2015-01-01から1年間の記事一覧

盛会

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 先生と交遊あった人々、また文壇の人々など大勢集まった盛会であった 【盛会】せいかい 盛大でにぎやかな会合。「会は―のうちに終わった」 「会は非常な―で、中には伯爵家の令嬢なども(牛肉と馬鈴薯…

押っ取り刀

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 悲鳴に似たその声に、私は、おっとり刀という気持ちで裏へ飛び出した 【押っ取り刀】おっとり刀 急な出来事で刀を腰にさす暇なく、手に持ったままであること。急いで駆けつける形容に用いる

揚言

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 片手で何かにぶら下がれるうちは木登りが出来る、などと揚言し 【揚言】ようげん 声を大に言うこと。公然と言いふらすこと。またその言葉+

亡失

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 祖父の時代の火事や、関東大震災での亡失からまぬがれた古い書附類の中に 【亡失】ぼうしつ 失いなくすこと。またうせてなくなること○

良否

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 その質と形で石の良否は決るのだろうが、私はそういうことには不案内で 【良否】りょうひ よいことと、よくないこと。良し悪し

没義道

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 文壇に於ける左翼派の没義道なふるまいなども鬱屈の種であった 【没義道】もぎどう 人の道にはずれてむごいこと。非道なこと、またさま。不人情

内意

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 そういう山口先生の内意を、級友の一人が郷里までつたえに来てくれた 【内意】ないい 心の中で思っていること。また公表してない考え。内々の意向

大息

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 「へーえ」と大観堂が大息した。私は驚ろきや悲しみではなく、ひどい失望のような 【大息】たいそく 大きなため息をつくこと。嘆くこと

親疎

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 友人知己、分に応じ親疎にしたがって、借りられるところは大抵借りているから 【親疎】しんそ 親しいことと疎遠なこと。親しい人と親しくない人。「―の隔てなく挨拶する」

引かれ者の小唄

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 あれを、したり顔に、滑稽だ、などと見るのは、引かれ者の小唄かも知れない 【引かれ者の小唄】ひかれもののこうた (引かれ者が平気を装い小唄をうたう意から)負け惜しみで強がりを言うこと

分明

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 つまるところ、彼らが、緒方を是非とも必要としていることは、分明なのだ 【分明】ぶんめい ・他との区別がはっきりしていること。あきらかなこと、またそのさま。「―な事実」 ・明らかになること。…

鵜の真似をする烏

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 真理に気づいた。鵜の真似をする烏水に溺る、というのだった。あひると白鳥は別物だということ 【鵜の真似をする烏】うのまねをするからす みだりに人まねをしても必ず失敗するというたとえ。烏が鵜…

袂別

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 故郷と袂別し家庭を打こわして宿無し同様の緒方が、そこへ時々やって来た 【袂別】べいべつ たもとをわかつこと。別れること

酒友

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 酒は、酒友中、第一級の飲み手だった。飲んでよく喧嘩をしたが、知人とは決して 【酒友】しゅゆう 飲み友達。飲み仲間

参酌

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 あれこれ思案し、はたの意向も参酌するが、決定したとなると、もう動かぬのだ 【参酌】さんしゃく 他の物を参考にして長所を取り入れること。斟酌。「意見を―して適切に処置する」

時々刻々

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 この世で、死ぬまで毎日、時々刻々生れ変るという寸法なんだが、それがどうも 【時々刻々】じじこっこく/じじこくこく その時その時。物事が引き続いて起こることにいう。時を追って。次第次第に 「…

席次

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 われわれの宇宙席次というべきものは、いったいどこにあるのか 【席次】せきじ ・会合などでの席順 ・成績、地位などの順位

命冥加

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 妻の説明を、私は、うんうんときき流し、命冥加な奴さ、などとつぶやいた 【命冥加】いのちみょうが 神仏のおかげで命拾いすること。「助かったとは―な人だ」 「やめることにした。―なやつめ(うつろ…

落梅

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 机に頬杖ついていると、そとでぽとりと音がした。落梅なのだ 【落梅】らくばい 散り落ちた梅の花や実

業病

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 そういう父が、祖父の業病、中風をうけついで、みじめな状態に陥ることを考えると 【業病】ごうびょう 前世の悪業の報いでかかるとされた、治りにくい病気。難病

柳は緑花は紅

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 眠っているのかと思うと突然「柳はみどり、花はくれない」といったりした 【柳は緑花は紅】やなぎはみどり はなはくれない 「柳緑花紅真面目」から ・自然のままであること ・春の美しい景色を形容す…

長者の万灯より貧者の一灯

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 家内は横腹を押えて笑っている。「あれを貧者の一燈というのだ。莫迦にするな」 【長者の万灯より貧者の一灯】ちょうじゃのまんとうよりひんじゃのいっとう 金持ちの多くの寄進より、貧しい者の心の…

盲蛇に怖じず

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 著 尾崎 一雄昭和8年〜 「盲者蛇に怖じずてのはあれだね」と球投げの事をいい、何事もあれだとまた思った 【盲蛇に怖じず】めくらへびにおじず 物事を知らない者はその怖ろしさもわからない。無知な者は向こう見ずなことを…

広言

黒髪・別れたる妻に送る手紙 著 近松秋江大正時代 秋江との付き合いによって人間嫌いになってしまったと広言して憚らなかった白鳥だが 【広言】こうげん 無責任に大きなことを言い散らすこと、またその言葉。「―を吐く」

痴愚

黒髪・別れたる妻に送る手紙 著 近松秋江大正時代 かつて痴態、痴愚を繰り返した同一人物とはとても思えない良き家庭人となった 【痴愚】ちぐ 愚かなこと、またその人

泉下

黒髪・別れたる妻に送る手紙 著 近松秋江大正時代 後世に残る作品もままならなかった父は泉下でさぞ苦笑したことだろう 【泉下】せんか 黄泉の下。死後の世界。あの世

高言

黒髪・別れたる妻に送る手紙 著 近松秋江大正時代 雪岡さんに代わって私が十分に成敗する。」と高言を吐いたじゃないか 【高言】こうげん 偉そうに大きなことを言うこと、その言葉。「―を吐く」

拝伏

黒髪・別れたる妻に送る手紙 著 近松秋江大正時代 そのまま其処に拝伏して、神というものがあるなら、神を拝みたいような気に成った 【拝伏】はいふく ひれ伏すこと。伏し拝むこと

草を分けて探す

黒髪・別れたる妻に送る手紙 著 近松秋江大正時代 それでも私は「草を分けても探し出さずには置くものか。」と、矢来の婆さんの所で何度も 【草を分けて探す】くさをわけてさがす あらゆる手段を尽くして隅々まで探す。草の根を分けて探す

嵐気

黒髪・別れたる妻に送る手紙 著 近松秋江大正時代 病み上がりのようになっている体が、深山の嵐気に襲われて、ぞくぞくと 【嵐気】らんき 湿り気を含んだ山の空気。山気TTT