2013-08-01から1ヶ月間の記事一覧

壊える

久生十蘭短篇選 著 久生十蘭 家のほうへ歩いて行ったが、道普請の壊えのあるところへくると、われともなく 【壊える】くえる くずれる

豪壮

壺中の回廊 著 松井今朝子 集英社 2013/6/30 発行 あの豪壮な邸宅を見ただけに、却って今度の事件は現実味が乏しいのだ 【豪壮】ごうそう 規模が大きく立派なさま

紅涙

壺中の回廊 著 松井今朝子 集英社 2013/6/30 発行 かつて満都の紅涙を絞った美貌は衰えても、大きな造作は実に化粧映えがした 【紅涙】こうるい ・悲観にくれて流す血の涙 ・女性の涙。「―を絞る」

嫋々

壺中の回廊 著 松井今朝子 集英社 2013/6/30 発行 男爵夫人という身分から想像された嫋々たる雰囲気はあまりなく 【嫋々】じょうじょう ・かぜがそよそよと吹くさま ・長くしとやかなさま ・音声が細く、尾を引くように響くさま 「歌の調べは―と里に響いて(…

前栽

壺中の回廊 著 松井今朝子 集英社 2013/6/30 発行 鬱蒼とした前栽はちょっとした森のごとくで、それを縫うように 【前栽】せんざい ・草木を植えた庭。寝殿造りでは正殿の前庭。のちには、座敷の前庭 「川べりの―に植え込のある、役員の住みそうな家(或る少…

気脈

壺中の回廊 著 松井今朝子 集英社 2013/6/30 発行 「革命」を志す点で蘭五郎と気脈を通じていたであろう男は 【気脈を通じる】 連絡を取り合って意思を通じあう 「夫と―て、疲れて戻るまで必ず起きて待つ(華岡青洲の妻)」 「とどかないところでは、一同―、…

陽春

壺中の回廊 著 松井今朝子 集英社 2013/6/30 発行 火の気がまったくないのは陽春でもさすがに厳しいものがある 【陽春】ようしゅん ・暖かい春 ・陰暦正月の異称

臭い物身知らず

壺中の回廊 著 松井今朝子 集英社 2013/6/30 発行 「臭いもの身知らず」の譬えじゃござんせんが、ああしょっちゅう身のまわりで使ってらしたら 【臭い物身知らず】くさいものみしらず 自分のにおいにはなかなか気づきにくいのと同じで、欠点は自覚しづらいこ…

容喙

壺中の回廊 著 松井今朝子 集英社 2013/6/30 発行 政財界からも容喙がありそうで、捜査が攪乱されるのは目に見えていた 【容喙】ようかい くちばしをいれること。横から口出しすること 「絶対に他の―を入れない純然たる態度を守って(機械・春は馬車に乗って…

首魁

壺中の回廊 著 松井今朝子 集英社 2013/6/30 発行 どこの労働争議でも首魁を叩き潰して火種を消せば 【首魁】しゅかい ・かしら。悪事などの首謀者。張本人 「誘拐団の―だとは夢にも疑っていない(ひまわり事件)」 ・さきがけをすること、もの。先駆

懐旧

壺中の回廊 著 松井今朝子 集英社 2013/6/30 発行 沢之丞の懐旧談はなおも続いている。 【懐旧】かいきゅう 昔を懐かしく思いだすこと。懐古。「―の念」 「うまく父親の―感をそそつて(もめん随筆)」

衷心

壺中の回廊 著 松井今朝子 集英社 2013/6/30 発行 果たしてそれは彼の衷心から来るものか 【衷心】ちゅうしん 心中。心の底。衷情 「あなたは―に確にソレを知ってお出です(みみずのたはこと 上)」 「軽蔑はしたものの、―自分達の師としての敬礼は失わなか…

実学

壺中の回廊 著 松井今朝子 集英社 2013/6/30 発行 その深刻な状況は実学と迂遠な教師の耳にもしっかり届いていた 【実学】じつがく 社会生活に役立つ学問。医学や経済学、工学など

諷する

壺中の回廊 著 松井今朝子 集英社 2013/6/30 発行 いつぞや治郎の前でも暗に蘭五郎を諷したものだ 【諷する】ふうする 遠まわしに批判する。風刺する

東上

壺中の回廊 著 松井今朝子 集英社 2013/6/30 発行 わざわざ関西から東上して木挽座の座頭を務めているのは 【東上】とうじょう 西国から東方の都へ行くこと。東京へ行くこと

七生

文鳥・夢十夜・永日小品 著 夏目漱石 失敬な挙動あるにおいては七生まで祟るかもしれない 【七生】しちしょう 七度生まれ変わること。永遠

旗幟

文鳥・夢十夜・永日小品 著 夏目漱石 「しかし…今度の土曜は天気でしょうか」旗幟の鮮明ならざること夥しい 【旗幟】きし ・旗とのぼり。旗じるし ・表だって示す立場や態度。主義主張「―鮮明」

孤客

文鳥・夢十夜・永日小品 著 夏目漱石 東洋の孤客に引きずり出され奔命に堪えずして悲鳴を上げるに至っては 【孤客】こかく 一人で旅をしている人

蒙塵

文鳥・夢十夜・永日小品 著 夏目漱石 ロシアと日本は争わんとして争わざらんとしつつある。支那は天子蒙塵の辱を受けつつある。 【蒙塵】もうじん 天子が変事のために都から逃げ出すこと。都落ち

四隣

文鳥・夢十夜・永日小品 著 夏目漱石 だんだん議論に花が咲いて壮語四隣を驚かすという騒ぎであったそうな 【四隣】しりん ・前後左右の家や人 「その響は―にまで聞こえるのか(美しき町・西班牙犬の家 他六篇)」 ・周囲の国々

懸隔

文鳥・夢十夜・永日小品 著 夏目漱石 また貧富の懸隔はかように色気なき物かとも感ずる 【懸隔】けんかく ・二つの物事がかけ離れていること。大変な差があること 「お金持と貧乏人という生活の―から起こったのでは無く(きりぎりす)」 「昼夜の―する程、夏…

半間

文鳥・夢十夜・永日小品 著 夏目漱石 しかし耶蘇教の神様も存外半間なもので、こういう時にちょっと助けて 【半間】はんま ・中途半端なこと、さま ・まぬけなこと、さま、人

玩弄

文鳥・夢十夜・永日小品 著 夏目漱石 あまり珍しそうに外国人を玩弄しない。 【玩弄】がんろう ・遊び道具としてもてあそぶこと ・見下してなぶりものにすること。愚弄【玩弄物】がんろうぶつ ・おもちゃ ・なぶりものにされる物、人

高下

文鳥・夢十夜・永日小品 著 夏目漱石 この国では衣服では人の高下が分らない。 【高下】こうげ ・高いことと低いこと。上下 「欲求に―の差別はあり得ぬにしても(愛と認識との出発)」 「最早席順の―を争うの根気もなく(何処へ・入江のほとり)」 「ご恩に―…

浮華

文鳥・夢十夜・永日小品 著 夏目漱石 平気な顔をして得意であるか、彼らがいかに浮華であるか、彼らがいかに空虚であるか 【浮華】ふか うわべは華やかだが、実質に乏しいこと、さま。「―な暮らし」 「彼女の驕りと―な生活とを(木乃伊の口紅・破壊する前)」

緒言

文鳥・夢十夜・永日小品 著 夏目漱石 この序文を見ろと言ってハムレットへ付けた緒言を読まされたことがある。 【緒言】しょげん/ちょげん ・論説の糸口 ・まえがき。序文