2013-01-01から1年間の記事一覧

帆翔

潮騒 著 三島由紀夫1954年発行 急に空中であとずさりして、帆翔に移ったりした 【帆翔】はんしょう 鳥が翼をひろげたまま風に乗って飛ぶこと

狭窄

潮騒 著 三島由紀夫1954年発行 伊勢海と太平洋をつなぐこの狭窄な海門は、風のある日には 【狭窄】きょうさく すぼまっていて狭いこと、さま。「―な海峡」「視野―」

一双

潮騒 著 三島由紀夫1954年発行 石段を昇って、一双の石の唐獅子に戍られた鳥居のところで見返ると 【一双】いっそう 二つで一組となすもの。一対

燎原の火

聖なる怠け者の冒険 著 森見登美彦朝日新聞社 2013/5/30 発行 その報せは燎原の火のように広がった 【燎原の火】りょうげんのひ 燃え広がって野原を焼く火。勢いが強く防ぎ止められないものをたとえていう 「報道しはじめると、燎原を渡る野火さながら(感染…

運針

聖なる怠け者の冒険 著 森見登美彦朝日新聞社 2013/5/30 発行 その豪快な運針は酔っ払い運転のようにぐねぐねとしている 【運針】うんしん 裁縫の、針の運び方 「―の目をできるだけ細かく(華岡青洲の妻)」

詳述

聖なる怠け者の冒険 著 森見登美彦朝日新聞社 2013/5/30 発行 玉川さんの絶望たるや、詳述するのも憚られる 【詳述】しょうじゅつ 詳しく述べること 「墓柵の内部を―しなければ(黒死館殺人事件)」 「差し障りがあるので―できないが(4ページミステリー)」…

隧道

聖なる怠け者の冒険 著 森見登美彦朝日新聞社 2013/5/30 発行 廊下は垢だらけで煉瓦造りの隧道のように暗い 【隧道】すいどう/ずいどう ・トンネル ・棺を埋めるために、地中を掘り下げて墓穴へ通じる道。はかみち+

双肩

聖なる怠け者の冒険 著 森見登美彦朝日新聞社 2013/5/30 発行 津田氏は双肩に担った責任の重さと良心の呵責に耐えかねたのか 【双肩】そうけん 両肩。多く、責任や義務を負うものについてたとえる+

小人閑居して不善をなす

聖なる怠け者の冒険 著 森見登美彦朝日新聞社 2013/5/30 発行 あの頃は壮絶にヒマだったからな。小人閑居して不善を為す、だ。 【小人閑居して不善をなす】しょうじんかんきょしてふぜんをなす つまらぬ人間が暇でいるとろくなことをしない 「忙殺されるくら…

親の意見と茄子の花は千に一つも無駄がない

聖なる怠け者の冒険 著 森見登美彦朝日新聞社 2013/5/30 発行 所長の意見と茄子の花は千に一つも無駄がない、といいます 【親の意見と茄子の花は千に一つも無駄がない】 茄子は花が咲くと必ず実をつけることから、親の意見には何一つ無駄がないというたとえ

冷涼

ホテルローヤル 著 桜木紫乃集英社 2013/1/10 発行 せっかく拓いた土地は冷涼な気候のせいで農作物も育たず、 【冷涼】れいりょう ひんやりとして涼しいこと、さま

六輝

死神の浮力 著 伊坂幸太郎文芸春秋 2013/7/30 発行 退院の際、六輝にこだわる患者で溢れ、病室が空かず、混乱している現場 【六輝】ろっき 暦のうち、先勝・友引・先負・仏滅・対案・赤口の六種。六曜

忘恩

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 OOの忘恩に激怒した。 【忘恩】ぼうおん 恩を忘れること。恩知らず

忍苦

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 黙って耐えるのが正しい忍苦か 【忍苦】にんく 苦しみを耐え忍ぶこと

暮夜

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 早速洞院宮の御都合を伺って、暮夜、御殿に参上した 【暮夜】ぼや 夜になった時。夜。夜分

落飾

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 かくも急な落飾には以下のような経緯があった 【落飾】らくしょく 高貴な人が髪を落とし仏門に入ること。落髪 「花山帝は―の人となって(はなとゆめ)」 「先君亡き後、―なされて(猫間地獄のわらべ歌)」

端座

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 門跡は褥の上に端座していた。 【端座】たんざ 姿勢を正し、座ること。正座 「草花をしきつめ、その花の上に―して(美しき牢獄)」

短日

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 よもやまのお話をしているうちに、短日は暮れた。 【短日】たんじつ 日照時間の短い、冬の日。(季)冬

頤使

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 大家の自由を奪い、思いのままに頤使するについて、 【頤使】いし 顎で指示し、人を使うこと 「女王の―に身をまかせようと(銀の匙)」

弥縫策

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 強大な力を揮って、何とか弥縫策を講じてくれるであろう 【弥縫策】びほうさく 一時逃れに取り繕って、間に合わせるための方策【弥縫】びほう 失敗や欠点を一時的にとりつくろうこと 「破綻を起さず、どうにか―して行けた(…

怯懦

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 へ持ち込むことによって、怯惰な伯爵の敢てしなかった竹箆返しを 【怯懦】きょうだ 臆病で気が弱いこと、いくじがないこと、さま。「―な性格」 「―な卑屈な格好(黒死館殺人事件)」 「彼らの倫理思想の如何に―なる事よ(愛…

赤裸

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 浜には男を失った赤裸の男たちが泣き喚いている 【赤裸】せきら ・身になにもつけていないこと、さま。丸裸 ・包み隠さないこと。むき出しであること、さま

放歌高吟

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 玄関先にまで粗暴な放歌高吟がひびき渡っている 【放歌高吟】ほうかこうぎん あたり構わず、大声で歌うこと。高吟放歌 「と―して蛮からに見えて(悪女について)」

讒言

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 女共の讒言をそのままお取上げ遊ばすとは、松枝侯爵様らしからぬことに 【讒言】ざんげん 事実を曲げたりありもしない事柄を作り上げたりして、対象者について目上の人に悪く言うこと 「真実の愛には一時の―を容るべき余地…

夜業

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 何か急ぎの仕事があって、夜業をしているのである。 【夜業】やぎょう 夜に仕事をすること、その仕事。夜なべ。(季)秋

遁辞

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 そういう一種の遁辞を言うときにも、自分の言葉がもう些かの子供らしさをも残している心配が 【遁辞】とんじ 言い逃れの言葉。逃げ口上

涙金

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 娘たちの父親に、しかるべき涙金を包んでやっていた。 【涙金】なみだきん 同情して与える金。お情けで与える少額の金。特に、関係を断つときなどに与える金

炳乎

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 空に炳乎と釘づけられた自分たちの罪の徽章だと聡子は感じた 【炳乎】へいこ きわめて明らかなさま、光り輝くさま

遍満

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 海はすぐそこで終る。これほど遍満した海、これほど力にあふれた海が 【遍満】へんまん 広くいっぱいにいきわたること。「喜びが全身に―する」 「―する香風を満喫しながら(うつろ舟)」

魁偉

春の雪 著 三島由紀夫 1965年発行 雲のたたずまいの魁偉に見える夏の季節は 【魁偉】かいい 顔の造作や体が並はずれて大きく、たくましい感じ、いかついさま。「容貌―な男」 「更により以上―な巨人が想像され(黒死館殺人事件)」 「一層―の趣を呈して居る(…