2012-04-22から1日間の記事一覧

擦過

恋の都 著 三島由紀夫 1953年発行 永い九年間が眼前を急速力で走る列車のように擦過する思いがして 【擦過】さっか かすること、こすること 「―音だけの口笛を吹き(痺れる)」

はだら

恋の都 著 三島由紀夫 1953年発行 まだそこかしこに残雪がはだらに光っている日の午後 【はだら】 ・雪などが不規則に濃淡になっているさま。まだら 「松影が―に落ちている(潮騒)」 「私は川岸の―に消えかかった道を行った(或る少女の死まで 他二篇)」 …

おさおさ

恋の都 著 三島由紀夫 1953年発行 良人や娘にもおさおさひけをとらぬ怪物だった。 【おさおさ】 ・ほとんど(ない)。まったく(ない)。「―怠りない」

油然

恋の都 著 三島由紀夫 1953年発行 建物の中から音楽が油然と起こった。 【油然】ゆうぜん 盛んにわき起こるさま、心に浮かぶさま。「―と詩情がわく」 「―とした嬉しさが心の底からこみあげて来る(みみずのたはこと 上)」 「気体の中で―と入れ変り立ち変り…