「解読家にとって―に等し…

白面

真珠夫人 著 菊池寛 1920年〜 彼の容貌をも変えていた。一個白面の貴公子であった彼は、今や 【白面】はくめん ・素顔 ・色白の顔 ・若く、経験が浅いこと。青二才

泰斗

真珠夫人 著 菊池寛 1920年〜 傷を治療したことのある外科の泰斗近藤博士が、駆け付けた。 【泰斗】たいと 泰山北斗(たいざんほくと)の略。その道の第一人者。大家 「近代科学の―ヘポメニアス氏(ドグラ・マグラ)」 「古典演劇の研究では―である(一の糸…

儀仗兵

先導者 著 小杉英了 角川書店 2012/10/31日 発行 つくばいながらにじり進む儀仗兵のようです。 【儀仗兵】ぎじょうへい 儀式用の武器を身につけ、皇族や海外の賓客の護衛にあたる兵

肌骨を驚かす

先導者 著 小杉英了 角川書店 2012/10/31日 発行 それだけでわたしは肌骨を驚かされ、息苦しさをおぼえたものです。 【肌骨を驚かす】きこつをおどろかす 恐怖で震え上がらせる。ぞっとさせる

一顰一笑

真珠夫人 著 菊池寛 1920年〜 母の一顰一笑に、青年が欣んだり悲しんだりすることが、美奈子にもありありと判った。 【一顰一笑】いっぴんいっしょう 顔をしかめたり、笑ったりすること。ちょっとした表情の変化、顔色、機嫌

説破

真珠夫人 著 菊池寛 1920年〜 で、やっと、説破して、自動車には乗らないという条件で、許しが出たのです。 【説破】せっぱ 相手を言い負かすこと。説き伏せること

株を守りて兎を待つ

真珠夫人 著 菊池寛 1920年〜 学校で習った「株を守って兎を待つ」と、いう熟語を思い出した 【株を守りて兎を待つ】くいぜをまもりてうさぎをまつ 古い習慣や過去の成功に固執して、融通の利かないたとえ。株を守る

低回

真珠夫人 著 菊池寛 1920年〜 一時間にも近い間、父母の墓石の辺りに低徊していることがあった。 【低回】ていかい 立ち去りがたく行ったり来たりすること。転じて、いろいろに考えをめぐらすこと 「かくて―の虫となった桑幸は(桑潟幸一准教授の〜」 「足は…

肺腑

真珠夫人 著 菊池寛 1920年〜 さすがに彼の言葉が一々肺腑を衝いていると見えて、うなだれ気味に、 【肺腑】はいふ ・肺 「―を絞り尽くしたる絶叫の後(三太郎の日記)」 ・心の奥底。急所。「―をえぐる」

擬勢

真珠夫人 著 菊池寛 1920年〜 言葉や態度は、心にもない豪語であり、擬勢である、口先でこそあんなことを云いながらも 【擬勢】ぎせい ・見せかけだけの勢い。虚勢。「―を張る」 ・動物が敵を脅すために、変色したり変体して見せること

のめのめ

真珠夫人 著 菊池寛 1920年〜 貴女のお召状だけで、ノメノメとやっては来ません。 【のめのめ】 恥ずかしげもなく平然と。おめおめ

けざやか

真珠夫人 著 菊池寛 1920年〜 白昼の、かほど、けざやかな太陽の下の遭遇でなかったならば 【けざやか】 はっきりしているさま。際立っているさま。「―に浮き上がる」

糟粕を嘗める

真珠夫人 著 菊池寛 1920年〜 いや、徳川時代文学の糟粕などを、少しも嘗めないで、明治時代独特の小説を書いている作家がありますよ 【糟粕を嘗める】そうはくをなめる 先人の真似をするだけで、独創性がないこと【糟粕】そうはく ・酒かす ・良いところを…