2015-02-01から1ヶ月間の記事一覧

草生

地上―地に潜むもの 著 島田清次郎1919年発行 露に湿れた草生が靴の下にあった。水中のように澄みわたった闇である 【草生】くさふ 草の生えている所。草原

余炎

地上―地に潜むもの 著 島田清次郎1919年発行 昼の余炎はまださめ切らなかったが、野面をわたる風は寒かった 【余炎】よえん ・消え残りのほのお ・夏の終わりのころの暑さ。残暑

星辰

地上―地に潜むもの 著 島田清次郎1919年発行 西洋の耶蘇が生まれたときには空の星辰が一時に輝いて祝福したというが 【星辰】せいしん 星。星座

明徹

地上―地に潜むもの 著 島田清次郎1919年発行 これほど熱烈に明徹に燃焼した日が地上にあり得ようかと思われた 【明徹】めいてつ あいまいな点がなく、はっきりしていること、さま

勢威

地上―地に潜むもの 著 島田清次郎1919年発行 三人の児は、北野家の勢威とお里の愛のうちに長閑な平和な日を育って行った 【勢威】せいい 権勢と威力。「国の―」

進境

地上―地に潜むもの 著 島田清次郎1919年発行 容一郎の学問に対する進境の速かなことは学校の先生を驚かした 【進境】しんきょう 進歩・上達の度合い。上達した極地。「―著しい生徒」「更なる―を示す」

宗家

地上―地に潜むもの 著 島田清次郎1919年発行 北野家は大川村の宗家である − こう彼が宣言してから 【宗家】そうけ 一門・一族の中心になる家柄。特に芸道などで正統を伝えてきた家。またその家の当主。そうか

淫楽

地上―地に潜むもの 著 島田清次郎1919年発行 恵まれた北国の野には快い労働と快い婬楽が人々の魂を痺らしたけれど 【淫楽】いんらく みだらな楽しみ。色欲による快楽

辛労

地上―地に潜むもの 著 島田清次郎1919年発行 凡ゆる忍耐、凡ゆる屈辱、魂と生命の切り売り、その長い辛労の後ではないか 【辛労】しんろう つらい苦労をすること。大変な骨折りをすること

烈日

地上―地に潜むもの 著 島田清次郎1919年発行 真夏の濃緑と烈日が彼女にある圧迫を与えたが、静かな彼女の心はそっと 【烈日】れつじつ 激しく照りつける夏の太陽。また、その光

暗潮

蒲団・重右衛門の最後 著 田山花袋1907年 1902年 発行 一座の中に明かに恐るべく忌むべく悲しむべき一種の暗潮の極めて急速に走りつつあるのを 【暗潮】あんちょう ・表面に現れない潮の流れ ・表面に現れない風潮・勢力

皮相

蒲団・重右衛門の最後 著 田山花袋1907年 1902年 発行 重右衛門のやうな先天的不備なところがある人間には間違つた皮相な観察であつた 【皮相】ひそう ・物事の表面。うわべ。うわっつら ・うわべだけで判断し、物事の本質に至らないこと、さま

黙許

蒲団・重右衛門の最後 著 田山花袋1907年 1902年 発行 村の若者の親なども、これはもう公然止むを得ざる事と黙許して居て 【黙許】もっきょ 知らないふりでそのまま許すこと。黙認

激湍

蒲団・重右衛門の最後 著 田山花袋1907年 1902年 発行 村の全景がすつかり手に取るやうに見えて、尾谷川の閃々と夕日にかがやく激湍や 【激湍】げきたん 勢いのはげしい早瀬

悠遠

蒲団・重右衛門の最後 著 田山花袋1907年 1902年 発行 相談された人かと思ふと、自分は悠遠なる人生の不可思議を胸に覚えずには居られぬ 【悠遠】ゆうえん 時間的、空間的に、はるかに遠いこと、さま。「―な太古を思う」

青雲の志

蒲団・重右衛門の最後 著 田山花袋1907年 1902年 発行 かれ等は親の許さぬのに、青雲の志に堪へかねて脱走して来たのである 【青雲の志】せいうんのこころざし 功名を立て、立身出世をしようとする志

危座

蒲団・重右衛門の最後 著 田山花袋1907年 1902年 発行 遣瀬なき恋を語ったらどうであろう。危座して自分を諌めるかも知れぬ 【危座】きざ きちんと座ること。正座。端座

庇保

蒲団・重右衛門の最後 著 田山花袋1907年 1902年 発行 手紙には、極力二人の恋を庇保して、どうしてもこの恋を許して貰わねばならぬと 【庇保】ひほう かばい守ること。庇護。ひほ